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〜STORY 130 7月4日 〜

「ね、ねぇ?あの子大丈夫なのかしら…?【ヒソヒソ】」


「しっ!あまりジロジロ見るものではないわよ!【ヒソヒソ】」


「…………【フラフラ〜】」


晴菜の家を出て帰路につく優希の足取りは酔っ払いのようにフラついており、同じ道を通る通行者も道を開けつつ優希の姿が見えなくなるまで彼の後ろ姿を眺めている程の奇行者に見えたのだろう

先程も親切なご老人が心配そうに声を掛け近寄って来てくれたのだがまるで聞こえていない優希に親切そうなご老人も最後は怒って帰ってしまった


「…………(晴菜…さん……)」


そんな夢現つな優希だが頭の中では晴菜の顔がずっと浮かんでいたのだった

当然の如く原因は今朝起きた晴菜との口付けでその時の光景や晴菜の顔が頭から離れないのだった

頬へのキスなら晴菜や飛香や奏音、毎日のようにしてくる椿にされている為慣れてはいる(慣れたとはいえ動じないと言っていない)

だが、唇への本物のキスは思春期に入ってからは一度もされてはいない(勿論唇へのキスの先駆者は椿である)

そんな優希に美少女の晴菜からキスされたとあればこうなってしまっても仕方ない


「………ん?あっ、家着いてたんだ…」


気が付くと優希は自分の自宅に着いていたのだった

頭の中は晴菜一色になっていても自宅への道のりはちゃんと身体が覚えていたようだ


「ふぅ、お見舞いに行ったのにそれ以上の衝撃でこっちが疲れちゃったよ…。部屋で思い切り寝ようかな…」


夜勤明けのような感覚を味わったお見舞いの疲れを自室の寝慣れたベットで解消しようと玄関の扉を開けようとした手を伸ばそうとする

その時扉の向こう側からドドドドと何かが接近してくる音が聞こえてきた


ガチャアァ!!


「お帰りなさいゆ〜〜〜〜〜〜ちゃ〜〜〜〜〜〜ん!!!!!!」


「ふごあ!!?」


扉をぶち破りそうな勢いのまま母親の椿が愛しの優希の胸に思い切り飛び込んできた

あまりの勢いのあるタックルに優希は防御を一切とれないまま門近くまで吹っ飛ばされたのだった


「うっ、ゴホッ!つ、椿さん?確か昨日の夜にこの時間帯位に帰るよって言ったよね!?家の中で待っててくれたら良かったのに……」


椿の事だから玄関の前で待っているとは思っていたがまさか胸にタックルして出迎えてくるとは思わなかった

勢いよく飛び込んできて怪我していないか椿を確認したが特に擦り傷とかしていないようで優希も安心した


「うん!だからゆ〜ちゃんの姿が見えるのを3時間前から監視カメラのモニター見ながら待っていたのよ?そしたらゆ〜ちゃん時間よりも早く帰って来てくれたんだもん!嬉しくってタイミング合わせて飛び込んじゃった♡」


椿は優希に立たせてもらいつつタックルの経緯を説明する

優希が早く帰って来てくれたのが本当に嬉しかったようで優希に抱きついて離れようとしない


「3時間って…というか監視カメラ?うちにそんな物あったんだ(奏音もいるし最近物騒だから付けたのかな?)」


「そうよ〜?帰ってきたゆ〜ちゃんの姿をいち早く見れるように10年くらい前から設置したのよ?」


「10年前から!?僕が小学1年生の頃から使ってるってことなの!?」


優希は意外な事実を知ったのだったが今更感があって外して欲しいとは言えなかった

優希は椿にカバンを渡し家の中に入る

リビングに入ると奏音がいないということは自室にいるのだろうか?


「まぁ、奏音もいる訳だし防犯カメラは必要なのかな?流石に盗聴器や発信機なんか歯付けていないんでしょ?」


女子高生の奏音を良からぬ目的で狙う不審者もいないとは言い切れないこの世の中

【備えあれば憂いなし】と言うし寧ろ優希も防犯カメラは必要だと思う


「………ゆ〜ちゃんお腹減ったでしょ?ご飯用意するから着替えに行ってらっしゃい?」


「ちょっと!!今の間はなんなのさ!?本当に付けていないんだよね!?」


少し間が空いたのだが上手い言い訳が思いつかなかったのか椿はクルッと180度回転して台所に向かい朝食を作り出そうとし始めた

優希は発信機について詳しく問い詰めようと迫るが全く椿は聞こうとしない


「ゆ〜ちゃんはスクランブルエッグと目玉焼きどっちが食べたい?ゆ〜ちゃんの大好きなジャガイモのポタージュも作っておくから早くおりてらっしゃいね?」


「ポタージュで誤魔化さそうとしないで!!盗聴器と発信機は絶対に必要ないのになんで付けているのか詳しく…ちょっと!イヤホンつけて朝食作ろうとしないで!なんで豚の鳴き声!?こう言う時って邦楽とか聞くでしょ?」


遂には両耳にイヤホンをつけ始め優希にも聞こえてくるほどの音量で子豚の鳴き声を流し始めた

入ったばかりで動物の扱いに慣れていない飼育員が雑に子豚を抱きかかえた時の悲鳴なのだろうか?


ガチャ


「あっ、お兄ちゃんおかえり〜。晴菜先輩の家はどうだったの?」


そんなしょうもないことを考えていると台所の騒ぎ声が聞こえてきたのか二階の自室から奏音が降りてきた

口の中をモゴモゴしているところを見るに彼女の大好きなミルクキャンディー【ミルクマミレ】を舐めているようだ


「え?な、なんで奏音そのこと……」


「ん〜?だってお兄ちゃんの現在位置を発信機で辿って……」


優希はなんで自分が晴菜の家にいた事を奏音が知っているのか顔を青くして聞くと奏音はさも当たり前のようにスマホの発信機の映像を見せてきたのだった


「椿さん!やっぱり発信機取り付けているじゃん!!ということは盗聴器も取り付けていることも本当なんだね?今すぐ外してって牛の鳴き声を大音量で流さなくて良いから!!」


結局優希は疲れた身体を休ませることなく椿と奏音に盗聴器と発信機の詳細の説明と取り付けた物の回収を要求することに時間をかかってしまいゆっくり休むことはできなかった

因みに…要求の代償があまりにも重すぎたため、泣く泣く断念してしまった

今話を読んでいただき誠にありがとうございました!


この作品を「面白いな!」「結構好きかも?」「続きが早く読みたい!!」と思ってくれる方がいましたら是非!高評価、ブックマークよろしくお願いします!!


作品執筆力向上に繋がりますので作品への感想や意見などありましたら是非お願いします!!


では次回もお楽しみに!!


ありあっした~♪

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[気になる点] しかし、彼はすでに詩織との最初のキスをしました
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