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〜STORY 41 4月18日 伍 〜

「それじゃあ帰りましょうか紫織さん」


穂乃果と別れ優希と紫織は家までの道のりを歩く

紫織はチラチラと優希の手を握ろうかと試みるも途中で恥ずかしくなり手を引っ込め心みては引っ込める動作をずっと繰り返していた


「(うぅ〜!手握ってみたいなぁ…)


紫織の思いとは裏腹に実際に行うことは叶うことはできず【秦苑通り】を通ると紫織は店の前で立ち止まった


「ん?どうかしましたか紫織さん」


紫織が立ち止まった店は美味しいイタリア大衆料理が食べれることで密かに人気を集めている【トラットリア・フェリチタ】の店だった

因みに【トラットリア】とはイタリア語で大衆料理屋を意味していて【フェリチタ】はイタリア語で幸福という意味である


その名の通り食べた人達が幸福に包まれて欲しいという願いを店主の方が店を建てる際に込めたと特に女子学生が訪れている(女子高生は流行ものにはとても敏感だから)

紫織は【トラットリア・フェリチタ】の店内で食べている男女のカップルが食べさせあいながら食事している風景を恨めしそうに眺めていた


「もしかして紫織さん……」


「あっ!…ち、違うの!これは別に優希君にあ〜んして欲しいとかそういうんじゃ!!」


優希の言葉を遮るように紫織は顔を真っ赤に染めながら両手をバタバタと振りながら否定しようとしている


「そうですね。僕もバイトしてお腹空いちゃいましたし少しお腹に入れましょうか?」


「…………【ゲシゲシ!】」


「い、痛い!!足を踏まないでください紫織さん!!」


そんな紫織を他所に優希は紫織の考えとは全くかけ離れた思考をしていた

優希には紫織が【お腹が減ってご飯を物欲しそうにしていた】となってしまったので紫織は優希の足をローファーの靴で強く踏みつけ続けた

そんな光景を通りすがりの人からは【デート場所を間違えて彼女に怒られているカップル】に見えたらしい


「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ」


店内は【シリウス】に似たような風景だが壁にはレンガを敷き詰めているなどやはり日本の店とは少し違ってるなど雰囲気は日本の飲食店とは一味違っていた


「どれも美味しそうですね〜紫織さんは何にします?」


「そ、そうね〜……どれも美味しそうだから迷っちゃうなぁ〜」


優希に振られ紫織はメニュー表をを見るも優希とご飯が食べれればとしか考えてなかったのでどれがどれだか全くわからない


「(ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ?ランプレドット?どうしようどうしよう!どれを選んだら歳上の女性として選んだほうがいいんだろう!?)


メニュー表には料理の写真が載っている事が幸いだが優希へのアピールにはどの料理が有効かわからなくなる

肉料理は美味しそうだががっついてないか

魚料理は魚の顔がマイナスポイントになってしまうんではないかなどと考えてしまう


「じゃあ僕は【サルティン・ボッカ】にしようかな。」


「わ、私は…この【ピカタ】にしようかな……」


優希が選んだ【サルティン・ボッカ】は仔牛肉の包み焼きで薄切りの仔牛肉に、プロシュット(または生ハム)セージの葉を巻き上げたものを、マサラ酒や白ワインとバターで仕上げたもの


紫織が選んだ【ピカタ】はイタリア料理に由来する西洋料理のひとつ。バター焼きした子牛肉のレモン汁かけで日本では豚肉に食塩、コショウなどで下味をつけてから小麦粉をつけ、粉チーズを混ぜた溶き卵をたっぷりとからませてソテーしたものが「ポークピカタ」として知られている


店の店員に注文を告げると優希と紫織はバイトや学校での話を咲かせていた


「そしたら片倉さんが拳骨で殴ってきたの!!」


「あはは、さっき聞こえてきた音は片倉さんのものだったんですね」


待ち時間はお互いの話がとめどなく続き、紫織はこの時間が永遠に続けばいいのにと少し寂しそうになった


「お待たせいたしました」


ほどなくして同じタイミングで優希の注文した【サルティン・ボッカ】と紫織の注文した【ピカタ】がテーブルに並んだ


「うわぁ〜美味しそう!!いっただっきま〜す!!」


優希はテーブルに料理が並んだ瞬間ナイフとフォークを手に取って料理に手をつける

バターの香りが食欲を引き立て全くくどくなくて美味い


「いっ、いただきます…」


紫織も優希が食べ始めるのを見てから自身の料理に手をつける

こちらの【ピカタ】はレモンの風味が口の中で広がり肉の旨みをさらに引き立てている


「うわぁ!美味しいなぁ!!紫織さんも一口どうです?」


「え?」


優希は一口サイズに切り分けると自身が使用したフォークに肉を刺して紫織の前に差し出した

優希は自然にしたことなので全く気にしはしないが優希が使用した=間接キスと瞬時に脳内が判断した紫織は食べてもいいものか判断が追いつかない


「遠慮しないで食べてください!本当に美味しいですから!!」


困惑する紫織とは対照的に満面の笑顔で肉を差し出す優希

もう片方の手にはスプーンが握られており器用にスープを飲んでいた


「ゆ、優希君がいいなら…【ハムッ、モクモク】!?お、美味しい!!」


「そうでしょそうでしょ!ここの店は大当たりですね!」


紫織が口に付けたという些細な出来事を全く気にしてないようで優希はそのまま料理を平らげていった

それはそれで面白くない紫織はぷくーっと頬を膨らませた


「(なによ…もう少し意識してくれたっていいのに!私だけがテンションあがっちゃって…バカみたい)」


「紫織さん?頬っぺた膨らませてどうしました?」


「何でもない!!」


「???」


首を傾げた優希はそのまま食事を続けようとしたがソースが手についていたのか優希はフォークを足元に落としてしまった


「あっ…!しまった!」


「もう、美味しいのは分かるけど落ち着いて食べなさい…?」


「あはは…申し訳ない……」


そんな優希を呆れた口調でいう紫織だが慌てている優希が少し可愛いと思ってしまった

優希はテーブルの下に入りフォークを探すと丁度紫織の足元に落ちていた


「おっ、あったあった。」


テーブルの上から「見つかったー?」と紫織の声が聞こえてくる


「はい!見つかりま!!!?」


見つかったと答えようとした時紫織はなんの意図も考えていないだろうが無意識に足を開いたのだろう

制服のスカートしかも優希の前ではいつもより短くしている為開いた瞬間間から白いものが優希の視界に映り込んだ


ゴン!!!!


テーブルがまた上がるほどの衝撃が走り、料理が盛り付けられているお皿が軽く飛び上がった

店内にいたお客さんや店員さんが一斉に紫織達の席に注目をした

紫織は自分たちい向けられた視線を軽い会釈などで返しことなきを得た後、足元にいる優希に先程の音について問いかける


「ど、どうしたの優希君!!?何があったの!?」


足元から優希が涙目で頭を抑えながら現れた


「……なんでもないです」


優希はそのままテーブルにつき食事の続きをしたのだが、何故か紫織の表情がとても明るいことに違和感を覚えた

読んでいただき誠に有難うございました!!


もし良ければ高評価、ブックマークしていただけると嬉しいです!!


ではまた!!

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