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〜STORY 21 4月7日 四〜

 「んん〜!授業終わった〜!!」


四限目の授業終了の鐘が鳴り僕は身体を思いっきり伸ばすと背中からパキパキと心地よい音が鳴った


「ふぅ、さすがにお腹空いたね。お昼にしようか優希。」


後ろの席の璃玖は既に教科書やノートを机の中に戻し机の上には青い巾着袋に包まれたお弁当を置いていた


「そうだね。あっ、晴菜さんも一緒に食べよ……」


「はい優希様(あるじさま)。いつもお誘いして頂き誠に感謝しておりますわ。」


晴菜さんを誘おうと晴菜さんの席の方を振り向くと晴菜さんは既に僕の後方に白くて小さな小包を持って立っていた


「あ、ははは…は、早いね晴菜さん。ちょっとびっくりしちゃったよ」


「はい。優希様(あるじさま)(わたくし)を呼ぶ声が聞こえましたので、すぐお側に参上した次第でございますわ。」


晴菜さんは苦笑しつつ問いかける僕に対して、ニコッと微笑みながら答える


「ご迷惑だった…でしょうか……?」


直後苦笑したままの僕を見て晴菜さんは笑顔から一気に落ち込んだ表情に変わってしまった

アメシストの様に綺麗な紫色の瞳も涙で少し潤ませていた


「め、迷惑だなんて、晴菜さんがいて迷惑になることなんか絶対にあるわけないじゃないか!むしろ晴菜さんが僕なんかの側にいてくれる方が光栄だよ!!」


「ほ、本当ですか!?嬉しいですわ優希様(ゆうきさま)!!」


首を高速で横に振りながら否定すると晴菜さんは先程以上に目を輝かせて笑ってくれた

……うっすらと目元に涙溜まりができているのに気づいた


「(……晴菜さんはやっぱり笑顔が似合うから晴菜さんが悲しむような失言しないように気をつけないとな。)」


むにゅ……ふよん♡ふよん♡


「ん?…………っ!!?」


「んふふ〜♪」


右腕から柔らかな感触が生じ腕のほうを見ると晴菜さんが僕の腕を晴菜さんの華奢な両腕で腕を包み肩の部分を撫でるかのように頬ずりしていた

よく耳を澄ますとクラス中からヒソヒソと話し声が聞こえてきて、視線もとても冷ややかとなっておりいつ飛びかかってきてもおかしくない状態となっている生徒もいた


ガララッ

「ちょっとゆ〜ちゃん!!なんでまたその女と抱きあってるの!!抱きしめるならそんな女じゃなくて私にしてっていつも言ってるじゃない!!」


「そうよお兄ちゃん!こんな公衆の面前で女性と抱きつくなんて……最低よお兄ちゃん!!」


教室の前側の扉から飛鳥が後ろ側の扉から奏音がほぼ同時と言って良いくらいの絶妙なタイミングで入ってきた


「ちょっと待って!抱きついたのは僕じゃなくて晴菜さんからだしそもそも二人ともタイミング良過ぎない!?」


どう示し合わせれば二人がタイミングよく登場することができるのだろうか


「私はゆ〜ちゃんと一緒にご飯を食べに来ただけだし、いつもの事だもん。」


「わ、私は……その……お兄ちゃんの……お昼を持ってきてあげた……だけだから。」


「えっ……?」


奏音の言葉を聞いてバックを確認するといつも入っている弁当を包んだ青い小包が入っておらずよく見ると奏音の背に見慣れた青い小包を持っていた


「ご、ごめん。わざわざ持って来てくれたんだね。ありがとう奏音。」


奏音の所に近寄り弁当を貰い奏音の頭にポンッと手を乗せる


「ふ、ふん!朝からママとイチャついているから忘れちゃうんだから少しはいちゃつくのを控えたら?」


奏音が恥ずかしがりつつ頭を撫でられ気持ちよさそうにしていた

奏音は小さい頃から頭を撫でられるのが好きで怒っているとき以外に撫でると機嫌が良くなる(たまに外すときもあるので当たり外れがある)


「うん。椿さんの好意を無下には出来ないけど出来る限り頑張ってみるよ。」


「……朝は冷たくしてごめんね?お兄ちゃん」


唇をきゅっと閉じて僕の顔を見上げると奏音は落ち込んだ表情を浮かべて謝ってきた

頭を下げた奏音は目を強く瞑って少し震えているように見える


「いや、奏音は謝ることはないし、なんだったら僕が奏音に謝らなきゃいけないんだからさ。顔あげてよ奏音」


僕は奏音に顔を上げるにいうと奏音は少し涙を浮かべていた

……そんなに思い詰めるほどだったのか


「奏音お昼は?」


「……お兄ちゃんの授業が終わるまで待つつもりだったから一応持ってきたよ。」

奏音はバックの中から僕のより一回り小さい小包を出してみせる


「じゃあ一緒にご飯食べようか。一人で食べるよりみんなで食べたほうが美味しいからね」


奏音を昼食に誘うと奏音は照れながらも一緒にお弁当を食べた

晴菜さんや璃玖は話しかけたりおかずを交換したりしたが飛香はどこか不満げな顔を浮かべながらご飯を食べていた

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