〜STORY 15 4月6日 九〜
こんにちは!松下タツヤです!!
今回から新ヒロインの登場です!
皆様に少しでも楽しんでいただけるキャラクターになってくれたら幸いです!!
「ただいm……」
「お帰りなさ〜〜い!ゆ〜く〜〜〜ん!!!!」
玄関を開けてわずか1秒で抱きつく実母の椿さん
分かってた事とはいえ、実の母にいきなり抱きつかれるのはやっぱり気恥ずかしい
椿さんはもうすぐ40歳を迎えるとは思えないほど若々しく、自分のスタイルに自信のある飛香でさえ嫉妬する程のスタイルを維持している
そんな椿さんに熱い抱擁をされて嬉しくないわけがないがそれを顔に出してしまうとこの人のスキンシップは絶対に止まらなくなるだろう
「学校大変だったでしょ?ご飯にする?お風呂にする?それとも〜わ・た・し♡?」
豊満な胸で僕の顔を覆いながら頭を撫でる椿さんがまるで婚約したての新婚夫婦の様なやり取りをしてきた
本当は力づくで脱出したほうがいいのだがそんなことしたらバイトどころか学校にさえ行けないくらいべったりくっつかれる未来しか見えない
「む、むむむ!!《お、おふろ!!》」
まず椿さんを選ぶのは論外としてご飯を選ぶと確実に椿さんのあーんタイムが相当長くなるはず
お風呂も進入される可能性もあるが一番時間をかからないはず!
「えぇ!私!?も〜〜、ゆ〜くんったら〜。それなら私、頑張っちゃおうかな!!」
一番危険な【わ・た・し♡】が選択されてしまった
「ぷはぁっ! ち、違うよ椿さん!椿さんじゃなくて僕はお風呂って言ったんだよ!あと何を頑張るつもりなのさ!」
強引に椿さんからの柔らかな拘束から逃れた
その際プルンって胸が上下に揺れ、椿さんが「あぁん♡」と反応し頬を赤らめたがそこは気にしない事にする
「と、とにかく今日はバイトだからシャワー浴びてくるね!」
これ以上椿さんに構っていたら本当にバイトに遅れてしまうので靴を脱いでそのまま浴室に向かう
「……だめよ?」
ガシッと右手を掴まれ体勢を崩すとそのまま椿さんに押し倒された
その際頭を庇ってくれたおかげか痛みは全く感じはしなかったが……
「む、むぐ〜〜!!!」
また優希の目の前には椿の豊満な胸映し出されており、今度は椿にのしかかれている状態もあるせいか先程以上に胸を感じてしまう
「最近ゆ〜くんは私に全然構ってくれないわ!!昔はこうしてあげると本当に喜んでくれたのに……もしかしてこれが噂の反抗期なのね!?やだっ!私ゆ〜くんに無視されたり暴力振るわれちゃうの!?そんなの嫌よ!!私もっとゆ〜くんに甘えたいわ!!」
僕の上に乗っかっている椿さんは何故か絶望したかのような表情を浮かべながら僕を思いっきり抱きしめる
その度に椿さんの胸が更に僕の顔に押し付けられる
「(も……もう……げ、げん…か……い)」
理性を保つのと意識を保つのもそろそろ限界となりそうだった
「……もうママったら、そろそろ入学式に行かなくちゃいけないんだから早く準備してくれないかしら?流石に遅刻するわけには行かないんだからね?」
制服に着替えた奏音が椿さんを僕から引き剥がしてくれた
椿さんはイヤイヤだったが正直本当に助かる 危うく本当に気絶するところだった
「あ、ありがとう奏音。その……本当に助かったよ」
「気にしないで。お兄ちゃんだってバイトがあるんでしょ?どうせ飛香ちゃんが待っててくれるだろうけどあまり待たせておくのも可哀想だし早く準備してあげて?」
照れているのかほのかに頬を染め、プイッとソッポを向いてしまう奏音
椿さんに甘えられるとどうしても力ずくで引きはがせない事もある為、その度に僕は奏音に頼ってしまう
「わかった、ありがとう奏音!入学式気をつけてね?」
そう言って僕は自分の部屋に行きバイトの準備をするのだった
後ろでは涙目になって駄駄を捏ねる椿さんをあやす奏音が頭を抱えていた
数分後、準備を整えて玄関先で待ってた飛香と一緒にバイト先である喫茶店【シリウス】へと向かった
【シリウス】は最寄駅である澁野駅から徒歩1分と電車利用者に愛用されている為、客の入りは申し分ないがその分忙しくなると休憩をする暇がなくなるほど混んでしまう為常時バイトを募集してるところを僕と飛香が目を付け【シリウス】に努めることとなった
「やっぱり今日も混んでいるのかなぁ……はぁ…どうせだったらゆ〜ちゃんも一緒にホールだったら良かったのに……」
「あはは…流石にそれは僕にもどうする事もできないからね。」
飛香はお客さんに飲み物ケーキなどを出したりするホールの仕事で僕はホールのほか、専用の機械を使用してコーヒーを作るいわゆる【バリスタ】という仕事を担当している
最初は僕は食器洗いやホールの仕事だけをしていたが先輩が抜けてしまったため、店長からの提案で僕がバリスタもすることになった
僕と飛香がホールの時もあるが基本は僕ともう一人の先輩で【バリスタ】を努める
「私も片倉さんに言って【バリスタ】やらしてくれないか頼もうかな〜」
「そうそう【バリスタ】の仕事ができるわけじゃないのよ?仁科さん。」
飛香が黄昏ていると後ろからそんな声が聞こえ振り返るとそこには見知った女性が立っていた
「おはようございます紫織さん。今日もよろしくお願いしますね!」
「うん!今日も優希君は元気があっていいね!!困ったことがあったらこの紫織お姉さんにドーンと任せておきなさい!!」
金色のポニーテールをピコピコ動かして微笑みながら胸を叩く彼女は有馬紫織さん
僕や飛香の一つ上の先輩で【シリウス】でも一年程先輩でもある
いつも明るくそして優しく接してくれる【シリウス】のムードメーカーで後輩の僕にとっていてくれるだけで安心できるのだが何故か飛香はあまり紫織さんに懐いていないのだった
「こんにちは有馬先輩!実は先輩に折り入ってお願いがあるんですが……。」
紫織先輩がが来てからずっと不機嫌な顔をしていた飛香が突然何かを閃いたのか満面な笑みを浮かべて先輩の目の前に立った
「おっ?いつもむすっとしている仁科さんが私にお願いがあるなんて珍しいね。よし良いだろう!紫織先輩に話してみなさい!」
いつもあまり関わっていない後輩の頼みと聞いて紫織さんは嬉しそうに答えた
「私に【バリスタ】をやらしてください!!」
「ごめんそれはお願いできないかな?」
飛香のお願いに一切表情を崩さず満面な笑みでお断りを入れる紫織さん
心なしか周りの温度が低くなっている気がするし、それ以上に二人の空気が北極点並みの寒さを誇っている
「なんでダメなんでしょうか?私も【バリスタ】が出来るようになればいつ先輩が抜けてもお店の負担が減ると思うんですが?」
「う〜ん、私は辞める予定は全くないしそもそもの話なんだけどそれを決めるのは私じゃなく店長の片倉さんだからね。さっきも言ったみたいにそう簡単に出来るわけじゃないよ?残念だけど今回は諦めな。」
「仮にそうかもしれないですが今【バリスタ】を出来るのは店長の他には先輩とゆ〜ちゃんだけなんですよ?万が一数が多いに越したことはないと思いますが?」
「それも片倉さんが判断することだから君が気にすることじゃないよ?第一文句ばかり言うのはよしたほうがいいと思うよ?社会に出た時にきっと苦労するだろう。」
「それこそ先輩が気にすることではありませんし先輩に心配される筋合い毛頭ありません。」
「ハハッ、私は可愛い後輩の心配をしているんだ。少しは真に受けてほしいね?」
側から見るとにこやかな会話をしているように見えるが言葉に一つ一つに一切の優しさが含まれてなく言葉の乱打戦がノーガードで繰り広げられている
当然僕が間に入ることはできるはずもなくただ二人の攻防を横で見ることしかできなかった
「まぁいいさ。それよりも早く店に入ろうか。あまり片倉さんをお待たせするのは良くないしからね。」
紫織さんの言葉で聞いて時計に目をやると時刻はバイト開始時刻の5分前となっていた
着替えや身だしなみを整える時間も考えるとあまり余裕はなさそうだ
「それもそうですね。ほら、飛香も【バリスタ】の件はまた今度お願いしてみようよ」
「…………ゆ〜ちゃんがそう言うなら……。」
腑に落ちないような顔をしながらも飛香は僕の言うことを聞いてくれた
〜店内女子更衣室〜
優希が男子更衣室に向かった為、飛香と紫織は二人きりとなってしまい更衣室は氷点下のような雰囲気を醸し出していた
更衣室自体もあまり広くない為、離れたくても大した距離にはならないので飛香はさらにむすっとしていた
「……そこまでして君は優希君の側にいたいのかな?」
自身のポニーテールを整えながら紫織は唐突に飛香に尋ねた
その言葉にはいつもの優しさの片鱗もなく頭に響くようなそんな声をしていた
「……当然です。私はゆ〜ちゃんの側にいたいからこのバイトにしましたしゆ〜ちゃんと一緒の仕事がしたいんですよ。だから早く変わってくれませんか?せ・ん・ぱ・い?」
そんな声にも飛香は臆する事無く紫織の目の前で言ってのけた
本心では愛する優希の側にいたい それだけが飛香の行動理念だった
「ふ〜ん、なるほどね。まぁそんな事じゃないかなって思ってたんだよ。君が優希君に執着するのは分かるしだから同じことをしたいって思うのもさ。」
「……先輩なんかに分かるとは思いませんが?」
「分かるさ。だって…………あの子を独占したいのは私の方だからね。」
そう言った紫織の表情が見る見る変わっていく
頬をほのかに染め、妖艶の笑みを浮かべていく その表情は飛香が優希を想って興奮している時の顔によく似ていた
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