〜STORY 19 4月7日 弍〜
「あはは!それで奏音ちゃんは朝からご機嫌斜めだったのか!まぁ〜奏音ちゃんらしいけどね〜。」
教室に着くと部活の為先に教室に着いてた璃玖に朝の出来事を話すと璃玖は堪えることなくケラケラと笑い出した
「まぁ僕も悪いところはあるけど何もあそこまで怒らなくてもいいのになぁ……」
正直椿さんから逃れる術を僕は持ち合わせていない
僕がどんな対策をしても椿さんにとってそんな物赤子の手をひねるほどにすぎない
奏音も小さい頃からそんな光景を見ているし小学生の時までは部屋に入って僕達のいるベッドに飛び込んでくるほどだったが今では現場を見た瞬間、汚物を見るような視線をぶつけしばらくは口を聞いてくれずせいぜいあって罵声を浴びせるだけ
「まぁ、自分の兄がお母さんと一緒に寝てるなんて友達にでもばれたりしたら奏音も流石に恥ずかしいよね……」
仮に僕に兄がいてその兄が椿さんと一緒にベッドで寝てたらいい気分は絶対しないはず
…と言うよりもそんな姿を想像したら少しむっとなってしまったから二度とそんな想像はしないようにしよう
「ん〜奏音ちゃんは別にそう言うことは気にしないんじゃない?奏音ちゃんってそこまで友達作りを積極的にするタイプじゃない?」
「うん。確かに奏音が家に友達連れてきたり、誰かと出かけに行くとかってないかも」
一昨日の集まりだってお別れ会的な目的だったらしいけど奏音は早々に帰って来ているということは奏音が友人に身内の恥を露見したくないという可能性は低くなってくるが…
じゃあなんであそこまで怒るのだろうか?と考えてみるがあまり思い浮かばなかった
……もしかすると
「奏音ってもしかして僕のこと嫌いだったりするのかな?」
「ブフッ!!?」
璃玖は飲んでいたお茶を僕の顔に思いっきり吹きかけてきた
顔や制服に思いっきりお茶が掛かってしまい制服はびちゃびちゃになってしまった
すごく気持ち悪い…
「な、なんでその考えに至るのさ!?」
璃玖が口を押さえながらゲホゲホとむせていた
よっぽど驚いてしまったのだろう
「だって昔は一緒に椿さんと寝たりしていたのに今じゃすっかり腫れ物を見るようだもん。」
そうなると奏音は中学生辺りから僕のことを毛嫌いしている可能性も高い
そう考えると胸がギュッと苦しくなる感覚を覚える
実の妹に嫌われるのってすごく辛いなぁ……
パシッ
「あたっ…何するんだよ璃玖。」
いきなり璃玖に頭を叩かれた
すると璃玖は少しムッとした表情をした
「奏音ちゃんの気持ちも分かるけど流石に優希は鈍すぎると思うよ?」
どういうこと?と聞こうとするタイミングで HRの予鈴が鳴り担任の前田先生が教室に入ってきたので渋々席を正し席についた
「(やれやれ…まるでどういうことか分かってないって感じだね。まぁそれが可愛いんだけどさ。)」
前の席では頭に?マークを浮かべて考え込んでる優希の姿が璃玖の瞳に映る
頭を抱え悩む姿が可愛らしく、璃玖は少し微笑むと視線を担任の先生の方に戻した