〜STORY 62 5月10日 放課後 晴菜編 〜
「本日もお疲れ様でした。お嬢様」
放課後の帰り道
晴菜は優希達と別れた交差点の先で使用人の小鳥遊が車の前で晴菜を出迎えていた
2年になってなるべく優希と一緒にいたいということもあり、ある程度の所で別れてから車に乗ることにした
「そんな無駄なことする必要はないだろ!いいから私の元へ早く帰って来なさい!!」
と父親に一度は言われたが晴菜は父の言葉を一切聞かず実行に移した
優希への大いなる愛の前には父親の言葉などまるで無意味なのだろう
ちなみにその後、父親は晴菜から一切口を聞いて貰えず最初は反抗期特有のものなのだろうと初めは黙っていたのだが晴菜の変化が一向に見られなかった
愛娘から無視され続ける日々が続くようになり自分の発した言葉を後悔しあの手この手と構って貰えるように努力してはいるもののひと月経った今でも口どころか会ってすらいなかった
「そろそろ旦那様をお許しになってはいかがですか?この所旦那様の部屋を訪れる度にお嬢様のことについて事細かに説明要求してこられまして正直うんざりしてるんですよ」
「優希様の事を悪態付ける父など不要です。私に許して欲しいならこのまま私の邪魔をせず近寄らないことだと言っておいてくださいな」
「え〜嫌ですよめんどくさい……」
外の景色を眺める晴菜は一切興味を示すことなく話を切った
小鳥遊も同じように外を見ながらまた面倒な仕事が出来たと晴菜の前でもお構いなしで溜息をつく
本来の使用人ならあるまじき行為なのだが晴菜は一切咎めないのは晴菜がそうするように言ったからだ
晴菜曰く自分の一番近くにいるのに堅苦しい主従関係なんて信頼にならないらしい
「あ〜、それじゃあついでにご飯でも食べてから帰りますか〜。お嬢様は何が食べたいですか?因みに私はお肉が食べたいですね!具代的には塊と言われるくらいのおっきなステーキがいいですね!!」
「…それはもうステーキが食べたいと言ってるようなものよ?」
目をキラキラさせて提案をする
夕食は小鳥遊と食事を共にすることが多い晴菜だが食事のチョイスを小鳥遊がすると決まって自分の食べたいものが多い
因みに2日前の夕飯はケンタッ○ーだった
「でもそうね…猿翔さん?近くのスーパーに寄ってくださる?」
「かしこまりましたお嬢様」
運転手の猿翔は控えめに頷いて進路を変えた
晴菜が生まれる前から眞田家の運転手として勤めており晴菜が産まれてからは晴菜専属の運転手になった
今までの晴菜は車の中では一切喋ることはなく、雰囲気もとても暗かった事がほとんどだったのだがある時からその日の事、具代的にはある【同級生の男の子】との出来事を事細かに話すようになり雰囲気もとても明るくなって猿翔も内心とても喜んでいた
「え〜?スーパーのお肉ですか〜?私もっとガッツリした奴がいいですよ〜」
「文句があるなら貴女の分は作って差し上げませんわよ?」
「行きましょうお嬢様。荷物運びは私小鳥遊にお任せください!!」
スーパーの駐車場に着くと小鳥遊は一目散に走っていった
そんな使用人の姿に苦笑しつつ晴菜も車から降りて入り口へと向かった
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