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何でもする人は楽じゃナイ!  作者: 氷上 冷嗚
第01章:盗賊団
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007 - 下級魔術士なりの抗い


 クロードに置いていかれ、一人取り残された僕は ただただ どうする事も出来ず木の陰に隠れていた。

 一応、僕も魔術士(ウィザード)の端くれ……ではあるのだけれど、基本的に使える呪文はサポート系のものしかない。

 その為、増援が来てしまった場合は対処のしようがなくなるので、成るべく早く迎えに来てくれたら助かるのだけど……。


『安心しろ、増援などは来ない。

 ……もっとも、私自身が来たがな。小娘』


 何処からか、また声が聞こえた。

 この声は――さっきの女の声!?


「く、クロードはどうしたの!? まさか、やられ……

 というか!何で僕の思っていたことが分かった!?」


『そんな立て続けに質問をするもんじゃないぞ』


 またも女の声が聞こえたと思った瞬間、何かに ぐっ、と体を押さえつけられた……。

 これは……蝙蝠(こうもり)!?


「……やはり、あの異形の者とは違い

 貴様は手緩(てぬる)いようだな、小娘」


 そう僕に告げると、黒いマントに身を包んだ女性が木々の間から姿を現した。

 その目には光がなく、とても淀んだ眼差しをしている……。


「だが、まぁいい。あの異形に免じて教えてやろう。

 私の従える蝙蝠(こうもり)は全てを見透かすのだ。

 だから、お前の考えている事も お前の能力も手に取るように分かる……。

 ……ただ、あの異形の能力は全く分からなかったがな。

 長くこの仕事をしているが、こんな事は初めてだ……」


 そう言いながら、女はゆっくりとこちらへ向かってくる。

 その姿はとても威圧感があり、正直言うと凄く恐い。

 蝙蝠(こうもり)の大群に体を押さえつけられていなければ、今すぐにでも逃げていたところだ。


「……私としたことが、久々に感情が(たか)ぶり過ぎたせいで

 お喋りが過ぎたかな?

 まぁ冥土の土産には十分か。一瞬で終わらせてやる」


「意外と厄介な蝙蝠(こうもり)だったんだね……。

 でも流石クロードと云ったところかな……なら!

 僕も下級魔術士(ウィザード)なりに、やれる所までやってやる!」


 クロードだって頑張ったんだ、それなら僕なりの意地を見せてやろう。

 そう思い、力を振り絞って呪文を唱える。


冷気爆破(コールド・バーン)!!」


 これを唱えた瞬間、強烈な爆発音と共に僕を押さえつけていた蝙蝠(こうもり)達は予想通り吹き飛んでいった。

 冷気爆破(コールド・バーン)。自分の周辺に冷気を作り出し、その冷気を一気に爆発させるという呪文である。

 ……まぁ爆発音こそ強烈なものだけれど、それに反して意外と威力は少なくて、完全に名前負けの呪文なんだよね……。


「なっ、何だと……!? 蝙蝠(こうもり)達が……

 貴様そんな能力が……!?」


 しかし思いもよらず敵の女は驚いていた。

 そんなにも僕は弱く見られていたという事なのだろうか……。そう思うと何だか腑に落ちない。


「下級魔術士(ウィザード)を甘く見たのが運の尽きだよ!!

 凍り付く錠前(フリーズ・ロック)!!」


 すかさず僕はいつもの拘束凍結呪文を唱える。

 ……が、残念ながら空中へ逃れられてしまった。


「ぐっ、今度は何だ! 氷呪文か!?

 何故だ! 何故こんな田舎に氷呪文など使える者がいる!?

 何なんだ……何なのだ貴様等は!?」


 何なのだ、と言われましても。

 こちらとしては、クロードはともかくとして 僕みたいな底辺魔術士(ウィザード)の能力も見切れない貴女が何なのだ。としか言いようがない。

 本当に、あの蝙蝠(こうもり)達に透視系の能力があったのかな……?


「こんな、こんな筈は……

 ――!? ごはァッ!?」


 空中にいた敵は突如 物凄いスピードで飛んできた"何か"に思い切りぶつかった。

 あれは……


「クロード!!

 よかった! やっと来てくれたー!!」


「レイン!待たせてごめん!

 ったく、よくも吸血鬼(ドラキュラ)なんて打たれ強い

 面倒な奴を呼び出してくれたね!

 その上レインまで狙うとは……もう容赦しねーからッ!!」


 クロードがいつになく怒っている……凄い魔力量だ。

 ここまで怒っていたら、流石にあの女の人でも止められないだろう……。


 いつにも増して強靭な彼を見て安心しきっていた……のだが


 何故か突然 僕の体が動かなくなった。

 いや、これは動かなくなったのではなく何かに拘束された……これは……糸!?


「な、に……!?」

「動くな、騒ぐな、抵抗するな。

 発言する事も許さない」


 僕を拘束したであろう人物が、耳元で囁いてきた……。


「いいか、私の言った通りに従わねば殺す」


 突然そんな事を言われ頭の整理がつかない自分。

 さっき"増援は来ない"とあの女は言っていたけど……やっぱり嘘だったの……!?


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