〜STORY 50 5月3日 弐 〜
「どういうことなのかちゃ〜んと説明してよね?ゆ〜ちゃん!!」
「さっきはどこの誰とイチャついていたのお兄ちゃん?飛香ちゃん?それとも晴菜お姉ちゃん?それともこのクラスの女の子?いい子だから妹の私にちゃんと教えて欲しいなお・に・い・ちゃん?」
4限目の終了を告げるチャイムが鳴り昼休みに入ると扉を蹴破る勢いで飛香と奏音が同じタイミングで教室には入ってきた
隣の教室にいる飛香はともかく一階上に教室がある奏音が飛香と同じタイミングとはどういうことなのか…優希の問いに答えてくれるものは誰もいなかった
「あらあら、お二人共女の子だというのにバタバタと足音立ててはしたないですわよ?もう少しおしとやかに致しませんと優希様から嫌われてしまいますわよ?」
優希の横に座り自分で作成した卵焼きを口にした晴菜が飛香達の行動が面白かったのかコロコロと鈴が転がる様な笑い声をあげた
「うるっさいわね!そもそもあんたがさっきゆ〜ちゃんに意味もなくベタベタとくっついていたんでしょ!?わかってんのよ!この淫乱女!!」
「華の女子高生が淫乱って言葉を口にするのはどうかと思うけど…確かにお兄ちゃんを誘惑するとしたらこの教室だと貴女くらいしかいませんよね眞田先輩?はっきりおっしゃったらどうですか?」
晴菜に笑われた飛香は晴菜の方を向くとバンッ!と机を叩き詰め寄り奏音が飛香の後ろから続くと口元に手を置き考察をする
「まぁまぁ…立ち話もなんですし、お二人共座ってお食事に致しましょうよ。……本音を言いますと私は優希様と二人きりで!お食事を共にしたいので出来ればお二人には自分の教室で召し上がってほしいのですが……」
「「【ビキィ!!】」」
詰め寄る飛香達に臆することなく晴菜は食事を続けながら2人に対して強力な毒を吐くと飛香と奏音の額に怒り青筋が多数浮き上がってきた
「(うわぁ…2人とも相当怒ってるよ。飛香が怒るのはともかく奏音がこうなるのは珍しいなぁ)」
「【ギロッ!】何考えているのかしらゆ〜ちゃん?」
「ひぅ…な、なんでもないです飛香さん」
大人しく食事をしていた優希が良くないことを考えていたのを察した飛香が優希に鋭い目付きを向けるとひるんだ優希は縮こまってモソモソとご飯を食べ始めた
奏音が晴菜に詰め寄ると晴菜はカップに入れた紅茶を一口飲み、ふぅ…と一息つくと奏音の方を向き直り
「…あの時、優希様の頭を撫でたりしていちゃついていたのは私ではなくそこで優希様にアーンをしようといる武田君ですわよ?私は自分の席で其の光景を只々眺めることしかできませんでしたわ」
晴菜の予想外の言葉に2人は同時に璃玖の方に向き直ると璃玖は優希に自分のご飯食べさせようとしていた
「ほらほら優希。次はこのミートボールを食べてごらんよ?タレがタップリ付いてて美味しいよ〜」
「も、もういいだろ?僕にばっかり食べさせていないで璃玖は自分の分を食べなよ!」
恥ずかしがりながら遠慮する優希の反応が背中からゾクゾクっとくすぐったのか璃玖は更に優希に詰め寄り弁当のおかずを食べさせようとした
「そんなことは優希が気にすることじゃないよ。ほら口開けて?あ〜ん」
「「いつまでも二人でイチャイチャしてんじゃないわよ!!【バキィ!!】」」
「ちょ、僕は別に何もグフゥ!!?」
優希の言葉を一切聞かず飛香と奏音はこれまた同じタイミングで優希の両頬に拳をめり込ませた
そのまま優希は隣に座っている晴菜の胸に倒れこみ目をクルクルと回していた
晴菜は最初びっくりがするがすぐに優希を自分の胸に抱きかかえる
まるで愛しき我が子を抱くように
「まぁまぁ優希様ったら可哀想に…でも私の胸に倒れこむとは私…幸せの余り昇天してしまいそうですわ」
「ちょっとあんた!!ゆ〜ちゃんを離しなさいよ!!」
「お兄ちゃんもお兄ちゃんでなんで私の胸じゃなくて眞田先輩の胸なのよ!!眞田先輩みたいな貧相な枕じゃ満足できないというのに!!」
羨ましさ全開で奏音が叫ぶと晴菜はピシィ!と固まって数秒動かなくなったがその後ギギギとブリキの人形のように首を動かし奏音を見ると其の晴菜の顔を見た奏音は青褪めた
「貧相?…一体誰の胸が貧相なのでしょうか…?教えてもらってもよろしいでしょうか?」
晴菜の顔は側から見たら笑っているように見えるが目は一切笑っておらず笑顔もドス黒いものが写ってしまうため非常に怖く小心者なら泣き出すか気を失ってしまうほどの恐怖を覚えるだろう
「いくら優希様の妹様でも言っていいことと悪いことはありますのよ?お分り頂けますでしょうか?奏音さん?」
「は、はい…眞田先輩……」
陽の光に輝く銀色の髪がまるで阿修羅の如く揺れていて晴菜の顔が横側からしか見えない優希からでも晴菜の怒りが伝わってくる
晴菜と対峙する奏音には優希以上に伝わっており心なしか恐怖で震えてしまっていた
そんな奏音に晴菜は怖い笑顔からいつも見せる笑顔に戻すと奏音の手を取った
「晴菜とお呼びください奏音さん。それに優希様の妹様は将来の私の妹と同義ですわ。末長く仲良くしていきましょう」
ニッコリと微笑む晴菜に色々と言いたいことがある奏音も握られる手の力に抵抗は逆効果と判断し黙っておくことにした
「(相変わらず優希はモテるな〜。まぁ…僕と優希の仲に勝る人はいないけどね〜)」
ミートボールを頬張りながらニコニコと間接キスを楽しむ璃玖は満足げに昼食を堪能した
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