〜STORY 119 7月3日 お泊まり②〜
「お〜い、お嬢様〜?布団の中に隠れないでとっとと出てきてくださいよ〜?愛しの旦那様がさっきからお嬢様の事呼んでますよ〜?」
「は、晴菜さ〜ん?あまり長く布団に潜ってると身体に良くないよ〜?」
優希が晴菜の自室に入ってから既に5分が経過していた
その間優希と晴菜は何度も布団にこもって一切顔を出さない晴菜に出てくる様何度も呼びかけているが一向に出てこようとするどころか微動だにしない
「ふふ…お嬢様〜?出てきてくださいよ〜?【さすりさすり】」
「…………【パシィッ!!】」
「あいたぁ!?…っもう〜、私だったからよかったもののもしこれが優希様だったらまた自己嫌悪しちゃいますよ〜?」
この状況を面白がった小鳥遊は晴菜のお尻(であろう形をした部分)を撫で回して見るとその手を思いっきり叩いた
晴菜からしたら優希がそんなことしないと分かった上での当然の反応なのだろう
「あ、あの…小鳥遊さん?そんなことしてたら余計晴菜さん出てこないんじゃないですか?」
事実、晴菜は全く布団の中から出てこない
ブツブツと何か呟いているのは分かるが近くで聞いても何言っているのかは理解できなかった
「あら、優希様ったら何言ってるんですか〜!こう言う時だからこそお嬢様を揶揄うのが面白いんじゃないですか〜!!」
小鳥遊の方はというと寧ろこの状況を存分に満喫しようとしていた
彼女にとってはいつものことなのだろうか…
「そう言えば〜。優希様さっき私が“愛しの旦那様”って言った事にについてはな〜んにもツッコミを入れないですよね〜?ひょっとして〜、自覚があったりするんでしょうか〜?」
「あえて!触れなかったんですよ!!もしその事に触れでもしたら絶対からかってくるじゃないですか!!」
「はい正解で〜す!ピンポンピンポ〜ン!!」
小鳥遊は頭の上に両手で大きな丸を作った
やはりというか分かっていたのだが小鳥遊はからかってきたので優希の予測は当たっていたのだろう
ただ、誤算だったのはどちらに転んでも小鳥遊がからかってきた事なのだろう
「ん〜、もう少しお嬢様で遊びたいところなんですけどもこれ以上遊んでしまいますと夕飯が遅くなってしまいますからここまでにしましょうか〜。」
「あの…小鳥遊さんって本当に晴菜さんの従者さんなんですか?」
従者っていうか妹のことが大好きな姉のような感じがする
「ふふ、それもそうかもしれませんね〜?実際私って他の従者さんと違って家の奉仕とか全くしてませんもの【ふん!】」
「いや、そこ威張るところじゃありませんよ?」
そこは嘘でも従者ですよ〜って言って欲しかったが小鳥遊的にはどっちでも良さそうな態度をとっている
「それに〜、私的には〜、優希様の専属の従者さんになりたいですね〜!こ〜んなかわいい顔した男の子の従者とかってめっちゃ萌えません!?」
小鳥遊は腰を下がめて優希の顔を覗きこむ
その表情は意識してなくても上目遣いをしているようでとっても色っぽかった
「あ、あの…僕は男の子なんであまり可愛いって言われても嬉しくないんですけど…言われるならカッコイイとか」
優希は恥ずかしくなってしまい横に顔を背けてしまった
「じゃあ優希様って格好いい!とかイケメ〜ン!っとかって言われたことあるんですか〜?」
「……ないです。」
「ほら〜!やっぱりそうじゃないですか〜!」
しかし小鳥遊は逃がさないと言わんばかりに優希の顔の方へ移動して優希に問いかける
優希は少し思惑するが優希の人生の中で格好いいなんて言われたことなど一度もない
長年一緒に暮らしている椿や奏音でさえも優希のことをかっこいいと言ったことはない
小、中、高と女子と仲良くなることは多かったし運動会や体育祭などでもそれなりにいい成績を残したがそれでも言われたことはなかった
「(小鳥遊さんに言われて気づいたけど僕って本当に一回も言われたことないんだなぁ〜。ちょっとショックかも…)」
優希の自分の男としての自信が消えていく様な感覚を覚え少し悲しくなった
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ありあっした~♪