~STORY 191 8月7日 ④~
「は〜い、お赤飯よ〜!たんと炊いたからいっぱい食べてちょうだいね〜?」
「お、美味しそうですね…。た、食べ切れるのかな…」
お茶碗に山盛りに積もれた赤飯に優希はただただ驚くことしかできなかった
話は数分前に遡り、優希と飛香は揃って和室を出てリビングに入ると二人の目の前にはソファに座ってクッションを涙でぐしょぐしょにしながらギャン泣きしている明日美にに優希と飛香は驚愕した
「あ、あの明日美さん…。実はなんですけども……」
「あああああああああありがどおおおおおおおおおおおおおおお!!!!ゆううううううううううぢゃあああああああああんんん!!!!」
事の顛末を知っているようだが改めて優希の口から明日美に報告しようとするが明日美は滝の如き勢いで涙を流して二人を祝福した
まだ話の冒頭部分さえも言えてないのにこの有様である
「ちょっ!ちょっとママ!?そんな泣かなくっても……、しかもゆ〜ちゃん話終わっていないのに…」
母の祝福に飛香も嬉しくはあるものの母のガチ泣きぶりに若干引き気味である
「だっ、だっでぇ!!!こえでわだじも!お、おばあぢゃんになべるど思うど!!う、ううううううれじいんだぼんんん〜!!!!!」
しかも明日美の頭の中では婚約を通り越して懐妊にまで話が進んでしまっていた
「話を聞いて!確かにゆ〜ちゃんとはその、つ、付き合うみたいにはなったけど話はちょっと面倒なんだからね?」
「……ふぇ?」
飛香の口から改めて明日美に説明がされる
優希は飛香のことが大好きである
しかし優希には他にも好きな子がおり、その子とも結ばれたいと思っていること
飛香もそんな優希を受け入れており明日美にも承認して欲しいことも全て飛香は話した
「そう…だったのね……。ゆうちゃんがそんな子だったなんて……」
顔を下にして震えながら話す明日美
やはり承認は難しいかと飛香も優希も唇を噛み締めながら何か明日美を納得出来る案はないかと模索する
「【がしっ】ウチの娘をどうか末長くよろしくねゆうちゃん!!」
しかし明日美は優希の手を掴むと頭を下げながら承認してくれたのだった
「えっ!?い、いいんですかおばさん!!」
優希はビンタの一つも覚悟していただけに明日美の行動は予想していなかった
しかし明日美は一気に不満そうに頬を膨らませてむくれてしまった
「もうっ!おばさんなんて他人行儀はよして頂戴!これからは私の事は“お義母さん”って呼ぶのよ?破ったりしたらこの子と同様にビンタしてあげるからね?それが“親”ってものですものね。分かったゆうちゃん?」
“おばさん”呼びが気に入らなかったようで明日美は優希に自分のことを“お義母さん”って呼ぶように促した
「わ、わかりました…。お、おば……」
「…………【スッ】」
「!?わ、わかりましたお義母さん!!」
いつも通り明日美のことを“おばさん”と呼んでしまいそうになり明日美の瞳から光が一気に消え失せ静かに手を振り上げようとした為、優希はすぐ様“お義母さん”と呼び直す
「いやん♪お義母さんだなんて…ゆうちゃんからそう言って貰える日をどんなに待ち続けたことか…」
よほど嬉しかったのかおばさん呼びのことなど一瞬で忘れ去り、明日美はまるで少女のように照れた
「そうだわ!こうしてめでたくゆうちゃん達が結ばれたことですし、お母さん二人にお赤飯炊いてあげる!!」
そう言って明日美はすぐ様キッチンへと向かい朝食の準備に取り掛かったのだった
こうして話は現在に戻り、優希の目の前に立ち塞がった山盛りのお赤飯はまるでフードファイターが挑戦する量にまで積み重なれていた
「ちょっとママ!幾ら何でもこれはよそいすぎでしょ!!ゆ〜ちゃんは大食いじゃないんだから減らしてあげなさいよ!!」
「だってだって〜、私のお祝いの気持ちの表しなんだも〜ん」
「だも〜んじゃない!!」
優希の隣に座っていた飛香は山盛りの赤飯を指さして抗議する
明日美は二人が結ばれたことがよほど嬉しかったようでお赤飯を大量によそう事で祝福してくれているのだろうが幾ら何でも多すぎる
「ねぇねぇ二人共?私二人がもっとイチャイチャしてるところが見て見たいの!だ〜か〜ら、ね?」
明日美は山盛りのお赤飯を指さしながらニコニコと笑う
「【チラッ】(あ、飛香…これって……)」
「【コクッ】(どうやらそうらしいわね。あたしに任せて?)」
明日美の意図がなんとなく分かった二人はアイコンタクトで話し合うと飛香は優希の山盛りお赤飯をお箸で掬うと優希の口元まで運んだ
「はい、ゆ〜ちゃんあ〜ん♡」
「あ、あ〜ん【パクッ】」
飛香は笑顔で優希にあ〜んをして、優希もぎこちないながらも笑顔でお赤飯を食べた
「あ〜ん♡これよこれ!これが見たかったのよ〜!!」
二人の演技のあ〜んであってもどうやら明日美は満足したようだ
優希と飛香はその後も山盛りのお赤飯をあ〜んで食べ切った
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