026 - 黒いローブの者(2)
「クロードォー!!
これ当たったら死ぬ! 絶対死んじゃうよね!?」
「当たり所 次第じゃ死んじゃうんじゃないかな!?
というか耳元で五月蠅いから、ちょっと黙ってて!!」
僕達はいきなり襲い掛かってきた謎の人物から全速力で逃げていた。
といっても、僕は痛手を受けた為にクロードにおぶってもらいながら逃走している形である。
ただ、大体 5分程は走りっぱなしだったので流石の彼も体力の限界が来たようだ……。
「ぐっ……流石に体力が……持たな……」
「く、クロード……せおってもらっていながらごめん……
やっぱり、ちょっと出血が多かったみたい……」
「れ、レイン!?」
出血が多いせいで、何だか視界がぼやけてきた、万事休す……。
そしてそのまま僕は、彼の背中で意識を失った――
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(あぁっ……もう……遂にレインが気を失ってしまった……)
体力の限界で倒れたレインを見たクロードは、走っていた足を止め瞬時に思考する。
どうすればこの状況を打開できるか、どうすればレインを助ける事が出来るか。
(もう、今はあの手しかないか……)
そして考えがまとまり、ある事を決断する。
(一か八かの大勝負……なに、一度は死んだ身だ!
ボクの命は惜しくない! でも彼は……彼だけは救う!)
「次元裂き!!」
突然、謎の呪文を唱えると クロードとレインはその場から瞬時に姿を消した……。
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「ん……ここは……?」
目を覚ますと、僕は見知らぬ洞窟の中にいた。
「さっきとはちょっと離れた洞窟の中」
壁際に座りながらクロードは答える。
「クロード! もしかして、アイツから逃げられたんだ……!」
「まぁ、ね。 ただ……」
「? ただ……?」
「……魔力は完全に尽きちゃった」
思い詰めた表情をした後、どこか諦めたような顔で彼は言った。
でも魔力を使い切ってまで逃がしてくれたなんて……どうしてクロードは、いつもこんなに僕の事を助けてくれるんだろう。
どうして……。
「さて、レイン……キミには二つの道がある。
一つは、このまま洞窟内で待機して魔力回復を待つ事。
もう一つは……ボクを囮にして、リドの村まで戻る事」
クロードを囮にしてリドの村へ戻る?
出来ない、そんな事は絶対に。
そんな恩を仇で返すような真似をしてたまるかというものだ。
クロードは続けて言った。
「今いるここは さっきの場所とあまり離れていないから
いつヤツに見つかるか時間の問題だ。だから一つ目はお勧めは出来ない。
だから お勧めは二つ目だけど、どうする?」
どうすると言われても、そんなの答えは決まっている。
「ここでヤツを待って迎撃する」
そう答えるとクロードは少し驚いたような顔をしていた。
「……ホント、時々 無茶な答えをするね。キミってやつは。
分かったよ……じゃぁそうしよう。死ぬ時は一緒だよ!」
「いや演技悪いこと言わないでよ!!」
流石にツッコミを入れる。
「悪い悪い、ところでレインの持ってるソレ……ナニ?」
「ん? あぁこれ……さっき森で採ったキノコなんだけど
食べられるやつかなって……」
「それ毒キノコだよ……
しかも、勢いよく振り回すと胞子をばら撒くめっちゃ有害な……」
それを聞いてがっかりする。
少しでも食べられたら魔力を回復出来たかもしれないのに……。
「……あっ」
食べられないキノコと分かり残念がっていると、クロードは何かを閃いたようだった。
「……ねぇレイン、イイコト思いついちゃった……
耳、貸してくれない?」
「へ? どうしたの……?」
耳を貸せと言われたのでゆっくりとクロードに近づく。
「実はね……」
そして僕に、こっそりと打開策を教えるクロード。
二人しかいないのに内緒話にする必要はないとは思うけれど、そんな野暮な事は言わない。
ひとまず、そのまま話を聞く……。
「で……すれば……
……どうよ?」
「なる……ほど……!!」
作戦を一通り聞き終わり、内容を理解した。
シンプルだけれど、もしかしたらこれはいけるかもしれない! そう思えた内容だった。
もう、後はヤツが来るのを待つしかない……無事に成功するかは分からないけれど、その時はその時、時の運だ!




