030 - 黒いローブの者(6)
(あたた、かい……ぬくもり……
抱きしめてくれているの? イチジク……?)
ザクロが そのぬくもりに安心し閉じていた目をゆっくりあけると、見知らぬ者に抱きしめられていた。
そう、今まで敵討ちの対象だと思っていた者に。
「な、なんだこの状況は!?
どうして貴様が拙者を…だ、抱きしめている!?」
「あっ、えーっと……君を助ける為かな?」
そう言われ状況を確認したこの子供は、今まさに"崖から落ちている"という この事柄を理解したようだ。
「……何故貴様が拙者を抱きしめながら落ちているのか
状況がよく分からないが、その話は後で聞くとしよう……
はァッ!!!」
「うわぁっ!?」
そう言うとザクロは背中から何本かの羽のような棒を出し、それを崖の岩盤へと突き立てる。
羽を勢いよく岩盤に突きたてたおかげで、落下していた二人はピタッ……と空中で止まる事に成功した。
「す、ごい……
今の衝撃で、さっきまで凍っていた氷も割るなんて……」
「ふーん、まぁ4本程度で固定出来たか。
このまま登るぞ!
登った後は、みっちりとこの状況を説明してもらう!!」
「は、はい」
空中で止まった事を確認したザクロは そのまま背中から生えた羽のような物を、まるで虫の足のように一本ずつ岩盤へ突き立て上へ、上へと登って行った。
それはまるで、蜘蛛が壁を這い登るような登り方だった。
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あのまま岩盤を登ったザクロは、レインと共に無事 地上へと到達した。
地上に着くや否や、雑な扱いでレインを地面へと放り投げる。
「よし、地上だ!
さて貴様、これはどういうことなのか
きっちりと説明してもらおう」
ザクロはそうレインへ言ったが、彼からの返事がない。
どうやら意識を失っていたようだった。
「……気絶しているのか……?
それにしても酷い出血だな……」
彼の姿を見たザクロは、暫く思考した。
この者が意識を取り戻すまで大人しく待つか、それとも仇だと思っているこの者を 今ここで屠ってしまうか を。
(参ったな、面倒だし このまま崖に落としてしまおうか)
その瞬間
「ザクロォー!!!」
遠くから馴染のある声が聞こえた。
黒兎であったイチジクだ、今は獣人の姿へとなっているが。
そのまま全速力でザクロの方へと駆けてくる。
「イチジク!!
ど、どうして獣人に!?
それ程、苦戦を――」
「馬鹿を言うな!
その者がおぬしを助けてくれたんじゃぞ!!」
それを聞いたザクロは、信じられないという表情をした。
まさか仇であるコイツが?そうとしか思えなかった。
困惑するザクロを他所に、イチジクは続ける。
「それどころか
今回 否があるのは儂らの方だったかもしれぬ……」
「な――」
ザクロはそのまま、イチジクに今までの経路を説明してもらった――
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「んぅ……」
目が覚めると、僕はまた洞窟の中にいた。
多分さっきの洞窟だとは思うが、誰かが連れてきてくれたのだろうか……。
もう随分と外は暗くなっているようだった。
いや、そんな事よりも ザクロはどうなった!?
肝心なことを思い出し勢いよく立ち上がろうとする。すると……
「痛っ……」
先程の傷が開いた場所からズキッと鋭い痛みが走る。
しかし、何故か傷口は包帯を巻かれ手当がされていた。
こんな手当まで一体 誰が……そんな疑問を感じていると……
「レイン! 目が覚めたんだネ、良かった」
後ろから、聞きなれた声が聞こえた。
ゆっくりと振り向くと、そこにはクロードが立っており、そしてその横には……
何故か土下座をしているザクロとイチジクさんの姿があった……。




