~STORY 148 7月25日 ②~
「では皆、夏休みを存分に楽しんでくるように!くれぐれも怪我なんかして折角の夏休みを棒に振るなよ?元気な顔して9月に会おう!」
「「「「夏休みだぁぁぁぁぁ!!!!!」」」」
担任の寺田先生の1学期最後のHRが終わった瞬間、2年2組の生徒は歓喜の声を挙げた
先生視線からすると遊びダラダラと怠けず『勉強しろ』や『規則正しい生活を送れ』と言うのが正しいのだが一人の人間からしたら人生一度の夏休みを後悔なく楽しんで欲しい想いが強くあえてこの場では堅苦しい挨拶をしなかった
生徒目線で物事を考えてくれるこういった姿勢が寺田先生が生徒から慕われる所以なのである
「本日もお疲れ様でした優希様。」
「うん。晴菜さんもお疲れさま。まぁ今日は授業も無いし明日から休みだから全然平気だよ。バイトも今日は入れてないからね〜」
HRが終わり一目散に帰宅する生徒や部活に向かった生徒もいるなか、晴菜は机の整理をしていた優希のもとにやってきた
「あら。優希様も教科書を全て持って帰るのですの?」
「うん。持って帰らなくてもいいけどやっぱり復習はしないといけないからね。」
教科書は自宅に持って帰らなくてもいいのだが1学期の復習をしっかりやる予定の優希は全ての教科書を持って帰るのだ
こまめに持ち帰っていた事が功を奏し、最終日の今日は2科目分の教科書ノートのみの為幾分か楽であった
「『優希様も』って事は晴菜さんも全て持って返ってるの?流石晴菜さんは勤勉だなぁ」
「はい。私も1学期の復習と2学期の予習を兼ねて全て持って帰ろうかと…。」
「へぇ!じゃあ一緒だね!!」
「ふふふ、私と優希様の思考はとても似ていらっしゃるのですね。とても光栄ですわ【ニコ】」
と本人はこう言っているが実は優希が全て持って帰っていることに気づいた晴菜は優希と同じにするべく使用人に頼んで全て持ち帰らせたのだった
「(うふふ♡優希様のことを常に観察していた事が功を奏しましたわ♡それにしても休みだというのにそこいらの凡人達と違って勉強に勤しむ優希様は本当に素敵ですわ♡)」
結果は大正解だったので晴菜の心は大満足であった
「ふ〜ん?てことは僕も優希と一緒の考えをしているって事だよね?」
「…武田君。いちいち絡んで来ないでくれませんか?私は今優希様ととても優雅にお話をしていましたのですよ?」
「僕は今優希に話しかけたんだよ?眞田さんには話しかけていないんだから絡んでないし僕と優希のこれから始まる楽しいお話の時間を奪わないでくれないかな?」
優希の後ろの席に座っていた璃玖が会話に入ってきて晴菜はあからさまに不機嫌そうな表情をして『お前はどっかいけ』と遠回しに言い璃玖も晴菜の方を向かないまま『お前こそどっか行けよ』と遠回しに言った
「晴菜さんも璃玖も喧嘩しないでよ〜。三人で仲良く話せばいいんだし仲間外れにするのは可哀想でしょ?」
「「ぐぬぬぬぬ……【ガシィ】」」
「そうそう。やっぱり喧嘩しているよりも仲良く握手してる方が平和だもんね!」
火花を散らす二人に挟まれる優希は二人を宥めると璃玖と晴菜は不満そうにしつつも優希の言う通りに喧嘩を中断し仲直りの握手を握り優希の表情は満足そうに緩やかになった
ガラララ
「ゆ〜ちゃん!!一緒にか〜えろ!!!」
優希の視線があるうちは仲良さそうにしそれた瞬間火花を散らすといういたちごっこ繰り広げている時、隣の教室の飛香が勢いよく教室の扉を開いた
「あら、どうしましたの仁科さん?別の教室に許可なく入ってはいけないという学園の校則を知らないんですの?校則に則って今すぐ出ていってくださる?」
飛香の姿を確認するなり晴菜はぐりんと飛香の方を向くとにこやかに教室の外を指さして退出を促した
「そうだね。いくら不良の仁科さんだからってこの学園の生徒なんだから校則を守らないのは同じ学園の生徒としてとても看過出来るものではないよ?」
晴菜に同調するかのように璃玖も飛香に退出を促した
顔を合わせるなり罵倒し合う二人だがこう言う時に限って息がピッタリだった
「ふん!そんな意味不明な校則なんて聞いた事がないわよ!!そもそも!そこにいる男子だってうちのクラスの男子なんだからそいつにも退出させなさいよ!!」
いきなり飛香に指を刺された男子生徒はビク!?と背筋を立たせて震え上がっていた
そりゃ放課後に友人のいるクラスに入って談笑していただけなのに睨まれたとあってはこの男子生徒はもう二度とこの教室には入れなくなってしまったのだろう
「ま、まぁまぁ…飛香。折角だし今日は皆で一緒に帰ろうよ。なんなら今日はそのままうちに遊びにでも来る?」
「「ッッッ!!?」」
「え!?いいのゆ〜ちゃん!?」
「も、もちろんだよ。だ、だからそんな前のめりに迫って来ないで飛香…。」
突然のお誘いに飛香は瞬間移動の如く素早さで優希の側まで来て前のめりに有無を尋ねた
「優希様よろしいのですか?折角夏休みに入るといいますのにこのやかましい方のお相手されてはお身体に触りかねませんわよ?」
飛香を引き剥がしながら晴菜は優希に家へ招くことをやめるよう進言する
「お身体に触るって…」
「ふん!誘われていない惨めな負け犬の遠吠えなんて虚しいだけね!あたしは『ゆ〜ちゃんから直々に!』誘われたんだか…」
「あっ、それなら璃玖も晴菜さんももし予定とか特になかったら今日はうちに遊びに来ない?折角だし皆で一緒に遊ぼうよ!」
「ちょっとゆ〜ちゃん!!なんでそいつらも誘っちゃうのよ!!」
二人きりで過ごせるかと思いきや璃玖と晴菜まで誘ってしまった優希に晴菜は胸ぐらを掴み首が上下に揺れるくらい揺すって抗議する
「だ、だって皆で遊べば楽しいだろうし……」
「うぅぅ…!(もう!こういう優しいところがゆ〜ちゃんのいい所でもあり嫌な所なのよ!!)」
それぞれ思うところがあるなか結果として晴菜と璃玖も優希の家に行くこととなった
ルンルンな気分の優希とは対照的に火花を散らしながら三人は帰宅することになったのは言うまでもない
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