〜STORY 24 4月10日 弐 〜
「それじゃあ僕は下に行って飲み物とか用意してくるのですみませんが少し待っててもらってもいいですか?」
「別に私なんだし毎回毎回気にしなくてもいいのよ?」
「気にしないでください葵さん。【親しき仲にも礼儀あり】です。葵さんだからこそこういうことはきちんとしなきゃいけないですから」
それじゃと優希は自分の部屋を出て一階のリビングへと降りていった
一人部屋に残った葵は勉強を始める支度を整えることにした
主に使用するのは先輩に教えてもらい葵も当時使用していたテキストの応用問題のプリントを数枚に加え、葵が応用問題を更に手を加えたオリジナル問題を何問か混ぜてある
手が掛かってしまうと思われがちだが葵にとっては復習になり、優希にとっては応用の更に応用ができるため好評である
「…さてと、始める前に私も少しやろうかなっと……ん?これって……」
優希のベッドの上に見覚えのあるものがあり、手にするとそれは5年前に優希の誕生日にあげた巨大ビーズクッション(紺色)だった
「うわぁ〜!これまだ使ってくれていたんだ〜。」
流石に5年以上使用してることもあり葵が購入した時と比べるともふもふ感は減ってはいるがベットに置いてあるということはクッションとしては未だ現役のようだ
「えへへ〜このもふもふ感が好きなんだよね〜。…………【クンクン】」
手元に手繰り寄せ、クッションの触感を堪能しつつクッションの匂いを嗅ぐ
日頃から手入れを行ってるためかクッションからはラズベリーの香りが漂ってくるなか、その奥から優希の匂いが少し感じられる
普段から優希が使用している証拠だ
「……【キョロキョロ】……ゆうくんの香り……ゆうくんの香り!!【クンクン!】」
クッションで顔を埋めるくらい抱きしめる
先程よりもより匂いが強くなり、まるで優希に抱きしめられてるような感覚になる
「(あっ……これやばい///……頭の天辺まで刺激される……///)」
心臓の鼓動が聞き取れるほど高く、少し身体が火照っているのがわかる
息遣いも荒くなり、葵は自身の下腹部を直視する
「(…………少し……少しなら…)」
片手でクッションを持ち、もう片手を下腹部を触ろうとする
タンタンタン
「っ……!!!?」
あと数センチで触れようとした時階段から誰かが上がってくる音が聞こえた
葵はすぐさま崩れた衣服を元に戻して、持参したホットコーヒーを一口口に入れ落ち着かせる
ガチャ
「すみません葵さん。少し母に捕まってしまいまして……どうかしました?」
「な、なんでもないの……気にしないで、あは、あははは……」
「??」
優希は部屋に入ると葵が妙に焦っており、尋ねると葵は何かをごまかそうと作り笑いをした
首を傾げつつ気にしないようにして優希は席についた