〜STORY 12 4月6日 六〜
こんにちは!松下タツヤです!!
皆さんはお弁当はどんな感じでしたか?僕は運動系の部活に所属していた為お弁当というよりタッパーのような容器にたくさんのご飯とおかずを入れてもらってました
引退して数年後、食べたくなって母に作ってもらい食べてみたら半分以上残りましたw(残りは分けて食べました)
「はい、それでは今回はここまでとします。皆さん授業は始まったばかりですがよく復習しよく予習していてください。それではこれにて」
数学担当の草山先生が眼鏡を持ち上げ生たちに忠告をした
その際眼鏡のレンズが光ったように見えたのはきっと光の反射が生み出した偶然だと信じたい
担当生徒の礼により四時間目の授業が終了し1時間ばかりの昼休みとなった
六条学園は食堂もあるが僕や璃玖は飛香と一緒に教室でお弁当を食べることがほとんどで食堂は滅多に使用しないというよりする必要がない
「わっ!相変わらず優希のお母さんの手作り弁当は美味しそうだなぁ〜!」
弁当箱というよりタッパーに近い容器には海老フライに唐揚げに卵焼きなど定番のおかずがぎっしり詰められている
僕の好きなおかずがたくさん詰められており、彩りも整っていて本当に凄いと僕も思う……のだが
パカッ
「………………やっぱり」
もう片方の容器にはご飯が入っている
そこは普通なのだか、問題はその上に桜でんぶで大きなハートを作り更にその上にのりで【ゆ〜くんファイト!】と型取られていることだ
「あっ……あははっ、なんていうか、凄いね。」
「くっ……流石おば様ね。私もまだまだ頑張らないといけないわね」
見慣れている二人も苦笑してしまう
まぁ……味は格別に美味しいのだからいいんだけどね
というか飛香はなんでこのハート見て悔しがってるのだろうか……?
「「「いただきます」」」
3人で手を合わせいただきますの挨拶をする
教室には弁当を持参して食べる生徒もいるがその数は少なく静かなためこの時間はかなり好きだったりする
璃玖と席をくっつけて僕と璃玖の間に飛香が入るのが僕たちの決まりのパターンとなっている
「そういえば六限目は委員会決めだけどゆ〜ちゃんは何を希望するの?やっぱり図書委員?」
「う〜ん……なれればいいんだけどね〜。図書委員は倍率高そうだしじゃんけんになったら可能性は低くなっちゃうよね……。」
図書委員の基本の仕事は本の整理や、在庫の確認など、割と簡単な作業でしかもその間は先生がいないので図書室の漫画を読んだらスマホをいじったりと楽ができるということもあり人気の委員会である
僕自身小説や漫画は好きで家にも沢山あり、仕事を終わらせた後本を読んだりしたいので出来ればその恩恵を受けたいというのが本音だ
「うちのクラスはお調子者が多いから狙うだろうね。まぁ、結局は優希のじゃんけん運次第だろうけどね」
璃玖はミートボールを口に頬張りながら肘を置く
う〜ん……確かにその通りなんだよなぁ〜
海老フライを口にし、僕はどうすれば穏便に済むか模索する …………あっ、海老フライおいしっ……
「…………(そっかぁ〜ゆ〜ちゃんは図書委員になりたいのね……なら少し頑張ってみようかな!)」
ふと飛香の方を見ると何か考えてるようだったが何かを閃いたのか突然パッと笑顔になりニコニコしたままお弁当に手をつけた…………何かあったのだろうか?
「璃玖は何の委員に入るか決めた?」
「実は陸部の先輩から風紀委員にならないかって言われててね。入るか迷ってるんだ」
「えっ?迷ってるの?結構風紀委員って大変そうだから断ると思ってた」
生徒会以上にハードな上に生徒達から反感を受けやすい風紀委員会を璃玖は迷っている
「良くしてもらってる先輩だしね。……それに風紀委員会に入れば優希に何かあった時にすぐに迎えるから便利かなって思ったまでさ」
そう微笑みながら璃玖は僕の頭を撫でてきた
本当に璃玖は頭撫でるの好きなんだな……
「ちょっとあんた!!何しれっとゆ〜ちゃんになでなでしているのよ!!ゆ〜ちゃんが困っているじゃない!!」
「知らないの?優希は僕に撫でてもらうのが一番好きなんだよ?嫉妬するのは構わないけど僕と優希の至福の一時を邪魔しないでほしいな。」
二人が同じタイミングで「そうだよね」と言わんばかりにこっちを向いてきた
璃玖はニコニコと飛香は鼻息荒く睨んできた
「そ、その……ぼ、僕は二人に撫でてもらえればう、嬉しいからさ……あまり喧嘩はしないでほしいな……なんて」
少しばかり臭いセリフを吐いてしまったと自分でも思い自分でも照れているとわかる
からかってくるかと二人の方を見ると僕の方をぽかーんと生気の無い顔を浮かべ、僕の視線に気づくとバッと横を向いてしまった…………やっぱり少し臭かったかな……?
「(……からかいも兼ねたつもりがあんな事言われたら……少しトクンとしちゃったな……)」
「(もうなんなの!?ゆ〜ちゃんったらいつも私の心にときめく事を平然と言ってくれちゃって…………あんなの……反則だよ〜)」
二人とも押し黙ってしまい黙々とお弁当を食べるが僕の方を見ようとしなくなってしまった
「「「き……気まづい…………」」」
「あらっ、皆様仲良くお弁当ですの?」
この空気をどうにかしたいが案が浮かばず途方に暮れていると後ろから晴菜さんがお弁当を持ちながら声をかけてきた
「あれ?晴菜さんもうお弁当食べたの?」
晴菜さんはいつも理事長の所は手伝いをしてそこでお昼を摂ってると前に聞いていたがまだ昼休みが始まって10分にはまたっていない
「いえっ、進級後は叔父様のお手伝いもお断りさせていただきまして、教室でお昼にしようかと」
ニコッと微笑み晴菜さんは両手には小さな包みを見せた
「そうなんだ!もしよかったら一緒に食べようよ!」
丁度僕と璃玖の横が空いていたのでここへ来るよう誘導する。クラスメートである僕と璃玖の横だったら晴菜さんも気兼ねなくいられるだろう
「まぁ!嬉しいですわ!!ありがとうございます優希様!!それでは失礼致します。」
晴菜さんが入るスペースを整え、晴菜さんを座らせる
その際髪の匂いだろうかふわっと匂いが僕の鼻をくすぐった
「ふふっ……優希様にこのシャンプーの香りがお気に召したようで何よりです。もしお好きでしたら……どうぞ。手にとって嗅いでいただいて構いませんわ。」
クスッと微笑み晴菜さんは自分の髪を手に取り僕に近づけた
「えっ……じ、じゃあ……遠慮なく…【クンクン】」
手にとって嗅いでみると脳内に電撃が生じるほどの電撃が流れる感覚にあった
その匂いは爽やかなのだがまるでお母さん(椿さんではありません)に抱きしめられているようなふんわりとした感覚に見舞われる
グニっ!!
「痛っ!!」
つい夢中になって周りのことを気にせず嗅いでいると
僕の左太ももを捻るように抓る飛香が般若のような表情を浮かべていた
「ちょっとゆ〜ちゃん!!何トリップになってるの!!体に悪影響だからやめなさい!」
「そうだよ優希。それにここは公共の場なんだからむやみにそういった行動は慎むべきだよ?」
「ちょっと!あんただけにはそのセリフ言われたくないんだけど!」
バンっと机を叩き立つ飛香と座ったままの璃玖がまた喧嘩を始めてしまった
抓られた太ももをさすり痛みを和らげていると隣の晴菜さんが口元を僕の耳に近づけた
「楽しめましたようで何よりですわ。また優希様が嗅ぎたくなりましたら、いつでもお申し付けくださいませ。私はいつでもお待ちしておりますわ。」
…チュッ
そう言い僕の耳に軽くキスをして晴菜さんは席に着きお弁当に手をつけた
僕と目が合うと彼女はニコリと微笑んでくれた
僕の心臓は先程からずっとドクンドクンと大きく鼓動し飛香や璃玖の喧嘩の声やそれを注意しにきた滝沢さんの声はまるで聞こえていなかった
その鼓動が静まる頃には昼休みの終了のチャイムが鳴っていた
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