〜STORY 129 7月4日 お泊まり⑫ 〜
「……んっ……ちゅむ……」
「…………ん、んむぅ!?」
優希は思いがけないことに脳内がぐるぐるしてまともに考えられなくなっていた
今まで晴菜にされたキスは頬へのキスのみで唇への直接的なキスは優希にとっても衝撃的だった
優希も幼い頃に椿や奏音、保育園の時に飛香にされたことはあったが結局はそれっきりで家族とのキスや物心がついた頃のキスなんて特に意識しないでされたからなんとも思っていなかったが今回のは訳が違う
相手はクラスメートで高校に入学してから親しくなったお嬢様
百人に彼女の容姿を聞いたら百人が美しいと答えるほど容姿端麗でその上自分のことを【あるじさま】と呼び慕ってくれる晴菜にキスされたのだった
「あらあら、うふふふ♡」
娘の突然の行動に戸惑う事もなく、麗美は目の前でキスをしている晴菜と優希の姿を口元を押さえながら微笑み見守ったのだった
「んぅ…はぁ//……優希様///」
「(んっ!?か、可愛すぎるでしょこの顔は……!!!)」
母親の麗美のこともお構いなしに目を瞑り頬を赤くしてそれでも一口に優希の唇を離さまいとキスをし続ける晴菜に優希は夢中になっていた
小鳥が親鳥に餌を貰おうと啄むように唇を弄られるのが心地よく、正直気持ちいいとさえ思う上晴菜の唇は非常に柔らかく、そしてとても甘かった
「(これ…ハマっちゃ……)え……?」
「【スッ…】はぁ…はぁ……」
あと少しでどこかへと落ちてしまいそうな感覚に陥りそうになった時、晴菜は優希の唇から離れ優希から少し距離を取ったのだった
お互い息はあがり、頬はキスしている時よりもより一層真っ赤に染まっていた
「ふ、ふふ……どうですか優希様?」
「ど、どうって……?」
「私とのキスの感想ですよ。この眞田晴菜、遂に優希様に【はじめて】を捧げることが出来た事を大変嬉しく思っていますの。優希様はいかがだったのでしょうか?」
一時の沈黙が部屋に流れる中、晴菜は荒げた息を整えると顔を真っ赤にしたまま優希にキスの感想を迫るのだった
「あ、その…なんて言うのかな…。こんな事初めてだから頭の中ぐるぐるしていてなんて言ったら良いのかわからないよ…」
「まぁ、仁科さんとは既にお済みではないんですのね?私はてっきり御母様や仁科さん達に初めてを奪われたとばかり思っていました」
優希の言葉に晴菜は目を丸くして意外そうな目で優希を眺めた
晴菜の予想では優希はとっくに【初めて】を経験をしているつもりだった
しかし優希はその【初めて】を経験していない
晴菜にとってはそれが何よりも嬉しかった
「ふふ、それはとても喜ばしい事ですわ。晴菜さんの初めてを貰った優希くんも初めてなんてこれは運命ですわね。」
麗美は心底嬉しそうに顔を真っ赤にした二人を眺めていた
「ふふふ、今日のお夕飯はお赤飯にしてもらいましょうね晴菜さん。今日という記念日をこの眞田家の記念日として後世に残しましょう!」
「流石にそれは恥ずかしいかもしれませんが仕方ありませんわ///」
「いや…流石にそれは勘弁してくれませんか?」
終始本気なのか冗談なのか分からない麗美に晴菜も恥ずかしがりながらも承諾していた
優希は上手く回らない頭を必死に動かしてツッコミを入れるが興奮して二人でこれからの事を話し合っているの耳には何も入っていなかった
こうして優希のお見舞いだったのかお泊まりだったのか分からない1日は幕を閉じた
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ありあっした~♪