〜STORY 116 7月3日 お泊まり交渉 弍〜
『ホテル〜?どこのホテルかな〜?まぁいっかぁ〜。今すぐ迎えに行ってゆ〜ちゃんにた〜っぷりお話聞くから待っててね〜?』
優希の言葉に椿はぐしゃぁと何かを潰した音を立てて怨念を込めた声で囁いてきた
本当に怖くて優希の足元は緊張でガクガクと震えていた
しかし優希は確かな自信を信じてめげずに続けた
『ち、違うよ!じ、実は夏休みに椿さんと奏音と3人で何泊かの旅行を考えているんだ!それの下見も兼ねて色々とホテルを見て回ってるんだ!』
『へっ…?……えぇ!!?りょ、旅行!?』
“夏休みの旅行”
これこそ優希の信じる“確かな自信”であった
普段学校での生活や放課後のバイトに励んでいる優希は椿や奏音にあまり構えてあげれていない上に疲れている時に奏音達に甘えてこられても蔑ろにしてしまっていることもあり二人は表に出さないようにしてるがかなりストレスが溜まっていた
今までだったら少し構ってあげれば元に戻ってくれてはいたが最近の傾向からそれはもう不可能だと優希も理解している
それならばと前々から優希は夏休みに小旅行を計画し、二人のリフレッシュを図ろうとしていたのだ
『そう!旅行だよ旅行!!家族水入らずと言いたい所だけど父さんはこっちに戻ってこれなさそうだから残念だけど3人で楽しもうよ』
今回は晴菜の家に泊まり込む口実として利用したが本当に計画しているので嘘ではない
『ほ、本当!?本当に今年の夏休みにゆ〜ちゃんと二人きりで旅行に行けるの!?』
突然の出来事に椿もかなり興奮しているようだ
耳元から興奮のあまりフンフンと鼻息が聞こえてきた
『もちろんだよ椿さん!…まぁ奏音もいるから二人きりではないけどね…』
機嫌を良くするなら本人と二人きりで旅行に行ったほうがいいのでは?とは思うが何分優希は一般的な普通の高校生(というと色々な人から殴られそうだが…)である為、金銭的にも余裕があるわけない
バイトで多少は稼いでいても幾ら何でも限度がある
『で、でもでも!私まだゆ〜ちゃんと結婚式も披露宴も開いてないもん!?ゆ〜ちゃんとのハネムーンはとても心躍るけどやっぱり順序というものが…』
『お、落ち着いて椿さん!!僕たちは“家族”で旅行に行くんだよ?第一僕はまだ結婚できる歳じゃないし……』
『って事はゆ〜ちゃんが来年のお誕生日を迎えたら私と結婚してくれるのね!!嬉しいわぁ〜!!来年のお誕生日が待ち遠しくなっちゃう!!』
『まっ!待って椿さん!!お願いだからブレーキを踏んでください!!』
お泊まりのお願いがいつの間にか結婚の話までに発展してしまっている
血の繋がった親と結婚なんか出来ないなんてセリフは椿には一切聞こえない
そのセリフを言うと決まって「ゆ〜ちゃんへの愛は法律なんて超えてくるんだから!」とこの言葉が出てくるからだ
『と、とにかくそう言う事だから今日は泊まって行くからね?じゃあね!!【ガチャ】…はぁ、またややこしいことになっちゃったなぁ』
自分の世界に入ってしまった椿との会話を強引に切った優希は帰った椿と奏音に結婚についてを説得するのに何時間かかるのだろうかと言う問題に頭を痛めつつこれから降って湧いてくる問題に立ち向かうべく晴菜の部屋へと戻っていった
読んでいただき誠にありがとうございました!
もし良かったら高評価、ブックマーク頂けたら幸いです!
作品力向上に繋がりますので作品への感想や意見などありましたら是非お願いします!!
では次回もお楽しみに!!
ありあっした~♪