〜STORY 54 5月7日 壱 〜
時刻は12時過ぎで西海大学の食堂にはお腹を空かせた学生や職員などが大勢集まっていてすごい賑わいを醸し出していた
サークルのメンバーで大勢集まって食べていたり一人で黙々と食べている生徒もいたりと昼の食堂は色々な人間模様を映し出している
「はぁ…どうしようかしら陽子【モクモク】」
「ん?唐突にどうしたのよ?」
大型の男子生徒が山盛りの定食を平らげている後方で葵は安くて美味しいと評判のナポリタンセットを食べながら和食定食を食べている友達の陽子に相談に乗ってもらっていた
「実はね、今度の日曜日に優くんにお勉強を教えるんだけどさ……」
陽子は和食定食のメインディッシュのサバの味噌煮を一口した瞬間葵の話を聞くと手に持っていた時箸を床に落としその場にカランという音が鳴り響いた
【優くん】というワードが聞こえた瞬間、陽子の脳内から危険アラームが鳴り響いた
葵の想い人である優くん絡みの話で陽子はいいことが起きたことが一切無く軽いトラウマさえ覚えている
「あっ、もう何やっているのよ陽子。もうしょうがないわね〜。ちょっと待ってて?今新しいやつ持ってくるから」
葵はそう言うとカウンターに向かい新しい箸を取りに行くと陽子は頭を抱えてしまった
「(はぁ…あの子の口から【優くん】って言うワードが出てくるとろくなことが起こらないのよね〜。でも断ったりでもしたら何されるか分からないし聞くしか選択肢はないわよね……はぁ…)」
「はいお待たせ〜……って何で溜息吐いているのよ陽子?」
箸を片手にテーブルに戻ってきた葵は頭を抱え込んで溜息をついている友達に対しキョトンとしていた
「(あんたのせいでしょうが!!……って言えるわけないでしょ〜!)な、何でもないのよ葵!ごめんね箸持って来てもらっちゃって!」
陽子の反応に首を傾げながらまぁいいかと納得した葵はニコニコと笑顔で席に着き話を続けた
「いいのいいの!それでね今週末に優くんの家に行くんだけどさ!どんな格好したら高校生は襲ってくるのかな?」
「……はい?」
陽子は葵の発言に耳を疑った
陽子の耳に聞こえてきた言葉は【どんな格好したら高校生は襲ってくるのかな?】だった
陽子は葵の顔を恐る恐る見てみる
「……【ジーッ】」
葵は陽子からの返事を今か今かと眼をキラキラ輝かせて待ち望んでいた
「(あぁ…この子私が優希君に確実に襲ってくれるような意見しか求めていないわ)」
陽子も恋愛に興味のある年頃だからどのように男性を誘惑するかは葵と何度か話したりすることもあったがあくまで【一般的な情報】に過ぎない
その点葵は普通の恋愛以上を求めている
「(そんなの分かるわけないじゃないのよ〜!!)」
と言いたいところなのだが正面に座る葵はだんだんと陽子に距離を詰めて来ている
よほど陽子からの返事が待ち遠しいのだろう
陽子は頭を講義を受ける時以上に働かせる
色々な考えを思い浮かべること2分程である1つの案を提案する
「……男の子がついムラムラしてくるような格好をしたらいいんじゃない?」
「…それよ!!【パアァ】」
陽子の提案に葵はしばし硬直した後、陽子の手を取り立ち上がった
葵から伺える顔付きはまるで勝利を確信した蚊のような輝きだった
「そうよ!私にはあの子達には無いこの自慢のボディーがあるじゃない!!よ〜し!行くわよ陽子!!」
ブツブツと一人で呟いているなと陽子が思っていると葵は急に陽子の手を取ると強引に引っ張っていった
「ちょ、ちょっと待って葵!!この後の講義は!?」
「そんなのどうだっていいわ!今すぐ優くんが誘惑できる服を探さなくちゃ!!!」
陽子の制止も全く耳に入らず葵は陽子を連れて服探しへと向かった
葵の求める服は思いの外多く見つかりその総額は数万を超えたとか……
読んでいただき誠にありがとうございました!
もし良かったら高評価、ブックマーク頂けたら幸いです!
あと感想や作品についての意見など頂けたら作品力向上に繋がるので是非お願いします!!
では次回もお楽しみに!!