032 - 黒いローブの者(8)
「何をこそこそ話しておるのじゃ?」
小声で話している事に疑問を感じたのか、無花果さんが質問をする。
「な、何でもないですよ!」
「そうか? まぁ何でもないならいいのじゃが……」
そんな答えをした僕の様子を見て柘榴はまたムッとした不満そうな顔をしていたけど、もしかしたらこれは気のせい……じゃないかもしれない……何でそんな顔をするかはサッパリなんだけれども。
「因みに、突然で悪いんだけど柘榴サン……
年齢はいくつ?」
突然、柘榴に年齢を聞くクロード。
いくらこんな小さな子でも、女性に年齢の話はタブーなんじゃ!?」
「くっ、クロード!
いくらなんでも女の子にそんな質問――
「特に気にしないので大丈夫です。
拙者、歳は300歳程度……の筈です」
「さ、さんびゃくさい!?」
見た目に似合わぬ年齢で思わず声を出してしまった。
「やっぱり……
となると、キミはあの事件の生き残
「クロード殿!」
クロードは何かを言いかけた瞬間、無花果さんは急に大声を出し、続きを言わせないようにした。
まぁ、流石に辛い昔の事をわざわざ言うこともないだろう、これはクロードが悪い。
「……ごめん」
クロードは申し訳なさそうに謝る。
それにしても、彼女が300歳だなんて到底信じられない……1メートルくらいしか身長のなさそうなこの子が……。
「……レイン殿、いま拙者の事を
やらしい目で見ませんでした?」
柘榴さんをまじまじと見ていたせいか、急に彼女から そんな事を言われてしまった。
「……レイン、キミってそんな趣味が……」
「はっはっは! レイン殿も隅におけんなぁ!!」
「いや見てない! 見てないですよ!!
そんな目でなんか見ませんから!!」
皆が茶化していると、柘榴さんがジーっと僕の事を見つめながら顔の前まで近づいてきた。
そして暫く見つめられた後、一言……
「ほんとですか……?」
「ほ、ほんとです……」
しっかり見てみると、彼女は整った綺麗な顔つきをしている。
ショートヘアーなせいで男の子だと勘違いしていたが、こうしてみるとちゃんと女の子のようだ。
両目の下にメイクのような物が書かれていたので、くまの多く不健康そうな目だと勘違いしていたが、実際は綺麗な目をしていた……見続けていたら吸い込まれてしまいそうな位、本当に綺麗な瞳だ。
「はい!ストーップ!!
二人とも離れてねー!
こんな茶番してる場合じゃないでショー!?」
クロードは突然大声を出しながら、僕と柘榴さんをグイッと手で押して、距離を離した。
柘榴さんはとても不満そうな顔をしていたが、やはりクロードに何か恨みでもあるのだろうか……。
ともあれ、確かに今はこんな所で呑気に過ごしているわけにもいかない。
今すぐにでも、盗賊に捕らえられている香さんや村の人達を助けにいくべきだ。
「そうじゃった、そうじゃった。
こんな所でのんびりしてる場合じゃないのう。
レイン殿の友人を助けに行かねば……。
……まぁ、兎の足なら 1日もかからずに着くじゃろうが
生憎と、人数がなぁ……」
そう言いながら、無花果さんはクロードの方をチラッと見る。
「あっ、拙者に関しては一人で何とか出来るから
特に問題はないです」
柘榴さんは手をあげながら言った。
今は生えていないが、多分あの背中から出てくる羽のような物で走るんだろうと思った。
実際、さっき敵対していた時は それで歩いていたっぽいし。
色々と謎が多い子だけれど、きっとドワーフ族の特殊能力だろう。多分、おおよそ、きっと。
トラウマを掘り起こすのだけはしたくないので、深入りはしない。
そんな事を思っていると、無花果さんは話を続ける。
「レイン殿のような軽い童なら、儂がこの獣人姿で
背負いながら走ればいいんじゃが
生憎と儂は草食種、二人を担げるまでの力はないんじゃ……」
残念そうにそう言った。
そうすると、クロードが半笑いをした後に答える。
「あの、無花果サン。
それに関しては心配いらないヨ」
「なんじゃと?」
「ちょっと、兎に関しての情報を教えてくれないかな?
足の作りはどうなってるとかでいいから……」
「か、構わぬが……」
そういうと、無花果さんは兎の足の構造についての説明をし始める。
きっと、その構造を教えてもらって、擬態能力を使うんだろうなぁと そう思った。
話が終わるまで、僕はもう少しだけ休ませてもらおう……。




