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~STORY 187 8月6日 ⑭~ 

「…………ずっ…ずっ……」


飛香は口をパクパクと開きながら、言葉を必死に出そうとする

正直に告白してくれたことはすごい嬉しかったが、優希の抱える“想い”は飛香にとって聞き捨てならない内容だった

それを容認することは飛香には到底不可能だった


「うっ……はぁぁ……」


飛香は触れていた手を離してビンタする態勢に入った

この手を振り切って優希にビンタをすれば全てが終わる

この嫌な気持ちも…長年優希に抱いていたたった一つの想いも……


「……………【スッ】」


優希は覚悟は出来ていると示すように瞳を閉じて身を飛香に任せた


「ッッ!!?」


優希の覚悟に飛香は尻込みをしてしまう

本当に叩いてしまってもいいのか?もう二度と優希の側に入れなくなってしまうのか?

定まらない飛香の気持ちが右に左に傾いてしまい中々先に進まないまま5分が経過した


「ふーっ!ふぅ〜っ!!」


飛香は未だに優希の頬を叩けず自分の揺れ動く気持ちと葛藤していた

いやという気持ちは確かにある

それでも飛香は優希の事が心の底から大好きなのだ

幼い頃から思い続け、大切に育ててきたこの気持ち

途中でその想いは曲がって大きくなってしまったが根本は何も変わっていない


“優希のお嫁さんになりたい”


独占したい 飛香だけのものになってほしい 他の女の子を見ないでほしい

そんな想いが表に全面的に出てしまっているが根本的な飛香の想いは優希に恋した時から何も変わっていなかった


「大丈夫だよ飛香…。僕は、何があっても飛香の事を嫌いになんてならないし…恨んだりしないからさ」


葛藤する飛香に優希は優しげにそう飛香に言った

飛香は顔をあげてもう一度優希の顔を見た


「…………」


目を瞑りまるで可愛い女の子の寝顔のようだと飛香は思った

幼少の頃に何度も見たこともあるこの表情

一緒に寝ていた頃はこの優希の顔を見たいが為に眠気を堪えながら優希が寝付くのをひたすら待った

成長していくにつれて優希と眠ることもなくなり、その寂しさから飛香はカメラを仕掛けてまで優希の姿を見たくなってしまった


「(変わらないなぁ…。この優しそうな可愛い寝顔。いつまでも見てられたらどんなに素敵なんだろうなぁ…。あの頃には…もう、戻れないのかなぁ?)」


優希の顔をもっと間近で見たいと思った飛香は顔を優希に近づける


「(ほんと…ずるいなぁ……。こんな顔見せられてあたしがゆ〜ちゃんを叩けるわけがないじゃない……)」


既に飛香は覚悟を決めていた

その瞬間飛香は足が何かドロッとしたものに沈む感覚を覚えた

しかもそのドロっとしたものはそのまま飛香を沈ませようとするのだったが、飛香は意に返さず受け入れてしまったのだった


「(だって…そのほうが……気持ちいいもの……)」


コツン


「あ、飛香……?」


額に何か当たる感じを覚えた優希は目を開いて詳細を確認しようとすると優希の額に飛香の額が重ねられていた

触れている部分はほんのりあったかくそれでいて心地よかった


「ずるいなぁ…。今更あたしがゆ〜ちゃんの事を嫌いにならないって分かっていた上で告白したでしょ?」


口を開いた飛香の頬はほんのりと赤かった


「そんなことないよ…。僕は飛香に本当に嫌われると思ってたからね?」


「……ねぇ?本当にあたしのこと好きなの?」


優希の胸に手と顔を当てて飛香は上目遣いをしながら優希問いかける


「好きだよ。壊れちゃった僕でもそれでもこの想いは昔から変わらないからさ」


優希は飛香をソッと優しく抱き寄せながら飛香の問いに答える


「浮気同然なんだよ?あんなこと…他の連中が聞いたらさぞ怒るでしょうね?」


「うん…。それも覚悟しているからね」


優希は飛香を抱えながらそのまま布団に寝転がる


「はぁ…ほんっ…!とうにどうしようもないんだから!!……あ〜あ、なんであたしはこんな男に恋しちゃったんだろ?もっと漫画やドラマみたいな甘くて心地いい恋がしたかったなぁ〜!!」


飛香は優希の胸から首をツーっと下で舐め上げながら首元にキスをする

気持ちいいのかこそばゆいのかゾクゾクッと身体を震わせる優希の反応に飛香は舌なめずりをしながらもう一度繰り返す


「今なら引き返せるかもよ?」


「もう……手遅れよ」


優希の問いに飛香は満面の笑顔を見せて答える

優希は飛香の笑顔を見るのが大好きだった

だから飛香が喜ぶことならなんでもしたいとあの手この手で飛香を喜ばせていった

それがいつしか飛香への好意へと進化していった


そう…飛香の笑顔こそが優希の飛香への好意の原点だったのだ


「後悔はしない?」


「………【コクッ】」


優希の問いに頷くと飛香は優希の唇にキスをした


満月の光が照らされる和室の中で、二人は駆け込んでいた想いの全てをお互いの相手にぶつけたのだった

読んでいただき誠にありがとうございました!


是非!高評価、ブックマークよろしくお願いします!!


作品執筆力向上に繋がりますので作品への感想もお待ちしております!


あと、Twitterで色々呟いていますので是非フォローしてください!


では次回もお楽しみに!!


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