~STORY 176 8月6日 ③~
「それじゃあ晴菜さんと飛香は休憩に入ってください。休憩入る前に打刻入力しないと時間調整しないといけないので必ず入力して下さいね?」
優希は晴菜達が休憩入る前に打刻入力の注意を入れた
【シリウス】の事務所の端末に出勤退勤休憩外出の際に入力することになっており、万が一入力していない場合は店長の涼音に直してもらわないといけなくなってしまうので絶対に打ち忘れをしてはいけない
因みに以前優希が打刻打ち忘れをした時涼音は本当にめんどくさそうにしながら
「頼むから私の仕事を増やすなよ」
舌打ちをしながら文句を言われた
聞けば現従業員全員がその打刻忘れを経験しており、全員が涼音から文句と舌打ちを受けている
そして新規やらかし人を増やすわけにはいかない面々は晴菜と飛香に打ち忘れをしないようにと念を押している
「畏まりました。優希様に万が一にもご迷惑をおかけしませんように必ず任務を遂行してみせますわ」
「大丈夫だよゆ〜ちゃん。でももしかしたら忘れちゃってるかもしれないからゆ〜ちゃんあたしがちゃんと入力しているか確認してくれない?」
晴菜は頭を下げながら真剣に、飛香は自信を持ちながらそして上目遣いをしながら優希に返事をした
「仁科さんは優希様に打刻確認させるのですの?忙しい優希様に更なる業務を加えさせるなんて薄情な人ですね」
「は?ゆ〜ちゃんに確認して貰えば問題もないしゆ〜ちゃんも安心するからいいでしょ?そう言うんだったらあんたはゆ〜ちゃんに確認してもらうんじゃないわよ?」
晴菜は優希に打刻入力を確認させようとする飛香に辛辣な視線を向けながら文句を言うが飛香は晴菜に詰め寄りながら逆に晴菜に文句を言う
「待って待って二人共…お客様が近くにいるのに喧嘩は良くないよ?」
口喧嘩になろうとしていたので優希が二人の間に入って喧嘩を静止する
「何よゆ〜ちゃん!!もしかしてあたしじゃなくてこの女の方の味方をしようってわけ!?」
「何勝手な事を言ってるんだよ飛香…。心配しなくても二人がちゃんと打刻入力してるか僕が確認するようにって涼音さんから言われてるんだよ?一人だけ特別扱いなんてするわけないじゃんか…」
「「…………【ゲスゲス】」」
飛香と晴菜は示し合わせたわけでもないのにほぼ同時に優希の両足に蹴りを入れる
「いっ!?な、なんで二人して足を蹴ってくるのさ!」
「べっつに〜?ほらっ、あんたもさっさと休憩に入るわよ?」
「申し訳御座いません優希様…。」
痛がりながら蹴りの理由を求める優希に対し飛香は両手を後頭部に組みながら態度を悪くし、晴菜も頭を下げているが普段のような畏まり方がなかった
「(そこは幼馴染のあたしを特別扱いしなさいよ…!ゆ〜ちゃんのバカ!!)」
「(優希様の言葉は絶対ですの…。ですが、やはり他の女よりも劣るということは、あまり嬉しくはありませんわね…)」
飛香と晴菜はそのまま事務所にいき、休憩に入ってしまった
何かブツブツ言っていたようだったが、店内に流れるBGMとお客の声によりかき消されてしまった
「な、なんだったんだろう…?」
「ふふ、相変わらずゆ〜くんは女心がわかっていないなぁ〜。」
「わっ!?す、涼音さん!仕事中にいきなり声を掛けないでくださいよ!」
蹴られた脚をさすりながら優希は二人の様子を眺めていると後ろからニュッと突然涼音が顔を出してきた
「ほぉ〜?仕事に集中しないで女のことを考えている不埒者に注意するのが店長の役目だとは思わんかね君は〜?んん〜?」
「……大変失礼しました。僕が100%悪いです…」
図星を突いてくる涼音にぐうの音も出ない優希は腰を90度曲げさせて謝罪した
「ふむ、母親や妹ちゃんとの仲が更に良くなったようだがそれだけで“女性”を分かった様でいるのならばそれは軽薄だよ?」
「なんでその事知っているんですか!?僕涼音さんには何も言ってないですよね!?」
「ふっふっふ!この私に君たちの隠し事が隠せるわけがないだろう?」
空気を読むとか思考を読むとかの次元ではない
どんな状況や疑問、謎でも、瞬時に「答え」を出せる能力でも備わっているのではないだろうかと優希は涼音に対して常々思ってしまう
それ程涼音の情報網は備わっているのだ
「童貞を捨てたのは喜ばしい事だが寧ろこれがスタート地点だ!ここからどう全ての女の子を攻略するかは君の腕次第だよ?さぁ!今すぐ私を口説いてみるがいい!!私を攻略出来たらもはや恐れるものなど何も無くなるだろう!!」
「色々突っ込みたい所はありますけどまず第一にお店の中でしかもお客様がいる前で童貞とか口に出さないで下さい!!」
カウンター内で繰り広げる優希と涼音の口論はその後も続くが、常連さんにとってはいつもの日常と捉えており、二人の口論をBGMにコーヒーを啜った
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