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悪役令嬢の断罪イベントギリギリぎっちょんちょん

「プークスクスクスないわー、あれはないわー」

ご令嬢達の扇子の裏での会話の中に今まで聞いたことの無い言葉が紡がれていた。


「恋のストロベリーリング~運命の糸は2つの光~」

恋愛シミュレーションゲームの悪役令嬢リーリエ=シュタイアーマリークが、マリーに対して行ってきた嫌がらせに肝を据えかねた王子が大事な友人のマリーと人生を共にしていく約束をするために卒業パーティーで断罪する場面である。


因みにここまでキスシーン等もなく、攻略対象達との見つめ会うスチルしか無いのだ。

とにかくジレジレキュンキュンの恋物語に世の乙女達はエストロゲンを、ドパドパ出しながら攻略していた。

かなり人気が出たゲームだった。


キラキラと煌めく金の髪にブルートパーズの様な瞳

誰もが振り返り、二度見する端正な顔立ち

最近は色気も出てきて、ご令嬢達の妄想力を底上げしている

ジュード王子。


傍らにはブラウンからクランベリー色のグラデーションの柔らかそうな髪に蜂蜜色した瞳のかわいらしい男爵令嬢のマリー=ハムネット嬢が、ふるふると震えて立っている

胸はなかなかのカップだと思われる。


目の前にはホワイトゴールド色の絹糸の様な髪に深紅の瞳のリーリエがいる。


「リーリエ=シュタイアーマリーク嬢、貴女との婚約をハッ!!!」


グハッッ

急に何だ、頭が割れるように痛い!

ないわーとかどこかで聞いた言葉だ...。うぐぐ。

心配そうにジュード王子を見つめるリーリエとマリー。




そうだ...俺は...


冷や汗をかきながら、倒れてしまわないように足にぐっと力を込めた


ジュード王子はポタポタっと汗が落ちたが、拭わずにいた


頭の中は高速で凄い事になっていた。



『やっべ、リーリエたんに、婚約破棄の宣言するとこだったああああああ

やっべ、マジ可愛いでしょリーリエたん

いや、なしなし、絶対に婚約破棄とか無し、最推しなんだから俺は将来性にかける男

マジですんでのところじゃん



ごくり、とりあえずこの場は...』



「婚約を...、ハッキリさせてもらう。」


「「え?」」


「婚約者としての自覚を問うている...」


「「え?」」


「リーリエは、俺が嫌いなのか?」




「は?何で?」

ハッとした顔をしてマリーは口を押さえる


リーリエは、訳がわからないという顔をしている

それもそうだろうう

3年間学園生活であまりジュード王子と話した事が無かったのだから

入学式の時にマリーと知り合い、学友として会話が多かったのは彼女の方だ。

イベント消化してましたからね、はい。


「俺は君との婚約を、ハッキリとしたい。この婚約に納得しているのか確認をしているんだ。」


リーリエは、無言でいた自分に気付き答える


「はい、し、失礼致しました殿下、その様な事は御座いません、私は、殿下の婚約者に御座います。にもかかわらず、責務を全う出来ていなかったことに陳謝致します。これからは、御不快な御気持ちにさせる事なく、励みたいと思います。どうぞ、お怒りを御治めください。」

見事なカーテシでジュード王子に礼をするリーリエたん


リーリエたんは、学園に入学してから暫くは挨拶しに来てくれてたんだけど、何かを期に(マリーとの出会いイベントから半年ぐらいたってからだろうか)いつも顔色が悪く、元気が覇気がなくなってしまった

最近少し腹が出てきてはいるが病気じゃ無いだろうな...と心配していたところだった。


「別に怒ってなどいないよ。近頃は挨拶も簡単に済ませていたし、それよりも私の事を忘れているんじゃないかと思ってね。」


「いえ、忘れたなどと、その様な事は御座いません。その...学園に入ってから、殿下は...」モジモジ


そう、今回思ったけどリーリエたんいつもモジモジして、ハッキリしない

何だか顔色が悪いし、話すと直ぐに離れていくし、マリーへの嫌がらせも大したことしてないんだよな...。


「私、殿下に嫌われたくなくて、その頑張っているんですが...」

そういうとボロボロと泣き出してしまった。

これには会場の皆様もドン引きである。

仮にも公爵令嬢の御嬢さんだ、こんなに簡単に涙を見せるなど、あってはならないのだ。


「リーリエ、手を...いや、良い」


「!!」


キャー(*ノ▽ノ*)っと黄色い声が上がった


泣いていたリーリエの手を取って会場から退場させようと思ったが

前が見えないくらいの泣き顔だったので、抱き上げてしまった。


もうジュード王子の頭のなかはすんごいことになっている。


やらけーとか、かわいーとか、いいにおーいとか、心臓破れるーとか語彙力を伴わない考えばかりである。


「私の婚約者は、どうやら気分が優れないようだ、本日はめでたい席で途中までだったが、楽しかった、皆も、最後まで楽しんでいかれるといい、私はこれにて...」

そういって王子は姿勢よく、リーリエを抱き上げて退場した。



「なんで、なんで、マリーを選んでくれるんじゃ無かったの!」

マリーは急に王子が人が変わったようで、混乱した。


「お姫様になりたかったのに...。愛されたかったのに...。」

ほの暗い蜂蜜色の瞳はゆらりと揺れた。

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