~STORY 169 7月26日 ⑨~
「ねぇ…奏音?な、何…してるのかな?」
いまだに今の現状が信じられない優希は恐る恐る奏音に問いかけると奏音は四つん這いのまま優希に迫ってきた
「何…してると思ったの?お兄ちゃん」
妖艶な表情を浮かべながら奏音は逆に優希に聞いてくる
普段の奏音とはまた違う大人のような雰囲気に優希はドキッとしてしまう
「な、何って……わ、分からないから聞いてるんだけど……?」
優希は暗い部屋でもわかるくらい顔を真っ赤にしながら顔を横に避ける
昨日の椿と違い今の奏音は普段と同じ寝巻き姿なのだが何故だか顔を背けてしまう
「もう…人と話す時は相手眼を見ながら話しなさいって小学校の先生から散々言われたでしょ?それに妹の奏音に顔を背けるなんて奏音悲しいなぁ…」
奏音は優希の顎に摘むようになぞりながら悪いことをした子供を嗜めるように言う
「え、あの、ご、ごめん…(え?本当に今僕の目の前にいるのって奏音なの?明らかに椿さんには見えないし椿さんや葵さんが奏音に化けているわけじゃないもんね!?)」
いつも見る奏音とは正反対って言っても良いほど大人っぽい奏音に優希は頭がショート寸前に陥っていた
「何?もしかしていつもの奏音よりも大人っぽいから緊張しちゃってるの?」
「そ、そんなことあるわけ…ないだろ?」
「ふふ、顔に嘘だって書いてるよ?本当、お兄ちゃんはわかりやすいなぁ」
クスクスと笑いながら奏音は前髪をサラッと搔き分ける
図星だが明らかに優希は奏音を前に緊張してる
さっきから鼓動が自分でもわかるくらいドキドキしてる
「も、もう良いでしょ?これだけ僕をからかったんだから部屋に帰って寝なよ…」
「お兄ちゃんは…奏音がお兄ちゃんをからかうためだけに部屋に忍び込んだと思ってるの?」
「じゃ、じゃあ…他に何のようがあるんだ…」
優希の言葉を遮るように奏音は自身の唇を優希の唇と合わせた
いきなりのキスに優希は目を思い切り開いたまま硬直した
一方奏音は頬を赤く染めながら堪能するように瞳を閉じながら優希の舌と自分の舌を絡ませた
「…………これでもまだからかいに来たと思うの?」
「…………ど、どうして?」
そっと唇を離した奏音は唇を指でなぞりながら優希に再度同じ質問をする
さっきよりも心臓をバクバクさせる優希は質問に答えず、キスの真意を聞く
「どうして?そんなの奏音がお兄ちゃんを愛してるからだよ?」
勿論異性としてね?と奏音は優希の耳元にでそう囁きながら告白をする
「ずっとずっとお兄ちゃんのことが大好きだったの。そりゃ勿論最初はお兄ちゃんとして、家族として大好きだったんだけどね?でも…いつの間にか一女の子として北条優希に恋している奏音がいたんだよ?」
心臓の音が部屋中に大音量で流れている
しかし、奏音の言葉の一つ一つが優希の身体に刻まれるように残っていく
顔を赤くしながら恋した自分を誇りに思うように嬉しそうにしながら自分の思いの丈を優希に伝えていく
「眞田先輩や飛香ちゃん、それに家庭教師の葵さんにバイトの先輩の紫織さん。それに奏音達のママがお兄ちゃんを愛してるのは分かってるよ?でもね?このまま“お兄ちゃんの妹”で終わり、お兄ちゃんは結婚して奏音はまだ会っていない見ず知らずの男と結婚するなんて選択肢は奏音にはあり得ないの。」
「で、でも…分かってるのか奏音!?僕たちは紛れもなく椿さんから生まれた血の繋がった兄妹何だぞ?」
「実の息子を誰よりも愛してる…。実の母親として実の息子に異性として好意を向けるなんて母親として失格よ?でも…それの何がいけないと言うの?」
「!?そ、それ…」
奏音から発せられた言葉に聞き覚えがある
その言葉は落ち込む自分に椿がかけてくれた言葉だった
「「私は人間だもの!人間は完成された生き物なんかじゃない。それに世界には間違った思想だとしても信じる者もいれば犯罪と分かっていても手を出す人間だっている。なら…息子に異性として好意を抱く母親がいたって何も不思議じゃないでしょ?」ってとっても素敵な言葉だよね?」
つらつらと椿の言葉を述べる奏音の姿に優希は確信する
「奏音…昨日……の……見て?」
「そうよ?お兄ちゃんとママの愛の時間。邪魔しないであげただけ感謝して欲しいな」
嘘である
こう奏音は言っているが実際は二人の様子をドア越しに眺め、あまつさえその行為に興奮して自分で自分を慰めていたことなど言えるはずがない
しかしこの兄の様子では知らないのだろうとえて奏音は虚言を言うのだった
「だから奏音も自分に正直になるの。誰が相手でも負けるつもりは毛頭ないわ。例えママが相手でも毛地獄に蹴落としてでもお兄ちゃんを奏音だけのものにして見せる」
そう言って奏音は優希を押し倒し、もう一度、今度はさっきよりも深いキスをした
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