〜STORY 45 4月21日 四 〜
「なんかゆ〜ちゃん最近あの女とばかり一緒にいすぎじゃない?学校でゆ〜ちゃんを見る度にあの女が隣にいる気がするんだけど?」
ベットに足を組んで座る飛香は座っている優希を見下ろすような感じで冷たい視線を飛ばしてきた
「ははっ、そんなことないよ!……って言いたいんだけど確かにそうかもしれないなぁ…」
苦笑して答える優希だったが思い当たる節があるのかはっと気づくと腕を組み記憶を探る
確かに昼休みや下校の際飛香や奏音といるがそれ以外の時は晴菜とずっといるかもしれない
「でも側にいるのは晴菜さんだけじゃなくて璃玖もいるからね?寧ろ璃玖と話してる時に晴菜さんが入ってきて3人で話すことが多いくらいだし…」
「武田君は男の子いいの!!」
「なんで璃玖は良くて晴菜さんはダメなのさ!!」
飛香の家に入った当初は優希に対して目付きを冷たくしていた飛香だったが暫く優希と学校での事を話していると次第に明るい表情を戻っていった
それでも学校での話を優希とすると必ず晴菜が登場するので飛香はその度に不機嫌になってしまう
優希がそのことを気にして晴菜の名を出さないように気を使うが晴菜自身から出してしまうので優希もどうしようもない
「そ、そういえば飛香の方はどうなの?クラスで仲良いい子とかいるの?」
強引だが話を無理やり変える
ハズレの時もあるがあたりを引き当てるとその話は無かったかのようになるのでこれが一番いいと幼少時から学んだ優希の知恵だったりする
「え?いないけど?」
そんな優希の問いに飛香は一瞬も迷うことなく即答したのだった
「飛香…そろそろ普通に話せる友達とか作ろうよ?それじゃあクラスで孤立しちゃうんじゃないの?」
「別にいらないわよ。私はゆ〜ちゃんと一緒にいれる時間さえあれば友達なんて必要ないわ。寧ろ友達がいる事でゆ〜ちゃんがあの女と仲良くしている方が問題よ」
「【はぁっ】」
飛香はそう言うと優希は深く溜息を吐く
新しいクラスになって1ヶ月近く経とうというが飛香の一匹狼ぶりは変わっていないが飛香の想いに気づいていない優希に飛香はなぜ友達を作らないのかわからないでいた
「そ、そんな悲しそうな顔をしないでゆ〜ちゃん?別にクラスで全く話をする人がいないことはないの。世間話程度する人はいるのよ?」
優希が少し残念と言わんばかりの表情をしているのに気づいた飛香は安心させようとそんなこと言ってみるが当然嘘である
「本当に……?」
「ほ、本当よ!!私がゆ〜ちゃんに嘘つくわけないじゃない!!」
優希から疑いの深い視線を飛香にぶつけてきて飛香は否定するが、世間話といっても学校生活での必要最低限の会話しかしてないので嘘か本当かはギリギリである
「(は、早く来てママ〜!!!)」
飛香は背中に携帯を隠し明日美に向けて早く部屋に来るようにメッセージを打つ
するとメッセージを送信してすぐに階段から音が聞こえてきた
「(よ、よかった〜!ありがとうママ!!)」
ガチャ
「飛香?あなた下に着替えを置きっぱなしよ?いい加減片付けなさい?」
「なんで今それを持っ来るのよ!!!?」
部屋に入ってきた明日美は飛香の着替え(ほとんどが下着)を持って現れた
これが真面目なのかふざけているのか分からないと言いたいが明日美のニヤついた表情からわざとだと確信が持てた
そんな明日美に飛香は顔を真っ赤にして明日美の背中をポカポカ叩いて怒りをあらわにし飛香から逃げ回る明日美
ポトッ
「…………(うん、僕は何も見ていない。今日も空は青いなぁ〜)【プイッ】」
明日美と飛香の走り回った後には飛香のものであろう下着が散乱していてその一つも優希の前にピンクの色の下着が落ちてきたがまた直視して飛香に怒られかねないと判断した優希はすぐに視線を明後日の方向に逸らすが今が思春期の真っ只中の優希には脳裏に映ったピンクのパンツが忘れられず再び視線をパンツに戻してしまった
「まったく……誘惑するにしてもこれは流石にやりすぎなんじゃないのママ?」
「うふふ〜ゆうちゃんったら飛香のパンツに興味津々なのね〜。良かったじゃない飛香。これからもゆうちゃんにたくさん見せてあげたらゆうちゃんが襲ってくれるんわよ〜」
「【はぁ…】ちょっとこっち来てママ」
持っていた物を全て飛香に回収され飛香に拘束されたがニコニコと楽しそうに眺める明日美に溜息をつくと飛香は明日美を連れて部屋を出て行った
「ふぅ…相変わらずだなぁ明日美さん。あの飛香をあんなに動揺させれる人ってそうそういないもんなぁ…【パタパタ】」
残された優希は少し興奮して体温が上がってしまった体を手で扇いで冷ますのだった