~STORY 188 8月7日 ①~
「ん…ふわぁ〜……もう朝……?」
ふと目が覚めた飛香は身体を伸ばしながら意識を徐々に覚醒していく
和室には時計が無いため時刻が確認出来ないので飛香は携帯で時刻を確認すると時刻はまだ4時と8分で外も明るくなりつつもまだ薄暗かった
「ゆ〜ちゃん…【ゴロッ】んふふ、可愛い寝顔♡」
「……スゥ……スゥ……」
昨日のというより数時間前の行為からくる疲れもあって優希は飛香の物音にも一才気づかずスヤスヤと気持ちよさそうに眠っていた
「ゆ〜ちゃんの寝顔なんて久々に見たけど…あの頃とおんなじでやっぱりゆ〜ちゃんの寝顔は可愛いなぁ♡(勿論今も可愛いけどね)」
飛香は優希のすぐ横まで近づいて優希の寝顔を観察する
飛香の記憶の優希からちょっとだけ凛々しくなってはいるもののその寝顔は昔見た優希と何一つ変わっていなかった
「あっ…腹筋ゴツゴツしてる……。そっかぁ、“あれ”からずっと頑張ってたのね…。」
まだ優希と飛香が小学校低学年の頃、優希は背の小さく非力な事から当時優希や飛香の近所に住んでいたタケオくん一派にからかわれ虐められていた
「おいっおんなゆうき!!くやしかったらボウシとってみろよ!!」
「か、かえしてよ〜!」
「タケオくんパスパスパ〜ス!ヒ〜〜〜〜ッハァァァァァ!!!」
帽子やおもちゃ、衣服や顔にまで落書きされたり酷いときにはそのまま奪われてしまったりプロレスごっこやボクシングごっこの相手をさせられたりすることもあった
「ちょっとあんたたち!!ゆ〜ちゃんがかわいそうでしょ!やめなさい!!」
幼い頃の飛香はそんな虐められている優希をいつも守っていた
「なんだよぼうりょくおんな!おともだちの“おんなのこ”をたすけにでもきたのか〜?よかったなおんなゆうき〜!」
「ゆ〜ちゃんはおとこのこよ!あんたたちみたいにいばりんぼうじゃない、と〜ってもやさしいおとこのこなんだから!あんたちとはかくがちがうのよ!!(ゆ〜ちゃんは…ゆ〜ちゃんはあたしがまもるんだから!!)」
「や、やめようよあすかちゃん……」
いつも強気で体格の大きな相手であっても飛香は大好きな優希の為に、自分に鼓舞して優希を守ったのだった
「ちょっとゆうちゃん!?どうしたのそんなボロボロにしちゃって……」
服を土や優希が流した涙でどろどろになり肘や膝から血を流して帰宅すると心配して門の前で待っていた椿はそんな優希の様子を見て血の気引いたように青ざめながら出迎えた
この頃の椿は優希を溺愛しつつも自制心を育てさせる為に自分の気持ちを押し殺して優希を外に遊びに行かせていた
「えへへ…ごめんなさいママ…。服…汚しちゃった……」
「そんなことはどうでもいいの!!それよりもお膝…お膝から血が……」
「ごめんなさい…こ、公園で転んじゃって……。で、でも…僕泣かなかったよ?偉いでしょ〜【ニッコリ】」
「あぁ…ゆうちゃん……!!【ギュム】」
優希は母の椿に心配かけたくない、悲しませたくない一心から大好きな椿に嘘を吐いていたのだが、椿にはその嘘が分かっていた
しかし嘘を吐いてでも自分を心配させないようにする優希の姿を見て椿はこの上なく嬉しくもあった
「ねぇゆ〜ちゃん?何でゆ〜ちゃんはおかあさんにホントのこといわないの?おかあさんにしょ〜じきにいえばおかあさんがかいけつしてくれるかもしれないよ?」
ある日、飛香と優希はタケオ君一派が来ない遠い公園のブランコで遊んでいると飛香は唐突に優希に聞いてきた
「ん〜……でもホントのこといったらママないちゃうとおもうんだよね…。ママをなかせるのは…いやだな〜」
「ゆ〜ちゃんウソついてけっきょくおかあさんをなかせてるじゃない!!」
キコキコブランコを乗りながら飛香は優希の話を笑って聞く
この二人で遊んでいる時間が飛香はとても心地よかった
「でも…いつかボクもおおきくなってあすかをまもれるおとこのこになってみせるよ!!」
優希はブランコの持ち手をぎゅっと握りしめ飛香に真剣な表情でそう誓った
「え〜?ゆ〜ちゃんがあたしよりもつよくなれるの〜?」
飛香は優希の真剣な顔に顔を赤く染めながら再びブランコに乗りながら挑発する
「ホントだって!!いまはあすかよりもよわっちいかもしれないけど、いつかあすかよりもつよくなってみせるもん!!」
そう言って優希はブランコから降りると鉄棒の一番小さいものの持ち手を掴み腕立てを始めたが2、3回した所で限界となり倒れてしまった
「く、くそ!まだまだ〜!!」
しかし挫けず立ち上がった優希は再び持ち手を掴んで腕立てをしてまた3回目で倒れ込んでしまうのを何度も何度も繰り返していった
「ふふ、かっこいいよゆ〜ちゃん」
飛香は優希の後ろ姿を後ろから眺めていた
その時の飛香は頬をほんのりと赤く染め上げ、胸をの鼓動はトクントクンと弾むように高鳴っていた
それが…飛香が優希に初めて恋した瞬間だった
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