~STORY 243 8月22日 ~
コンコン ガチャ
「優希様?そろそろ出発いたしますわ。起きてくださいな?」
「スゥ…スゥ……」
「ふふふ、出発まで少しだけ眠ると言ってもう2時間も寝てますわ。」
ドアをノックして部屋に入った晴菜はベットの上でスヤスヤと眠る優希の側に跪き、ユサユサと優希を揺らしながら優希を起こそうとするが返ってきたのは返事ではなく吐息だった
朝食後に昨日の疲れもあって少しだけ眠るといった優希を起こしに行ったが眠った優希を気遣って晴菜は出発の時間を遅らせた
しかし流石にあまり遅くなっても帰りが伸びて夜中になってしまうのは申し訳ないと判断した晴菜は再び優希を起こしにきたのだが未だに優希は眠ったままだった
「大変可愛らしい寝顔で私も優希様の寝顔が見れてとても嬉しいのですがそろそろ出なくてはなりませんわ?優希様?起きてください【ユサユサ】」
「んんぅ…晴菜…さん……」
優希の寝顔を堪能しつつも帰りのことも考えて泣く泣く優希を起こす晴菜だがそれでも優希は起きないが代わりに寝言が返ってきた
起きてる様子もなく、どうやら優希は晴菜の夢を見ているらしい
「まぁ!私の夢を見てくれているのですね?とっても嬉しいですわ!一体夢の中で私と何しているのでしょうか?」
「エプロン…いい匂いだなぁ……」
晴菜の期待をよそに優希は再び寝言を放つ
どうやら晴菜とキッチンにいる夢らしい
「エプロン姿ですの?いい匂いという事は優希様が私に抱きついてその匂いを嗅いだ時の感想でしょうか?ふふ、御要望とあらばいつでも叶えて差し上げますわ」
妄想が膨らむ晴菜は少し出てしまった涎をひきながら優希の口元に近づいて次に発する寝言に期待する
「んふふ、椿さんってば……苦しいよぉ……」
期待をよそに返ってきた寝言は晴菜ではなく椿に対しての寝言だった
つまりは晴菜と椿と3人でキッチンにいるらしい
「【ピクッ】一体私がいる側でお義母様と何をしていらっしゃるのですかね〜?【むにぃ〜!】」
期待していただけに夢の中でも独占できていないことに腹が立った晴菜は優希の頬を強く引っ張って伸ばす
「い、いひゃい!いひゃい!…や、やめてよぉ…晴菜さん……奏音……」
痛みが夢と現実でシンクロしているのか優希は引っ張られながら苦悶の表情を浮かべる
夢の中では奏音と晴菜に頬を引っ張れているらしい
「私だけでなく奏音さんもお怒りでしたのね…。それにしても…【むにゅむにゅ】」
「あう〜?」
晴菜は頬を引っ張る力を弱めて優しく優希の頬を引っ張った
「優希様のほっぺたはとっても柔らかくて心地いですわね…。これはいつまでも触っていられますわ…」
伸ばしたりくっつけたりと優希の頬っぺたで遊ぶ晴菜
その間優希はくすぐったいのか心地いいのか苦悶の表情から笑みに変わっていった
がそんな幸せな時間はそう長くは続くものではなかった
「ん〜?晴菜…さん……?」
何度も頬を弄られたせいなのか優希はボーッとした意識のまま目を覚ました
「おはようございます優希様。とてもよくお眠りになられていらっしゃいましたね?」
「ん〜?え!?もうこんな時間!?ごめんごめんすっかり眠っちゃった!!」
優希はスマホの時間を確認して自分がどれくらい寝ていたのか気づきベットから飛び上がって驚いた
優希の感覚では軽く仮眠とっていただけのようだ
「お気になさらずに。それよりも……先程は夢の中で裸エプロンの私とどんなことをなさっていたのですか?」
驚く優希を諭しながらも晴菜は先程優希が見ていた夢の真相を知ろうとするのだった
「え!?何でそのことを…?」
優希は薄らだが覚えている夢を何故晴菜が知っているのかびっくりする
「まぁ、やはり私は裸でしたのね?優希様ったらそんなに私の裸エプロン姿が見たいのですか?」
「う、うん……///」
「ふふふ、御要望でしたらいつでも優希様の前でエプロン姿を披露して差し上げますわ」
「ほんと!?やった〜!!!」
「ただ……その夢の中でお義母様と何をしていらっしゃったのか……教えていただけますか?【ニッコリ】」
にっこりと微笑む晴菜から一気に殺気を感じた
そして優希は今、晴菜が掴んで入る手の握力が凄い事にも驚いた
まるでというか本当に肩の骨が潰れるんじゃないかと思うくらいの力強さだ
「は…晴菜様?目、目が……」
「目が…何ですの?【ニッコリ】」
「い、いえ…」
晴菜の何も言わせない圧力が優希の根を根本から折らせる
「どうやら優希様は私だけでなくお義母様や奏音さんにまで裸エプロン姿をご所望になられたのですか?」
「ち、違うよ!裸エプロンだったのは晴菜さんと飛香だけで……他の皆は…あっ!【ババッ】」
慌てて口元を押さえるが時は既に遅かった
「そうでしたのですね?では…どんな内容だったのか正直にお話しくださいね?」
「……はい」
晴菜はベットに足を組んだまままるで女王様のように腰掛け優希は床に正座して尋問を受ける絵面になった
最も、本当に尋問を受けたのでそのままだった
こうして優希の石垣島の旅行は尋問からのお説教で幕を閉じたのだった
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