〜STORY 68 5月19日 伍 〜
「な、なんで飛香がここにいるんだよ!」
ここが彼女のバイト先というのなら少しは納得出来るのだがここは【横浜中華街】という普段訪れることはない場所で何故飛香がここのウェイトレスとして働いているのかが分からなかった
「え〜?たまたま通りかかった時に店員さんにスカウトされちゃって今日の数時間だけでいいからウェイトレスをやらないかって誘われちゃったの!似合うでしょ〜」
そんな幼馴染の質問に飛香は得意気に答えるとクルリと回ってみた
飛香は自慢の髪をかきあげるのだがチャイナドレスの格好をした飛香がかきあげると妙に色っぽく映り優希の心拍も徐々に上がって行った
優希達が店に入る前に飛香がウェイトレスとして対応したのだがお客からはかなり好評だったらしく次も彼女に担当して欲しいとリピートする人が数多くいた
後日リピートしに来たら飛香がいない事を知ってかなりショックだったらしく店の客足が減ったことはまた別のお話
「…………【ギュム】」
「ふぐぅ!?な、なんで璃玖が抓るのさ!!」
「……別に?」
イラッとしたのか璃玖はこっそり優希の背後に近づくと腰の部分を思いっきり抓った
しかもただ抓るだけではなくラジオのダイヤルを回すように抓るので痛さが倍以上にくる
「ちょっと仁科さん?まさかとは思うけど給金は貰ってないでしょうね?校則ではアルバイトなどは学校に申請して担任の先生や校長先生の許可が必要なのよ?」
「もちろん。これはあくまで校外学習内の【職場体験】なのだからお金は貰ってないし、念の為に担任の柳田先生にもこういうことをするって連絡もして了承も得たから何も問題ないわよ!!」
飛香のクラスの担任の柳田先生は野球部の顧問を務めていることもあり比較的に問題を起こす生徒を厳しく指導するのだが時折問題を起こす飛香に流石の先生も指導するのを諦めてしまい問題を起こさないのなら何してもいいと完全に放任してしまっている
ちなみに優希や晴菜に璃玖も放任扱いになっているのだが当人達はその事実を知らずにいた
「ふぅ…堪能しましたわ。優希様?ウェイトレスさんのお仕事のお邪魔になってしまいますしそろそろお暇いたしませんか?」
飛香が来てから大人しくなっていた晴菜は既に会計を済ましてレシートを優希に見せると店から出ようとする
「う〜ん…確かにそうだね。それじゃ頑張ってね飛香!」
「はい。ありがとうございました!またのお越しをお待ちしております」
「え?……う、うん!」
帰ることになりてっきり喧嘩が起きるのかと思っていた優希は意外な反応をする飛香に少々驚いた
「(そっかぁ……学習の一環だから流石の飛香も勝手なことはしないんだな…なんか安心した…)」
勤勉な飛香に感心しつつこれからの事について話ながら通路を通り皆が店を出るのを店の外まで見送っていく……かと思いきや飛香は制服のチャイナドレスを着たまま付いてくるのだった
「あの……飛香?店戻らなくていいの?その服だって店のものなんだし返さないとまずいんじゃないかな?」
「あぁ、これは手伝ってくれたお礼にあげるって言われたの!これでいつでもゆ〜ちゃんにご奉仕できるね!!」
飛香はそのまま抱きついてきて優希の方を頬擦りする
その光景をたまたま見ていた海外の観光客はOH!と興奮し写真に収めている
「あぅ……恥ずかしいから離れてよ飛香」
「や〜だ!だってゆ〜ちゃんに褒めてもらいたくて頑張ったんだもん!ご褒美があってもいいと思うけどなぁ〜?」
「ご褒美って……何すればいいのさ…」
「ん〜……私とゆ〜ちゃんが婚約するとか?」
ご褒美の範疇を超えているのではと思ったのはきっと優希だけではないはず
璃玖はまたおかしなことを言い始めたと手を額に当てて呆れ、友梨に至っては本気で言ってるの?と言わんばかりに驚いていた
友梨の反応が最も正しいのが世間的だがこのメンツはその世間的に当てはまらない
「ダメですわ!!優希様は私の旦那様になって頂くのです!他の方になど渡す気はありません!!」
空いていた優希の腕にくっつき離さないとこちらに引き寄せる晴菜の目は獲物を逃さまいとする鷹のように鋭い目となっていた
「あら?誰よりもゆ〜ちゃんのことを知り尽くしている正妻の私にぽっと出のお嬢様が勝てるとと思ってるの?お笑い草だわ」
「いいでしょう!どちらが優希様の妻としてふさわしいか勝負ですわ!仁科飛香!!」
「上等じゃない!返り討ちにしてあげる」
突如始まった晴菜と飛香の真剣勝負
果たしてどちらが優希の真の妻となるのか
それは神のみぞ知る
「あの……これって校外学習なんだよね?」
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