〜STORY 86 6月4日 弐〜
「…………」
「ゆ〜ちゃん?聞こえてるのゆ〜ちゃん?」
夕食になり優希の前に座った椿は学校から帰ってきてからというものずっと上の空状態の優希が気がかりで全く食欲がなかった
今日の夕飯のメニューは豚肉の生姜焼きに卵スープだ
「へぅ〜……ゆ〜ちゃんが全然反応してくれないよぅ〜」
「お兄ちゃんったら帰ってきてからず〜っとこんな調子なのよね…お兄ちゃんの敏感な所をいくら刺激しても無反応だもん……【プニプニ】」
奏音は放心状態の兄の頬っぺたをプニプニと弾ませながら反応が無いことを理由に反応されるまでずっとプニプニプニプニ触り続けた
「あはは!こんなにお兄ちゃんを触っても拒絶されないのは初めてだな〜!ほれほれ〜!お兄ちゃんの無限プニプニはアンリミテッドじゃあ!!!【プニプニプニプニ】」
「あ〜!ちょっと奏音ちゃん!私もゆ〜ちゃんのほっぺプニプニする〜!!【プニプニプニプニ】」
餅つきの合わせのように優希の頬は右に左に母と妹に触られ続ける
たまにスピードが上がったり急速に遅くなったりしたりと二人は優希の【ほっぺプニプニ】の虜になりつつあった
「あっ!ちょっとママ!!今奏音よりも多くプニプニしたでしょ!!」
「何言ってるの〜奏音ちゃん。私はゆ〜ちゃんの女なんだから多く触っても誰にも文句言われる筋合いは無いわ〜?」
「いや……あの、椿さんは僕の母親でしょ?女なんて彼女や恋人もみたいな言い方しないでよ……」
放心状態になっていた優希の意識が一気に覚醒した
実の母親に愛してもらってるのは照れくさいが嬉しいのだが流石に実の母親に息子の女宣言は黙っているわけにはいかなかったのだろう
「ダメよママったらも〜お兄ちゃんが本気にしちゃうじゃない〜」
「ぐふっ!?か、奏音あまり強く叩くなよ……」
奏音が卵スープを一気に飲み干してから苦笑しつつ優希の肩をバンバン叩く
しかしいつもは隙あらばべったりくっついてくる奏音がこうやって母親の暴走を止めてくれるのは本当にありがたい
「お兄ちゃんは私達のものでしょ?勝手に自分だけのものにしないでよね?」
「折角褒めていたのに!台無しじゃないか!!!」
やはり親子だなぁと優希は再び自分の頬をプニプニしてくる母と妹に呆れながら夕飯の生姜焼きを一口口にする
「あっ、美味しい……」
豚肉のホロホロとした脂身と甘過ぎずくどくないタレがご飯を駆け込む速度を倍にしてくれる
副菜の漬物たちはパリパリとした食感が心地良く味もしっかりしておりこれ単品でご飯が進むこと進む
「本当!!ゆ〜ちゃんに喜んだ顔が見れて私もすっごい嬉しいわぁ〜♡」
椿は息子が喜んだ表情が嬉しくうっとりとした表情を見せる
優希の僕がいつ旦那様になったの!?という意見は当然無かったことにだったりする
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