~STORY 166 7月26日 ⑥~
「お疲れ様でした優希様。こちらドリンクになりますのでどうぞ水分補給になさってくださいませ。勿論奏音さんの分もこちらにございますのでよろしければどうぞ。」
レーンから出ると晴菜がスポーツドリンクの入ったスクイズボトルを手に二つ持って待っていた
「あ、ありがとう晴菜さん。補助とはいえ50メートルは泳いだから助かるよ!」
優希は晴菜からボトルを受け取ると疲れた身体に水分を摂り入れる
疲れた身体中にスポーツドリンクが染み渡っていく
「ふん、どうせ眞田先輩のことだからお兄ちゃんをおかしくする媚薬とか精力剤とか入れてるんじゃないですか?」
奏音は晴菜から受け取りながら優希の飲むドリンクを疑いながら飲み始めた
「こら奏音…折角僕たちに用意してくれたのに失礼だろ!ごめんね晴菜さん…」
「いえ、私は気にしてませんので大丈夫ですよ優希様」
奏音の言葉に気にした様子もなく笑顔で優希に返答する
「(ふふ、媚薬など入れるはずがありませんわ妹様…。そんなことしたら大事な優希様のお優しい心を踏みにじってしまいますわ。まぁ…優希様付けるであろう飲み口に私も口付けしただけですけどね…)」
優希が口を付ける飲み口を晴菜はうっとりとした表情をしながら眺めていた
「【ジーッ】」
優希を眺める晴菜を奏音は目を細めながら睨みつけた
「眞田先輩…絶対お兄ちゃんのボトルに何かしましたよね?」
「どうかしましたか奏音さん?私はただ優希様が美味しそうに飲まれる姿が可愛らしくて眺めていただけですよ?」
「お兄ちゃん貸して【パシィ】」
奏音は晴菜の言い訳に耳を傾けず、優希の飲んでいたボトルを強引に奪い取って自分がごくごくと飲み始めた
「あぁ!?何するんだよ奏音…。そんなに喉乾いていたんだったら渡してあげたのに強引に奪うことないだろ?」
「ぷはぁ!ごめんごめん…あまりにも喉渇いていたものだったから…。代わりにお兄ちゃんは奏音の飲んでよ!」
「いやそれだったら自分の飲めばよかったじゃん…」
優希は呆れながらも奏音が口付けたボトルをごくごくと飲み始めた
「…………」
「どうかしましたか眞田先輩?とても怖い顔をしていらっしゃいますけど…?」
「……いえ、なんでもありませんわ奏音さん…」
晴菜は挑発してくる奏音に笑顔を作って答えようとしたが、うまく笑顔が作れずおかしな表情をしてしまった
「ところで奏音さん?私奏音さんに少しお話がありますのであちらへ御同行して頂けますか?」
「えぇいいですよ?奏音も眞田先輩にお話が一つやふたつあったとこなんですよ!」
そう言うと奏音と晴菜は優希から離れて端の方へと行ってしまった
「なんだろ?まぁ…女の子同士で話したい事とかあるのかな?」
優希は首を傾げながら椿のいるところへ戻っていった
「あらゆうちゃん〜、奏音ちゃんのコーチお疲れ様〜!こっちいらっしゃ〜い」
荷物の所で休んでいた椿はハチミツレモンなどを用意して優希を待ち構えていた
「あっハチミツレモンだ!いつの間に用意していたの?」
「夏ですもの、ゆうちゃんとお出かけした時の為に前々から用意していたのよ〜。一杯あるから食ベて食べて〜♡」
そう言って椿は爪楊枝ではレモンを一つ刺すとそのまま優希の口元に持っていった
「はい、ゆうちゃん。あ〜ん♡」
「えぇ…?こ、こんなところであ〜んは…恥ずかしいよぉ…///」
優希は照れながら顔を横に背けてしまう
恥ずかしいのもあるしあ〜んをする椿がとても可愛いと思ってしまったからでもある
「もしかして…ゆうちゃん周りが気になったりするの?」
「えっ?そう言うわけでは…って、はぁぁ!?」
椿は指で周囲をくるくる回転させて問うと優希は苦笑しながら周りを見る
するとそこには…
「あの野郎…潰すぞ……!!」
「リア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべし」
「ごぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
羨ましいモブキャラ達が優希を妬ましい視線で睨みつけていた
一部怪物化している者がいるがおそらく彼はもう元に戻ることはないだろう
「ひいぃぃぃ!?」
優希は邪鬼達の妬ましい怨念に恐怖してガタガタと震えてしまった
「…………【ギロッ!!】」
「「「「ひいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!」」」」」
恐怖する優希を抱きしめながら椿は邪鬼達を思い切り睨みつけた
優希には絶対に見せることはない椿のもう一つの顔
その顔を見たものは決まって椿の顔をこう表した
“地獄に君臨する邪神”と…
椿に睨みつけられた邪鬼達はその恐怖から逃れるように屋内から逃げていった
「もう大丈夫よゆうちゃん。ゆうちゃんに意地悪する男達を私が追い払ってあげたわ」
スゥッと憑き物が取れたみたいに表情を明るくした椿は怖がる優希の頭を撫でながら優希をあやした
「こ、怖かった…。ありがとう椿さん」
涙目になりながら優希は邪鬼達を追い払ってくれた椿に感謝する
「ふふ、こんなにも可愛いらしいゆうちゃんを怖がらせるなんて万死に値するわ…。大丈夫よゆうちゃん!私がいつでもゆうちゃんのことを守ってあげるからね?」
「(これは…今後、ゆうちゃんをお外に連れ出すのは良くないわね…。せめて…私の目の届く範囲にしないと…)」
優希が提案し、奏音が計画したデートは実現がかなり険しくなったのだった
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