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33話 やっぱり敵だったか!

 ゴォォォォッ!!



「おぉー」


 凄い地鳴りと揺れ。

 ベッドの上に寝転んでてよかった。

 普通に立ってたら絶対にこけてたわ。


「お嬢様っ!!」


「むふっ!」


 し、視界がっ! 息がぁっ!!


「危険です! 私から離れないで下さいっ!!」


 離れないでって、離れるどころか締め付けられて身動きすら取れないんですけどっ!?

 てか、またしても胸かっ! この巨乳め! おっぱいお化けめっ!!


『う〜ん、シルヴィアはお化けって言う程は大きく無いと思うよ?』


 そう言う事じゃねぇんだよバカっ!

 これは、現在進行形で絶壁状態の私の自尊心の問題であって……と言うか、深窓の乙女に何を言わせてくれちゃってるの!?


『いや、それは悪魔ちゃんが勝手に……』


 黙れ邪神が!

 本当にデリカシーが全くなって無いわ。

 まぁ、人のコンプレックスを突いてこその邪神かもしれないけどさ。

 そんなんだと女にモテないぞ?


『あぁ、そう言えば言ってなかったか。

 別に私は女性にモテたいとは全く思わないんだけどね』


 ふっ、モテない奴は皆んなそう言うんだ。

 男として過ごしていた過去を持つ私にそんな言い訳は通用しない!

 と言うか……そろそろ、キツい……


「敵襲かもしれません!

 お嬢様は決して私から離れないで下さい!!」


 く、苦しい……

 ギブ! ギブっ! し、死ぬぅ……


『シルヴィアさん、悪魔ちゃんが窒息してるよ?』


「はっ!? レ、レフィーお嬢様っ!?

 申し訳ございませんっ!!」


「ぷはぁっ!」


 あぁ、愛しき空気よ!


「ぜぇ、ぜぇ、死ぬかと思った」


 せっかく2度目の転生を果たし、3度目の生を得たのにおっぱいで窒息死なんて笑えない。

 やっぱり敵か! この羨ましい脂肪の塊めっ!!


「あっ! レフィー、お嬢んぅ! お許しんっ……くださいませ」


 そもそも、何で呼吸する必要があんの?

 悪魔って精神生命体じゃんか! 身体も魔力体なのに!!

 解せん。

 呼吸が必要なのもそうだけど、魔力体なくせに絶壁なのがなお解せんっ!!


「むぅ……」


「レフィー、お嬢様……」


『悪魔ちゃん。

 シルヴィアが硬直してるよ?』


 ん? シルヴィアが硬直?

 本当だ。

 いつも冷静沈着な完璧メイドなのに、こんなに真っ赤になってどうしたんだろ?



 むにゅ……



「あ」


 そう言えば、危うく窒息死させられそうになった敵を握ってたの忘れてた。


「ごめん」


 本当にごめん。

 シルヴィアに罪はないのに、罪があるのは脂肪の塊なのに。

 シルヴィアには悪い事を、しちゃった…な……


「いえ! レフィーお嬢様が私如きに謝罪なんて恐れ多い事です。

 むしろ、ありがとうございました」


 ……そう言えば、シルヴィアは変態だったわ。

 悪魔になって生前よりも、欲望に忠実になったとは言え……うん、考えない事にしよう。


「はっ! そういえば敵襲が!!」


「敵襲じゃない。

 もう揺れも収まってる」


 いつ揺れが収まったかは、私も気付かなかったけど。

 揺れが止まってるって事は、最初はただの洞窟でしかなかったこのダンジョンに新たな階層が追加されたという事!!


「っ! これは……」


 流石はシルヴィア。

 階層が増えてる事に気付いたか。


「転移」


 ダンジョンマスターの権能を使っての転移。

 マイルームから視界が切り替わって、目の前に広がる石の壁と床があるだけの空間。


 広さとしては一辺100メートル程の正方形で、天井までの高さは5メートル。

 座標としてはマイルームの()()に位置する、我がダンジョンの新階層!!


「ふふふ」


 前世も合わせて人生初の自力での転移だったけど、それ以上にちょっとテンション上がってるわ!!


「私はここに、地下大迷宮を作り上げる!!」


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