~STORY 205 8月10日 ⑧~
「葵さんはこれでいいんですか?」
「…………??」
「このままやってしまっても後悔しませんか?」
優希は強引に起き上がり葵と向き直る
どうして?と不思議そうに首を傾げながら優希を見つめる葵の頬を両手で添えながら優希は葵に問いかけた
「どう……こと?」
突然の出来事に失われかけていた葵の理性は少しずつ正常に戻ってきて会話が出来るほどまで回復した
「葵さんは美しくてスタイルも抜群でそして頭脳も明晰な完璧な女性です。きっと、将来は優秀な社会人になると思いますし、優秀な男性と巡り合って素敵な家庭を築けるとはずです」
「そ、そんなこと…!それに私は…ゆ、ゆうくんと……!」
優希の高く持った葵の評価に葵は照れながらも否定する
自分の事をそこまで褒めてくれる人なんて数少ない友人である陽子以外では家族ぐらいだが家族と離れていこうだと本当に陽子しか褒めてくれないのだった
「(ゆうくんが褒めてくれるのはとっても嬉しいなぁ…でも優秀な男性に出会うってそれはちょっと違うんだよね…)」
葵も友達とは呼ばないまでも親しく接する女子生徒がさっきの優希みたいに褒める時にも似たようなことを言っていた
「葵ちゃんみたいな美人さんだったらどんなお金持ちの御曹司でもイチコロだよね」
「葵さんみたいな人生勝ち組な人ならよりどりみどりだよね〜?IT系の社長と結婚するのかな〜?」
「藤堂さんと釣り合う男なんて会社の社長さんや一流スポーツ選手ぐらいしかいないんじゃないの?」
その時は愛想笑いして受け流すが葵はその昔から自分が好きになった人と結婚したり結婚しても仕事が第一でラブラブな結婚生活ができない男と結婚など絶対にお断りだ
「(そんな運命人が私の目の前に既にいるわけなんだしね♡)」
そして葵は高校の時に運命的な出会いをした
側から見ればどこにでもいる普通の男の子
だが努力家で心優しく、誰にでも平等に接する可愛い男の子
その男の子が努力し続けた結果を最高の成績を出してその度に報告してくる姿を見るのが葵は心の底から好きだ
近所に住んでいるが家庭教師の時間と報告の時でしかあまり接することがなくなってしまい何より実家で会うのが恥ずかしくなりいわばその男子の為に葵は実家を出た
葵にとって優希のお嫁さんこそが人生の目標だ
「そんな葵さんが今、崩れてしまった理性の状態のまま行動をしようとしています。僕も葵さんと一緒で少し壊れてしまっていますし、葵さんとなら大歓迎です。」
葵の頭の中で回想のように流れる優希との思い出のに浸ってる中、優希は頬をソッと撫でながら葵に問いかけ続ける
「ですが、本当の葵さんはどうですか?こんな男らしくもない半端な男である僕なんかに身体を交合わせて本当に後悔しませんか?もし何ですが、葵さんが“初めて”だったならもっとよく考えたほうが……【パシン!】」
「そんなんことないよ!!!」
葵に訴え続ける優希の言葉の途中で葵は優希の頬を引っ叩くと葵は大声で叫んだ
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