〜STORY 42 4月21日 壱 〜
「ねぇ飛香?最近ゆうちゃんとはどうなの?」
「え……?」
優希の家のすぐ隣にある飛香の家
夕食を食べ終え食後のデザートのシュークリームを堪能していた飛香は唐突に母親の明日美からの質問に驚いたのかシュークリームのクリームが落ちそうになった
「え?じゃないわよ。あなたも結婚できる歳になったんだしゆうちゃんだって来年の誕生日には結婚できるようになるのよ?お母さん早く可愛い孫を抱きたいわ〜」
飛香がそんな中明日美は淡々と話を続け、未来の孫を抱いてる姿を想像していた
結婚してからすぐに飛香を身篭った明日美はあまり余裕を持って飛香を抱けなかったのが心残りなようでその無念を孫で果たそうとしていた
「そ、そんなのダメだよ母さん!まだ優希君は未成年じゃないか?」
明日美の横の席に座って新聞を読んでいる眼鏡を掛けた痩せ気味な明日美の夫の太一は飛香を想ってか明日美の意見に異議を唱える
普段は市役所の職員として働く太一は根っから真面目という事もあってそういう点では厳しいのだが…
「あなたは黙っててちょうだい。」
「はい。すみませんでした」
明日美が太一にニコッと微笑んだだけで太一はテーブルからカサカサと離れ土下座スタイルで明日美に謝罪した
太一は一応明日美に意見はするのだが明日美には絶対服従の亭主関白の女版のため結局意見しても意味がない
「未成年でも何でも早いうちにゆうちゃんを手に入れないとあの子は絶対に他の子のものになってしまうわ。それだけは絶対にダメ。あの子は将来私の女婿になるんだから……」
「ママ……」
腕と足を組んで太一に説明をする明日美の姿に飛香を感動を覚えていた
いつも不安になった時必ず助けてくれる母の存在はとても大きくこれまで何度も飛香は明日美に助け舟を出してもらってる
「実はね?ママ……最近ゆ〜ちゃんの周りに沢山のハエが飛ぶようになっちゃったの…しかも全然駆除できない上ドンドン成長していくし」
「もしかして例のお嬢様以外にも増えているの?」
モジモジと明日美に優希と仲良くなっている女性が増えていることを話をすると明日美は紅茶を一口飲んで深く聴き込む
「うん。高校の先輩でバイト先の先輩でもある人と家庭教師の大学生なんだけど」
飛香は携帯の画面を見せてその女性達を説明する
当然のことだがバイトの先輩は紫織で家庭教師の大学生は葵である
紫織の写真はバイト中こっそり撮影した接客中のもので葵の写真は西海大学のミスコンでグランプリを獲得した時のものである
「へ〜!二人共すごい美人さんじゃないか!さすが優希君はモテるんだなぁ〜」
「あなた。明日のお弁当は煮豆だけでよかったかしら?【ニコッ】」
「ごめんなさい黙ってます」
またしても明日美の笑顔の前で土下座をする太一
当初は眼鏡を外していたが外すことを咎められてしまってからは徐々に慣れてしまって現在は外すことなくするようになってしまった
「確かに二人共かなり綺麗ね。特にこの大学生の子なんかかなり強敵かもしれないわね」
「うん…スタイルいいしおまけにゆ〜ちゃんに勉強を教えられる程頭いいんだろうし」
「問題はそこじゃないのよ飛香。問題なのはゆうちゃん自身の方」
明日美はカップに入った紅茶の残りを一息で飲み干して新しいものを入れる
当然その役目は夫の太一の仕事なのである
「ゆうちゃんは椿さんのことが大好きでしょ?」
「うん。かなり…だと思う」
〜優希宅にて〜
「クシュッ……んん?少し寒いのかしら?【ギュムギュム】」
「あの…椿さん?そろそろ膝から降ろしてもらってもいい?」
「ダメよ!!最近ゆ〜くん私に全く構ってくれないんだもん!今日だって一緒に寝てくれなきゃ嫌なんだから!!」
「はぁ……わかったよ。」
〜再び飛香宅にて〜
「飛香。明日ゆうちゃんを家に呼びなさいな。」
「い、いいけど……何するの?」
そう飛香に告げる明日美の瞳にはメラメラと炎が燃え上がっていた
「当然!!ゆうちゃんを落とすのよ!!」
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では次回もお楽しみに!!