~STORY 175 8月6日 ②~
「それじゃあ次から気をつけて下さいね?お客様にぶつかってしまったらお店の信用にも関わってしまいますからね?」
「う、うん…。ごめんね優希くん」
「分かってもらえれば大丈夫ですからあまり気にしないでくださいね?それじゃ紫織さんはあちらのバッシングをお願いします」
「う、うん!任せて!」
ホールに入れることが決まり有頂天になっていた紫織は早速やらかしてしまい、褒められるどころか優希に注意されてしまった
紫織は優希に注意され肩を落としながら謝ると優希は笑顔で紫織を許したのだった
ふん!と両手の拳を握って気合を入れ直すと食器の片付けに向かった
「(しっかりしないといけないわよ紫織!!あのお邪魔虫達がいない今、優希くんに甘えるチャンスなんだから優希くんに良いところを見せない……)【カチャカチャ】」
「あはは!ママ待って〜!!【ガッ!】」
ガシャーン!!
紫織はテーブルを綺麗にしながら食器を片すことに夢中になっていた為、周囲への注意が散漫になっていた
紫織が片している後ろをお母さんを追いかける男の子が紫織の背中にぶつかってしまいその拍子で紫織が片手で持っていた食器の乗ったトレーを床に落としてしまい、食器は全て割れてしまった
「…………あぁ…」
紫織は今何が起きたのか理解出来なかった
集中していた為男の子が後ろを通ったことも自分にぶつかった事にも気付いておらず、紫織の感覚としてはトレーがいきなり手から滑り落ち食器が割れてしまったみたいに思っていた
そして落としてしまった時の店内の静けさはお客さんまで気を遣ってしまうほど気まずくなってしまう
「し、失礼いたしました!!【カチャカチャ】…あっ!ツッ…」
青ざめた顔をしたまま紫織は割ってしまった食器を片し始めたが焦りすぎてしまった紫織は素手で破片を片付けようとしてしまった
案の定破片で指を切ってしまい紫織の指から血がツーッと流れた
「(いっつ…こんな時にやっちゃった……。ど、どうしようどうしよう!!急いで片付けなくちゃいけないのにでも指切っちゃったし…でも急がないといけないし!)」
切ってしまった指をエプロンで抑えながらオロオロしてしまう紫織を助けようとお客さんが手を差し伸ばそうとするが、迷惑かもしれないと苦い顔をしながら差し伸ばした手を引っ込めた
「(と、取り敢えず片付けをしないと…)」
紫織は怪我した指をそのままにして割れた食器に手を伸ばそうとした
「大丈夫ですか紫織さん?破片で切ってしまいますから離れてて下さい」
騒ぎを聞きつけた優希が箒と塵取りを持って紫織の元まで来てくれた
優希が来てくれたことで周りにいたお客さんも安心したのか再びコーヒを楽しみ始めた
優希は周りのお客さんに頭を下げ謝罪をしながら割れた食器を速やかに片付けた
「あの…ごめんなさい……」
「こっちは大丈夫ですから紫織さんは切っちゃった指の手当てをして下さい」
紫織はまた優希に迷惑をかけてしまい再び優希に謝罪すると優希はニコッと紫織に微笑みながら割れた食器を片すと別の席のバッシングに移った
「ごめん…なさい……」
紫織は優希が用意してくれた救急箱を使って切り傷の手当てをしながら優希に聴こえないくらいの声量で謝った
「はぁ…なんか私…自分だけ舞い上がって優希くんに迷惑かけちゃって…バカみたい。」
優希に褒めてもらいたい一心で仕事に取り組もうとしたが蓋を開けてみれば褒められるどころか寧ろ優希に迷惑しかかけていない
自分の不甲斐なさに紫織は自分で自分が嫌になった
「なでて…もらいたかったなぁ…」
涼音に怒られるとか優希に注意されるとか後輩の飛香と晴菜にからかわれるとか紫織にはそんなことどうでもよかった
只、紫織は優希に褒めて欲しかった
願わくば頭を撫でてもらいながら笑顔で褒めて欲しかった
「でもこんな体たらくじゃ褒めてなんかくれないよ…」
「あっ、紫織さん!指大丈夫でしたか?」
「え!?ゆ、優希くん!?」
絆創膏を貼りながらブツブツ独り言を言っているうちにいつの間にか優希が真横までに戻ってきていた
「い、いい、いつの間に…?」
「いつの間にって…今戻ってきたばかりですよ?それよりも指痛くないですか?もしキツかったら種田先輩に言ってレジに代わって貰えるように頼んでみますよ?」
「い、いいよ!いいよ!!大丈夫だからこれ以上足手纏いみたいに言わないで!?」
「そうですか?まぁ失敗なんて誰だってやるわけですからあまり気にしないでくださいね?」
「(ヒィィィィィィィィィぇぇぇぇェぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!??)」
そう言って優希は紫織の頭に手を置いて、紫織の頭を優しく撫でた
まさか撫でて貰えるとは思っていなかった紫織は思わず心の中で咆哮を放った
「じゃあ僕はコーヒー淹れてくるんでこっちはお任せしますね〜!」
「う、うん…あり、がとう…」
数秒紫織の頭を撫でた後、優希は自分の定位置に戻っていった
その背中を眺めながら紫織は撫でてくれた頭を自分の手で撫でた
「…………えへへ♡」
褒めてはくれなかったが笑顔で頭を撫でてくれたことが嬉しかった紫織は幸せそうな顔を見せた
「「「……すみません!コーヒーのお代わりをください!!!」」」
その様子を見守っていたお客さんは今見た光景をおかずにコーヒーが進み、コーヒーのお代わりの量が普段の倍増えてしまい、優希の仕事量が跳ね上がってしまった
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