~STORY 180 8月6日 ⑦~
「あらあらあらあら!まぁまぁまぁまぁ!!よく来てくれましたね優希ちゃん!私の我儘を聞いてくれてありがとうございますね〜!!!」
眞田邸の玄関を開けた瞬間、晴菜の母親である麗美が待ち構えていた
晴菜と電話してきた場所が眞田邸のどこだったのかは優希にはわからないが、優希達が門から玄関まで来るのに5分と掛かっていない
「晴菜さんも優希ちゃんにお願いしてくれてありがとうございますね〜?この前泊まりに来てくれた時以来ですもの!優希ちゃんならいつでも来てくれていいですからね〜?」
そして麗美のこのハイテンション
優希が断りを入れる事などあり得ないだろうと確信して電話する前から玄関先で待っていたのだろう
「お、お久しぶりです…れ、麗美……さん」
「まぁまぁ優希ちゃんったらそんな他人行儀に麗美さんだなんて〜!私の事は気楽にお義母さんって呼んでくれていいですからね〜♪」
優希の麗美さん呼びが気に入らなかった麗美は笑顔で両手をパンッと叩いて合わせると“お義母さん”と呼ぶように勧める
「【ビキィ!】何ゆ〜ちゃん?あたしをわざわざイラつかせる為だけにここに呼んだのかしら〜?【ギュウウゥゥ!!】」
「いっ!!?ち、違うって!!」
優希の隣で怒り心頭の飛香は優希の腕を千切る勢いで思い切り抓った
自分の直ぐ近くで自分の敵の母親が優希と親しくしているだけなら飽き足らず、優希に自分のことを“お義母さん”と呼ばせようとしているのが許せないのだ
優希のお願いがあるからここまで来ているが本当は晴菜の家になど入りたくもない飛香の限界は頂点に達しそうになっていた
「ほ、ほら飛香…、麗美…お義母さんに…っつ!!?あ、挨拶しなたほうが……?」
お義母さんというワードが癇に障ったようで再び優希の腕を抓る
ラジオのダイヤルを捻ったさっきとは違い、今度は引き千切る強さで抓ってきた
「……チッ!……初めまして。不本意ながらこの度眞田さんと一緒のバイト先に勤める事になってしまった仁科飛香と申します。まぁ……もう会うことはないと思いますので覚えていただかなくて結構ですので…」
舌打ちしながら飛香は麗美に視線を一切合わせずぶっきらぼうに挨拶をした
「ちょっ!飛香!!流石にそれはいくらなんでも麗美さんに失礼すぎるでしょ!?」
余りにも失礼な挨拶に流石の優希も飛香の肩を掴み揺って訂正するよう言いかける
「そうですよ〜?麗美さんじゃなくて“お義母さん”って呼びなさいって言いましたよ〜?」
「僕のですか!?飛香の失礼な挨拶の方じゃなくて僕の“麗美さん”呼びの方が気になったんですか!?」
しかし麗美が気に入らなかったのは飛香ではなく咄嗟に言ってしまった“麗美さん”呼びの方だった
「優希様。お母様は気になったこと以外は基本的にお気になさりませんの。そもそも仁科さんの存在すら認知してるかも分かりませんわ?」
「ちょっと!!あんたら親子で失礼すぎでしょ!?」
「あら、失礼な挨拶をした不埒者に失礼なんて言われたくはありませんよ?今この場で警備員に頼んで摘み出しても構いませんが?」
「ぐっ……そ、それは…あたしが悪かったかもしれないけど……」
飛香の指摘に麗美は真顔で正論を唱えて反論した
飛香も麗美の迫力に気をされたようで一歩引いて謝罪する
怒りを覚える麗美を初めて見た優希は信じられないものを見るように口を開けて眺めるしか出来なかった
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