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〜STORY 33 4月15日  〜

「藤堂さん!!もしよかったら僕たちと一緒にお花見でもしませんか!?」


「俺たち!藤堂さんに楽しんでもらえる様な事たくさん用意しましたので!!」


「お酒におつまみ、花より団子でも構いません!!」


「「「よろしくお願いします!!!!」」」


「お断りです。それじゃ…」


「「「あぁ!!葵さん!!お待ちを!!!」」」


今日の講義が終わり帰宅しようとしていた葵の元に同級生の輩達(実際は輩では無くいたって普通な大学生だが葵からは輩にしか見えなかった)に花見に誘われ心底うんざりしていた


「(はぁ〜、これが優君だったら快くOK出したのになぁ…)」


「凄いわね葵。あの人達からの誘いをあっさりと断るなんて」


近くで見ていたのか葵の友人の入澤陽子が自身の眼鏡を光らせて近寄ってきた

葵が唯一腹を割って話せる相手なのだがこと恋愛の話に関してはどこぞのジャーナリスト並みに鼻が良くどこからか嗅ぎつけてくる


「陽子……見ていたんだったら助けてくれたっていいじゃ無い。私断るのに大変だったんだから…」


「ええ〜?だってもし葵がOK出したら私も参加しようかなって思ってたんだもん。あの人達、結構大学内でもチャラついているけど容姿はかっこいいからね〜」


「私は優君から以外はお断りなのよ……」


ふんふんと鼻息荒く、かなり興奮気味に熱弁する陽子に葵は溜息をつく

確かに客観的に見てさっきの3人は容姿は整っているように見え、大学内のサークルの中ではかなりの規模を誇ってる飲みサークルに参加している事もあり人気も高いらしいが葵にとっては容姿云々想い人である優希以外からのお誘いは全てお断りなので結局誰から声掛けられても変わらない


「まぁ葵を誘いたくなる気持ちはなんとなく分かるなぁ〜。こ〜んなにも可愛くてスタイルいい子が同じ大学なら男としてアタックしないわけには行かないもん」


「私別に可愛くないし、陽子は男じゃないでしょ?」


「カーッ!可愛い顔してるくせによくそんなセリフ言えるわね!私が《可愛くないです》なんて言ったら大抵そうだろうなとか《可愛くないからな》としか言われないのよ!!」


陽子は不貞腐れながらまるでオッサンのようにドシドシと足を踏み鳴らす姿をみて葵は陽子に気づかれないようにクスッと笑った


「(それにしてもお花見ね…もし、もし優君と一緒にお花見が出来たらどんなに嬉しいのかな…)」


帰りの電車に揺られる葵はふと優希と自分が桜の木の下でお花見をしている光景を想像する


春風に揺られ、葵が優希を膝枕しながら他愛もない会話をして花見を楽しむ

葵が作ったお弁当を優希が美味しい美味しいと頬張る姿を微笑みながら真正面で眺める葵、アーンさせて照れながらもそれを口にする優希

そして……夕暮れとなり少し肌寒くなって二人は抱きしめ合い優希から……


「【ポーッ】…………はっ!?」


気がつくと葵の家の最寄りの駅を二つほど過ぎてしまっていた

妄想世界に意識が集中しすぎてしまったようで気づくと若干口元が濡れていてどうやら涎が少し出てしまっていたようだ


「(や、やだ!私ったら何考えてたのかしら!!)」

幸い他の乗客には気付かれていないようで葵はコソコソとしかし早急に口元を拭いて次の駅で降りて帰宅するが頭の中では何回もさっきの光景が映し出されている

何度想像しても脳裏には幸せな光景しか浮かび上がらない


「はぁ〜やっぱり優君と行きたいなぁ〜」


ベッドの上でゴロンと寝そべると葵はカレンダーを見る

週末には優希との家庭教師の日となってはいるが急に頼んでしまっては優希の迷惑となってしまう

だけど誘わなかったら結局優希と花見をすることは不可能となってしまう

来週以降はテレビの情報だと散ってしまい花見をするほど残っていないらしく今年見るとしたら今週が最後のチャンスとなってしまう


「ん〜!!!どうすればいいの私〜!!」


枕に顔を埋め脚をバタつかせながら叫ぶ

結局葵は優希に花見をしようとは言えず家庭教師の日を迎えることとなってしまった

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