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〜STORY 17 4月6日 拾壱〜

こんにちは!松下タツヤです!!

今回もアルバイトです!

喫茶店といえばウサギのイメージが湧いてきますね

そんなごちうさを僕は愛してます!!ww

「えっと〜次はアメリカンか。」


作業を開始してから既に二時間ほどが経ち、客足はピーク時よりもだいぶ落ち着きを見せ始めていた

それを見計らってか店長の片倉さんは事務所の方で経営の方の仕事へと向かい、僕一人で作業を行なっていた

万が一忙しくなり始めても店内には紫織さんや大学生アルバイトの直江先輩や上杉先輩などベテラン勢がフォローしてくれるので問題はない

…………強いて問題があるとすれば


「仁科さん?さっきお願いした4番さんのテーブルがまだ片付いていないようだけどどうかしたのかしら?お客様を待たせるわけにもいかないから手早くお願いして欲しいのだけれど?」


「そう言う有馬先輩こそレジでお客様がお待ちしていますよ?ボーッと作業をしないでくださいませんか?」


お客様に勘付かれないように丁寧に罵倒し合う飛香と紫織さん

この二人の間に入れる人がいないという点だろう


上杉先輩や直江先輩は主に厨房の方がメインの為ほとんどこちらの方に顔を出さないので実質いま二人を止められる人がすぐそばに居ない


「あ、あの~、一応仕事中なのであまり喧嘩は良くないと思うんですが~?」


表向きは仲良さそうにしていても内面はドス黒い闇で殴り合いを披露している

これ以上はいつこっちに飛び火してもおかしくないので火が小さいうちに消しておくに越したことはない

最後のお客がいなくなり店から離れたのを見計らって僕は二人に近寄り話しかけてみた

すると二人は同時にこちらに顔を向けニッコリと微笑んだ


「(よ、よかった。二人共分かってくれたみたいだ!!)」


「ねぇ、ゆ〜ちゃん?ゆ~ちゃんは私の味方でしょ?この先輩全然集中して仕事をしてないのに私にはあれやってこれやってって言うのよ?ひどいと思わない?やっぱり一緒に作業するのはこんな酷い先輩じゃなくて私だよね?この先輩にゆ〜ちゃんから一言言ってあげて!」


「あら。私は自分の仕事はきちんとこなしてから仁科さんに一言言っているだけで集中してないなんて心外だわ。」


「あら、そんなこと言って隙あらばゆ〜ちゃんに話しかけようとしたり一緒に仕事をしようとしているじゃない。先輩はいやらしいですね。」


「私は優希くんが大変じゃないか心配だからいつでも補助に回れるように見ているのだけど勝手な事は言わないでほしいね。」


いつの間にか笑顔が完全に消え去りお互いを冷ややかな視線で見合いながら喧嘩を始めてしまった

女子同士なので睨み合っているだけだがこれが男子なら胸倉を掴みあって数分後には殴り合いの喧嘩に発展するに違いない

店内で罵り合っている二人からはそれくらいの気迫を感じつつ巻き込まれないように仕事をこなす僕だった


結局片倉さんのゲンコツが入り一旦は落ち着きを見せたが二人は納得がいかないようだった


「全く、これじゃあお前たちが毎度毎度喧嘩するたびに仕事を中断にしてしまうじゃないか。これはシフトの方も少々考えないといけなくなるねぇ。」


片倉さんは不機嫌そうに肩を落としつつ僕の方をチラッと見ると何かを思いついたのかニッと口の端を尖らせると飛香と紫織さんの耳元で何かを囁いた


「…………?」


少しすると二人は片倉さんに一礼すると黙って仕事へと戻っていった

その表情は真剣な表情だが、少し焦りのようなものが含まれている気がした



「えっと…あの〜、お二人には何をおっしゃったのですか?」


「ん?あぁ、少し美しい女性になるための秘訣を教えたんだよ。あんたには関係のない話だから聞いても意味ないしあの二人に聞くんじゃないよ?」


そう言って片倉さんは「あとは頼んだわよ〜」と手を振りながら事務所の方へと戻っていった


「さ、さぁ、仁科さん!今のうちに掃除をしましょう。テーブルの方をお任せしてもよろしいですか?」


「も、もちろんです!有馬先輩に大変な厨房の休憩に回ってもらって申し訳ないです!」


「全然大丈夫よ!直江さん!上杉さん!食器洗いは私がしますからどうぞ休憩に回ってください!!」


仲良さそうにしているがどこかぎこちない感じがして僕は少し笑ってしまった


午後9時


「ん、それじゃあこれくらいにして終わりにしようか。」


【シリウス】は8:30で閉店の為お客は既にいなくなり清掃は現金の清算を行う

厨房も食器の片付けや清掃を済ませ消灯している

衛生面に気をつかう為、椅子やテーブルは通常の清掃後アルコール除菌をするなど徹底している


「私はまだ事務作業が少し残っているからあんた達は先に帰りな。」


「「お疲れ様でした!お先に失礼します!!」」


飛香達と別れて更衣室で着替えていると唐突に片倉さんが入ってきた


「あっ、お疲れ様でした。もう仕事の方は片付いたんですか?流石片倉さんですね。」


片倉さんはコーヒーを飲みながらジッと僕を見ていた


「……あんた。なんであの娘らが喧嘩が多いのか分かるかい?」


「え?……んー性格が合わない…とか?だったりして……」


「……あの娘たちも大変だねぇ」


ガクッと肩を落とした片倉さんコーヒーを一気に飲み干すと邪魔したねと言ってはそのまま更衣室から出て行ってしまった


着替えを済ませて店の中で飛香を待つ

先に着替えに行った飛香たちよりも早く着くことがほとんどでやっぱり女性は準備が大変なんだなと割り切って待つことにしている


「ゆ〜くんごめんね〜。待っててくれてありがとう〜」


「お待たせしたようだね。それじゃあ行こうか。」


制服に着替えた二人と一緒に【シリウス】を出た

僕たちの通う六条学園は校則として平日の外出は制服と決まっているのでバイトだろうと塾だろうと制服しか着れない事となっている


男子からは面倒だと批判がある一方で女子は制服が可愛いと人気の為、男子のように批判は滅多にない

例外として部活動でどうしてもユニフォームやトレーニングウェアを着ないといけない時や土曜日の午後は休みとなるので私服にしてもいいなど臨機応変にしてもいいと言われている


ちなみにこれ以外の校則もだが破ると厳重に注意され、停学や単位没収などがあるため批判はすれど破る生徒はいない


「な〜に〜ゆ〜ちゃん。そんなに私のことジロジロ見て〜。そんなに制服着た私が見たいのー?」


「そうか。君は制服の私たちを見て興奮する人なのか。……ふむ、これからは積極的に側に行くべきだな」


2人の声がしてハッと気がつくと目の前にニコニコと微笑んでる飛香と頬を染めながら口元に手を置き何か思惑してる紫織さんがいた

ボーッと2人を見ていたのか気がつくと顔のすぐ側まで2人の顔が近づいていることに気がつかなかった


「ご、ごめんなさい!……その、や、やっぱり二人ともき、綺麗だなぁって思ってつい見惚れちゃって……あはは…なんちゃって…」


流石に臭いセリフを吐いてしまった

引かれたかなと二人を見てみると二人とも目を真ん丸に見開き一切動くことなく僕をじっと見つめていた

手をヒラヒラ振ってみるもまったく動こうとしない

声をかけてもまるで動じずどうしたもんかと考えていると二人の顔がゆっくり真っ赤に染まっていき湯気が出てきていた


「にゃ、にゃにってるのよゆ〜ちゃん!!き、綺麗なんてそんなのひまってるじゃない!!」


明らかに動揺しているように見える飛香は手を高速で振りながら戸惑っていた


「落ち着きなさい仁科さん。少し動揺しすぎにゃんじゃないかにゃ?」


「紫織さんこそ落ち着いてください。呂律が正常に回っていませんよ?」


まるで猫語っぽくなってしまった

クールでかっこいい先輩まで落ち着いているように見えるが頬をほんのり赤く染め僕と全く顔を合わせようとしない


「「「………………」」」


店内は異様な空気を醸し出し誰を見ても目を背けてしまうような状況が続いた

挙げ句の果てに戸締りのために訪れた片倉さんに早く帰れと言われてしまった


「……か、帰ろうか……。」


紫織さんがポツリと呟き僕と飛香は小さく頷いた

店の前で紫織さんと別れ、飛香と二人で帰路に立つがお互い無言の状態が飛香の家までずっと続いてしまった

一瞬呟こうとするも同じタイミングで飛香も話しかけようとしたことが裏目に出てしまい結局話すことができなかった


「じ、じゃあ……またねゆ〜ちゃん…。」


「う……うん。」


そのまま家の玄関の扉を開こうとするがその場で立ち止まり右手をギュッと胸の近くで握ると再びこっちを振り向いた


「あ、明日なんだけどさ……その……お弁当……作ってあげよう……か?」


「え、お弁当?いや、お弁当は毎日椿さんが……」


飛香の負担にもなるし断ろうと飛香の顔を見ると両手を胸の前で握って祈るように震えていた

きっと断られないように祈っているのだろう


「(そんな顔見せられたら断るなんて罰当たりできないよな…)」


そう思い先程言おうとした言葉ではなく別の言葉を飛香に送った


「うん。飛香のお弁当楽しみにしてるよ。」


僕は祈るように祈る幼馴染に笑顔で答えた


「……う、うん!期待してて!!」


すると飛香はパッと満面の笑みを浮かべてくれた

僕の大好きな笑顔

読んでいただき誠に有難うございます!!


もし良ければ評価や感想、ブックマーク登録をよろしくお願いします!!


読んでくださった皆様に感謝を込めて!!【I wish everyone happiness!!】


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