〜STORY 146 7月17日 ⑦〜
「うん!それじゃあこれで完了ね!じゃあ来週からよろしく頼むわね?仁科ちゃん」
「……はい。こちらこそどうぞよろしくお願いいたします…。」
「採用が決定したのにそんな戦場に行くみたいな顔したのあなたが初めてよ?それとも今からでも採用取り消しにする?」
「い、いいえ!そんな事ないです!精一杯頑張りますのでどうか採用の取り消しだけは勘弁してください!!【バッ!】」
「二度目はないと思え?【キッ!】」
採用決定したにも関わらず浮かない顔をした飛香に涼音は眉を顰め少しばかり脅しをかけると飛香はすぐに顔を上げて自身の行動を反省し謝罪する
「ふん!まぁいいだろう…。帰る前に想い人の格好良い仕事姿でも拝んできなさい。少しは病んだその心も晴れるでしょうよ」
「別に…病んでなんか……ないです。」
飛香をニヤニヤとしながら涼音は顎でカウンターの方を指すと飛香は涼音の視線を逸らしながらもカウンターに視線を向けた
「さっきだって何か嫌な予感がしたのだろう?今すぐ会いに行ってその不安な気持ちを払拭してくるがいいだろう」
「あ、ありがとうございます!!それでは失礼いたします!!【バッ】」
涼音に一礼して飛香は事務所を出てカウンターの方へと走っていった
「ふふ、し〜ちゃんだけでも面白いのに更にあ〜ちゃんという逸材まで入ってくるなんて幸運よね〜。この子ももしかしたらそうだったりは〜しないわよね〜。」
涼音の手に握られた一枚の履歴書
その履歴書の名前の欄に書かれた名前には“眞田晴菜”と書かれていた
「まったく…ゆ〜ちゃんのバイト先の店長さんがあんな人だなんて思いもしなかったなぁ……。今の所ゆ〜ちゃんに好意を抱いているようには見えないけどゆ〜ちゃんって色んな人に好意持たれちゃうから油断はできないよね〜?」
優希の姿を見に優希の入るカウンターの方まで向かう道で飛香は店長の涼音の感想を述べながらバイトに入るに当たって改めて気を引き締めるのだった
「その為にはすぐにでも業務内容を完璧に把握してゆ〜ちゃんと一緒にお店を任せられるくらいにならないといけないわね…。あっ、でもそうせだったらゆ〜ちゃんに教えてほしいかな〜んへへ♡……んっ?」
業務研修を優希と一緒にこなす姿を想像して涎を垂らしていると前方から聞き覚えのある声が二つ聞こえてきた
「へ〜!晴菜さんもここで働くことになったんだ!!でもお嬢様の晴菜さんがバイトなんてよく親御さんが承諾してくれたね」
「(この声は…ゆ〜ちゃん…だよね?もしかしてあたしのお迎えに来て……ってこの聞き覚えのある不愉快な声は……)」
話声の一人はカウンターで仕事中であるはずの想い人の優希
そしてもう一つの声は…
「はい!優希様と同じ仕事がしたいとお母様にお話しました所、快く承諾してくれました」
優希のクラスメートにして晴菜の天敵でもある眞田晴菜であった
「(眞田…晴菜!?何であいつがここにいるのよ!っていうか何でゆ〜ちゃんと一緒にいるのよ!!)」
「そっか!話の分かる親御さんで良かったね」
「えぇ!これで優希様と一緒にいる時間が増えてとっても嬉しいですわ!それで…優希様にお願いがありまして……」
「何?勿論バイトの先輩として分からない所や相談事があったらなんでも聞くから安心して……」
「ちょっとあんた!!部外者のあんたが何でここにいるのよ!!って言うかゆ〜ちゃんから離れなさい!!」
優希と晴菜の間にニュッと現れた飛香は晴菜にキッと睨みつけると優希との距離を遠ざけさせようとするが晴菜は表情そのままに優希の側から微動だにしない
「あら、仁科さんこそどうして此方にいらっしゃるんです?此方は部外者立ち入り禁止だと優希様から聞きましたわよ?ですから今すぐここから消えなさい?私が許可してあげますわよ」
「あたしは今日バイト契約しに来たのよ!だから部外者じゃないわ!!あんたこそ何でここに…って言うかゆ〜ちゃんの側からいい加減離れなさいよ!!」
晴菜の問いに飛香はキレながらも説明しつつ晴菜がここにいる理由を聞きながら晴菜を引き剥がそうと脛を蹴り上げたりお腹をボコボコ殴るなどするが晴菜も反撃してきてやはり優希の側から離れない
「ふふふ、私は今日から此方の店舗で優希様の後輩として精一杯ご奉仕する事に相成りましたの。これで学校以外でも優希様のお側にいられますわ!」
「何言ってるのよ!ゆ〜ちゃんはあたしの教育係になってくれるんだからあんたのそ
側にになんか1ミリもいないんだから!」
「そんなことはあり得ませんわ。私の教育係は優希様と面接の時支店長様にお願いし約束していただきましたわ?文句がお有りでしたら支店長様に仰ってくださる?」
「もちろんよ!!折角ゆ〜ちゃんと一緒のバイトになったのに一緒にいられないなんて冗談じゃないわ!!あの店長に文句言ってくる!!」
飛香はそう言って事務所の方へと戻っていった
「やれやれ、涼音さんがまともに話を聞くとは思えないけどなぁ…」
「ふふふ、楽しい夏休みになりそうですわ」
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ありあっした~♪




