〜STORY 13 4月6日 七〜
皆さんこんにちは!松下タツヤです!!
最近台風の被害が大きく自分の住んでるとこもかなり被害がありました
安全に注意して少しでもこの作品を見て楽しめたら幸いです
「え〜っ、では次の文章を…………出席番号14番の須山君読んでください。」
昼休みが終わり、五限目の授業中だが、僕は晴菜さんの事が気になってしまい少し離れた席にいる晴菜さんを度々見つめてしまっている
晴菜さんは僕の視線に必ず気づいてくれて、その度にニコッと微笑んでくれるが僕の方が晴菜さんの笑顔にドキッとしてしまいすぐ視線をそらしてしまう
授業が始まって早30分が経過しているが既にそのやり取りを10回も繰り返している
計算すると3分に一回やっている計算になってしまっている
「(……あっ、また目が合っちゃった。いくらさっき軽くキスされたからってあんまり見すぎるのもなんだか気持ち悪いよね……? )」
そう思いつつも晴菜さんのことが気になってしょうがない
晴菜さん自身はそのやり取りの度に少し口元が緩んだ後、すぐに真剣な表情に戻り授業に集中しているが、一方僕の方はまるで集中できていない為ノートをロクに取れていない
この現代国語の授業はその授業ごとに区切ってノートを取りテストの度に提出する為、書いてないものが一目瞭然となってしまう為、生徒はノートだけはちゃんととっているが僕は今回の授業のページが真っ白だった …………後で璃玖にノート見せてもらわないとなぁ〜。
「…………き!………………優希!」
「…………ん?………………はっ!!?」
「授業中だというのにノートも取らずにうつつを抜かすとはいい度胸じゃないか。新学期が始まったばかりだからと随分余裕じゃないか。え?北条?」
後ろの席の璃玖から背中を突かれ、前方を見てみると指差し棒をカンカンと机に叩き、現代国語担当の大津先生が僕の目の前で仁王立ちしていた
バスケ部の顧問の先生ということもあり、身体付きが、かなりがっしりしていて威圧感が普通の先生の5割り増しとなっており【鬼仁と全生徒から恐れられている
そんな見た目だけでも怖いのに怒っている時の声は地獄の底から響くような野太い声と黒いサングラスが怖さをさらに引き立てている(……そんなスパイスいらないのになぁ)
「そんな優秀な北条には後で予習用のプリントを沢山用意してやるから後で職員室まで取りに来い。いいな?」
「…………はい。」
異論は認めんとばかりに睨んでくるこの先生に楯突いてもプリントが増えるだけなので素直に僕は頷いた
クラス中からクスクスと笑い声が聞こえてくるが先生が「静かにできないお前らも欲しいんだな?」と言った瞬間クラス中が不自然なほどに静まり返った
〜授業後〜
「全く……どうしたっていうのさ優希。まるで授業に集中出来ていなかったけど、そんなに眞田さんの事が気になるの?」
「そ、そんなことないけどさ……っていうかなんで眞田さんが出てくるのさ!?」
否定する僕に璃玖は溜息をつきジト目を向けてくる
「後ろの席の僕に優希がどういう動きをしているかなんて筒抜けなんだよ?それでも優希は否定するのかな?」
「うっ……ご、ごめん。悪かったよ。」
さらに冷ややかな視線を向ける璃玖に耐えきれず僕はうなだれてしまった
それを見た璃玖は満足したような表情を浮かべ、微笑みかけてきた
「分かればいいんだよ。でも眞田さんをずっと視姦していたのは良くないな。
罰としてさっき勇気にお願いされた今日の現国の授業のノートは見せてあげないよ。」
「全く許してないじゃないか!?」
てっきり許してくれていると思っていたが、等の璃玖は全然許してくれていなかった
よく見たら笑っているように見えるが眼の奥は全く笑っていなかった
「僕は優希が嘘をついていることを謝ったことを許してあげたけど、授業中に眞田さんを何十回も見ていたことまでも許したわけじゃないよ?いやらしいよ優希。」
「た、確かに晴菜さんを見ていたのは確かだけどさ……」
そんなにまじまじと見てはいないからいやらしいはやめてほしい
「まぁまぁ、それくらいで優希様を許していただけませんこと?武田さん。……かく言う私も優希様にたくさん見ていただいて大変満足しておりますわ。」
横の席から晴菜さんがを髪を靡かせてこっちへ近づいてきた
銀色に輝く長く整った髪をかき上げ笑みを浮かべる晴菜さん
その1つ1つの仕草が美しく丁寧でその度に僕はドキッとしてしまう
「……ほら、また見とれているじゃないか!」
「ぐふっ……!」
ジト目のまま璃玖は僕の脇腹に的確にエルボーを突き刺さした
普段は優しいが璃玖や飛香はは怒ったり機嫌が悪くなると僕へのお仕置きを兼ねた暴力を振るってくる
「いった〜……うぅ……璃玖のエルボーは響くんだよなぁ〜」
飛香の場合は数が多いがその分そこまでダメージはないのできつくは無いが璃玖の場合は数が少ない分的確に僕の急所にダメージを与える為、璃玖の方が完全にタチが悪い
「ふん……僕という親友が側にいながら他の人にうつつを抜かすような浮気者には、これくらい当然の仕打ちだよ!」
エルボーによりうずくまる僕をジト目で睨む璃玖
頬を膨らませ、腕を組み少し妬いているようにも見える表情が本気で怒っている様には見えない
…………それなら強烈なエルボーを食らわせないで欲しいな すっごい痛いし……
「ふふっ、お二人はとても仲がよろしいのですね。羨ましいですわ。」
そんな僕たちのやり取りを晴菜さんは横から楽しげに眺めていた
「あははっ……眞田さんが僕の優希を誘惑しなきゃこんな光景は見れないはずなんだけどね。」
蹲った僕を起こす為手を借してくれながら璃玖が晴菜さんに明るく答えた
その璃玖の問いに晴菜さんも笑顔で答えた
「あらっ……優希様が武田さんのものになったとは一度も聞いたことがありませんわ。ふふっ、武田さんったら冗談がお好きですこと。」
璃玖と晴菜さんがお互い笑みを浮かべていてとても微笑ましい様に見えるが二人とも全く同じ様に眼の奥で笑っていない
僕の周りの人はそんな技術を持っている人が多い気がする
「あ、あのさ……璃玖も晴菜さんも少しはお、落ち着いたらどう……かな?」
このままだとまた何か起こりかねないと思った僕は意を決して二人の間に入った
二人は僕の顔を真顔で見つめた後、笑みを浮かべた……
「何言ってるんだよ優希。僕はいつだって冷静さ。……まぁ、元はと言えば君が僕を捨て、眞田さんにうつつを抜かすからことが始まったのではないかな?」
「ちょ、確かに晴菜さんのことを見ていたのは認めるけど璃玖を捨てることにはならないでしょ!?あと捨てるって僕は璃玖の恋人みたいに言わないで!!」
またそんな噂が流れでもしたら璃玖親衛隊(仮)にひどい目に合うに決まってる
実体験だからもうあんな目にあうのは勘弁したい
「えっ……北條くんって璃玖様のこと好きなの!?」
「こちら馬場!璃玖様に好意を抱く不届きもの発見!!直ちに急行してください!!」
同じクラスの親衛隊(仮)の一名が無線で怪しげなことを報告していた
…………あっ、マズイ。親衛隊(仮)が総動員で来ちゃう!流石に中休み中追われるのだけは勘弁したい 追われるっていうより痛めつけられるの方が正しいかもしれない
「ちょっと璃玖!!なんでもするからあの人達止めて!!」
【なんでもする】というワードに反応した璃玖の目がキラッとどす黒く光った
すると璃玖はおもむろに携帯を取り出して操作をしてから携帯をしまった
すると賑わっていた教室が一瞬で静まり返り、皆席へと戻って行った
「な、なんか皆急に静かになったけど璃玖が何かしたの?」
何が起きたかまるで理解できていない僕は璃玖に尋ねると璃玖は妖艶の表情を浮かべた
「……さぁね?僕にもさっぱり訳がわからないよ。」
「………………?」
璃玖はまるで宝物を見つけ出したように笑みを浮かべ僕の問いに答えた
璃玖の性格だとこれ以上追求しても恐らく答えようとしないだろう
そう考えた僕は疑問を抱きつつもこれ以上の詮索はしないことにした
「(ふふっ……あの優希が【なんでもする】なんて言うとはね。これは最高に素晴らしいプレゼントをもらった様なものだから最大限に有効活用させていただくよ。」
左ポケットに入っているボイスレコーダーを握りしめ、璃玖は頬を紅潮させこのプレゼントをどういうことにしようかと妄想するのだったが当然優希に知る由もない
「(……佐輔さんの情報通りに武田さんはあの一瞬で自分の配下の人達に指示を出して優希様をうまく誘導いたしましたね。)」
晴菜は残りの中休みの時間を使って渡り廊下の視界から外れた位置に移動をした
「…………佐輔さん。」
「……御呼びでございますか?お嬢様。」
ボソリと晴菜の間近で無ければ聞き取れないほどの声量でその名前を呼ぶと一瞬の風とともに小柄な少年が控えていた
「優希様に危険がない様に私以上に護衛なさい。それと武田璃玖は危険です。充分に調査しておく様に。」
「かしこまりました。この佐輔にお任せを。」
「頼みましたよ佐輔。それともう一つ、……例の件はどの様になっておりまして?」
「はい!すでにご用意のほうは完璧に整っております。間違いなくお嬢様の願い通りになりますでしょう。」
晴菜はホッと一息をつき佐輔と言う少年に礼を述べた
その後、いくつか指示を出した後佐輔と名乗る少年はその場から姿を消していた
「…………例え相手が優希様の親友であろうとも関係ありませんわ。優希様の……私の旦那様の平穏の為に……。」
中休み終了後、SHRで委員会決めの時間となり晴菜と優希は同じ【図書委員】となった
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