〜STORY 87 6月5日 壱〜
「…………」
翌日になり、優希は学校までの道中を常に警戒しながら奏音と飛香と登校した
「どしたのゆ〜ちゃん?さっきからずっとキョロキョロしてるけど誰かに狙われてたりするの?【ズイッ】」
「うわっ!?って飛香か……いきなり目の前に現れないでくれよ…びっくりしたじゃないか……」
「え?ご、ごめんなさい…そんなにびっくりするとは思わなかったからさ……」
右腕にくっついていた飛香がいきなり目の前のしかも顔と顔がくっつきそうな程の至近距離まで近づいてきた為、優希は後ろへ後ずさりその勢い余って尻餅をついてしまった
当の飛香もただ目の前で手を振ろうとしただけだった為優希が尻餅つく程驚くとは思わなかったのか思わず呆けてしまった
「全くもう、お兄ちゃんったら昨日からこんな感じなんだよね〜。夕飯の時もず〜っと上の空だったしお風呂に突入しても全然気がついていなかったんだもんね〜」
「ちょっと待って奏音?そんなの僕知らないけどいつ僕お風呂入ったの!?」
「え?お兄ちゃんがご飯食べた後ウトウトしている時にママと…」
「しかも椿さんと一緒に入ったの!?恥ずかしいから入ってこないでっていつも言ってるじゃないか!?」
「うん。だから【入って】ないよ?お兄ちゃんを私とママがお兄ちゃんを【入れて】上げたんだから!」
「…………さいですか」
もうダメだと悟った優希は全てを諦めこれ以上の抗議は不毛と思いこの議題を終了させた
「ちょっとゆ〜ちゃん!奏音ちゃんと椿さんと一緒にお風呂に入ったって本当なの!!私そんな話聞いてないけど!?」
かと思いきや議題は飛香によって延長戦に突入した
飛香は興奮気味に優希に食いついてくる
「あ、あのね飛香?僕は別に自分の意思で奏音や椿さんと一緒に入ったわけじゃないから……」
「でも一緒に入ったのには変わりないんでしょ!?しかも奏音ちゃんや椿さんのことだから湯浴みなんかきてるわけないじゃない!!」
「そ…それは……」
「うん。私もママも何も身につけてないよ」
「ちょっ!?何言ってるんだよ奏音!!」
優希に前のめりで食いついて問い詰める飛香に何かないかと脳内で言い訳を考えている最中、奏音はさも当たり前かのように答えた
「何よお兄ちゃん?今更恥ずかしがらなくたっていいじゃない」
「そうかもしれないけどせめて着てるとか言ってフォローしてよ!!兄が幼馴染に虐められそうになってるんだよ!?」
その幼馴染は今にも幼馴染に拳骨を振るいそうになっている
いや、優希の頭のタンコブを見る限り既に振るわれた後だった
「え〜?だって私嘘つくのとかちょ〜きらいだもん〜。お兄ちゃんだって愛しの妹のこと位充分理解してるでしょ〜?」
「ふ〜ん?一体誰が愛しの妹なのかしら〜?教えてほしいな〜ゆ〜ちゃ〜ん?」
「あの、飛香さん?目が…目がとっても怖いんですけど……」
「うふふ、おはよう優希君」
優希の背後から現れたのは若干頬を赤く染め妖艶な表情を浮かべた紫織だった
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