〜STORY 72 5月19日 九 〜
「ふぅ〜、あっついわね〜」
そんな昔のことを頭に思い浮かべながら友梨は先程購入したタピオカ抹茶ミルクティーを口にする
昨今の世の中では女子高生、女子大生を中心に大流行しているタピオカだが友梨自身もタピオカのもちもちとした食感が癖になり好きな推理小説を読みながらタピオカミルクティーを飲むのが密かな楽しみだったりする
「うん!いつも飲むミルクティーも良いけどたまには抹茶味も悪く無いわね」
「「ジャン!ケン!ポン!!……あい!こで!しょ!!!」」
普段は頼まないタピオカ抹茶ミルクティーを堪能する友梨だがその目の前では璃玖と飛香による壮絶なジャンケンが繰り広げられていた
今回の勝負の景品は友梨達の目の前に建っている【笑顔変身写真館】での優希との写真撮影である
チャイナドレスからコスプレまで色々な格好で撮影が優希と二人きりでできる事もあって二人の気合いは先程以上に漲っていた
「…………【グスッ】」
「やれやれ、ジャンケンで負けただけでそんなに悔しそうにされるのはお嬢様くらいですよ?もう少しは我慢強くなってくださいよ……ですよね優希様?」
「あはは……ジャンケンは運ですから……」
その後ろでまたしてもジャンケンに負けてしまい目元に涙を溜めて悔しがる晴菜を使用人である小鳥遊が呆れながら頭を撫でている
因みに晴菜は優希に慰めて欲しかったらしいのだが「敗者にご褒美はご法度!」と飛香と璃玖が言ったため願いは叶わずにいる
「ポイ!ポイ!…あっ、やった!!勝った〜!!」
「くっそ〜!!!!」
ついに勝敗が着き勝者の璃玖は勝利のVサインを高々と天に掲げた横では飛香が女の子らしく無い事を口にしながら悔しそうに地に伏せた
そんな飛香の表情はこの世の終わりと言わんばかりに絶望に満ちて溢れていた
「やった〜!!(よし!この勝利は大きいぞ!あ〜んなんか正直一瞬の思い出だけど写真は一生残るから思い出になる!僕の勝ちだ!!)」
「うぅ、ムカつく〜!!大体何であんたが参戦してんのよ〜」
「それは流石に酷いとは思わないかい?君の言い方だと僕はこの班で仲間外れになる事になるのか。それは辛いなぁ〜?」
璃玖は視線を優希に向ける
璃玖から向けられるその眼には「優希なら分かってくれるよね?」と確信している様な眼であった
優希は横で縮こまっている飛香を見るとその視線に気づいた飛香は「ゆ〜ちゃん助けて?」と震える子犬の様な視線を向けるのだった
どうしたものかと困り果てた優希は口に手を当て必死に知恵を絞った
優希からしたら二人とも大切な幼なじみの願いを無下にしたくないのだが半端な意見は逆効果とすぐそんな考えを捨てた
「それじゃあ〜行こうか璃玖?(確かに誰か一人を仲間外れにするのは可哀想だし僕も嫌だな。……まぁ僕が我慢すればどうとでもなるのかな?)」
「えぇ〜!!?」
「いやったぁ〜!そうと決まったら今すぐ行こう優希!写真撮りまくるぞ〜!!」
さらなる絶望を味わう飛香とは対照的に優希の手を引っ張り写真館に入り込む璃玖の顔は喜びに満ちていた
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