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冒険者と執行者では制約に違いがある。
冒険者は多い。
各地に仕事斡旋所があり受注できる仕事として優遇されている。
そして、魔物に対抗する手段として重宝されていた。
しかし、厳しい制約が多い執行者・罪狩りは、なるものが少なく存在自体が皆無に等しい。
また魔物が憑いたモノと対峙するため、人々からは誤解を受けやすく理解されにくい存在である。
地獄を思わせるかのような入口があり、牢獄かのような外壁が拍車をかける。
例えるならば、地獄をイメージして建てられた城というべきだろうか。
そして、発する場の力は、能力が役たたないような抑圧を受ける。
もしくは自身の中での暴発が危惧されるような、そんなちりちりとした焦燥感を掻き立てる異質な空間。
そんな処刑所に勤務しようと思う者は皆無に等しくとも、全くいないわけではない。
それを裏付けるように、迷いなくその城へ入ろうとする少女がいた。