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何でもする人は楽じゃナイ!  作者: 氷上 冷嗚
第01章:盗賊団
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025 - 黒いローブの者


 アグネスさんにアジトの場所を教えてもらった僕達は、そのまま彼らと別れを告げて盗賊団の所へ向かう事にした。

 本当は途中まで彼らと行動を共にしたかったが、何でも 村人達の治療などをするらしいので村に残ってもらった。

 彼らなら村人を任せても安心だろうし、何よりアジトに入れるのは僕達だけだろうから、兎に角 先を急ぐしかないという感じだった。


「それにしても、アグネスサン……

 強かったけど、レインみたいな性格の人だったネ」


「失礼な! あそこまでひどくないよ!」


 そんな事を聞いて流石にむっ、とする。

 確かに僕も卑屈な性格ではあるけれど、あそこまで酷くはない。流石にあそこまでは……。


 そんな僕の一言を聞いて、クロードは苦笑いしながら


「……レインってさ、意外と言う時は言うよね……」


 と言ってきた。

 そんなに意外だろうか……。


-----------------------



「しかしお腹が空いてきたね……何か食べたいかも……」


 僕達はあのまま徒歩で盗賊団のアジトへ向かっており、現在はまた森の中を歩いている所だ。

 ただ、暫く歩いていたら"今日の朝に(かおる)さんの家でご飯を食べて以来、何も飲まず食わずだった"という事を思い出した。

 そんな事を思い出すと、自然と お腹が空いてくるものだ。


「ンー……そう言われてみるとボクもちょっとお腹が空いてきたな。

 今日 何も食べてなかったし」


「嘘ぉ!? それヤバいよ!

 魔力も減ってるだろうし何か食べなきゃ!」


 何と、クロードは何も食べていなかったとは……僕より深刻だ。

 食事はお腹を満たし体の栄養源になる他、何より 魔力の源にもなる。今の状態のクロードに食事は必要不可欠だ。

 何か食べれる果実やキノコはないかと近くの木々を調べる。


「ン? ナニしてるのレイン?」


「何か食べられる物はないかと思って……

 あっ! あのキノコとかウチの近くでも採れるやつじゃない!?」


 そのキノコを採ろうとしゃがんだ瞬間――


「レイン!?

 今キミの頭の上を何かが……」


「ほえ?」


 突然クロードが大きな声を出したので、彼の方に振り向く。

 するとクロードの後ろに全身黒ずくめのローブを着た何者かが立っていた。

 大きなフードまですっぽりと被っていて、その表情は確認できない。


「……我が攻撃を避けるとは、貴様……やはり……」


 その声を聞き、クロードも瞬時に戦闘態勢へと変えて振り返る。


 声を出した者は身長2メートルはありそうな大きな体格をしている。

 何より全身黒ずくめのローブ、あの暗殺者の関係の者だろうか……!?


「キミは誰だ?」


 クロードが問う。するとローブマンは


「貴様に名乗る義理はない。 それに"貴様には"用もない。

 わしの用があるのは、向こうの水色じゃ……。

 一族の仇……今こそ討たせてもらう」


 などと訳の分からない事を言ってきた。

 一族の仇? 絶対に人違いだと思うんですけど……。

 苦い顔をしながら、そんな事を思っていると突然


「死ねいァー!!!」


 と叫びながら、物凄い勢いでこちらへ突っ込んできた。

 マズイ! こんな突然に攻撃を仕掛けるとは思わず完全に油断していた!

 これじゃ呪文も間に合わない――


「何だあのスピード!?

 レイン! 避け――


「ちぇっくめいと、じゃ」


「うっ、痛ぅ……!!」


 無情にもローブの懐から取り出した手刀の刃が 自分の胸を貫く。

 しかし、突然の攻撃に驚き その場で体制を崩したお陰で何とか致命傷は避けられたが、それでも深手を負ってしまった。


「何してんだこのローブゥー!!!」


 急いでこちらに来るクロード。

 それに気づいたのか、ローブマンは突然何かを呟き始めた。


「ぐっ、致命傷を逃すなど、拙者も腕が落ちた……」


 そう小声で言いながら手刀を僕の体から抜き、僕達から離れるローブの人物。

 ……気のせいか、何かさっきと声が違うような……?


「うっ……はぁ……はぁっ……」


「止血! 止血しないと……」


 珍しく慌てながら近づいてくるクロード。 

 これ以上、彼を困らせるわけにはいかないと思い、僕は精一杯の笑顔を作り


「大丈夫、こうすれば……ね?」


 そう言いながら、傷のついた場所に氷呪文を唱え、氷で傷口を塞いだ。

 痛みはあるけれど、これで止血は出来た。何も問題はない……。


「うっ……ほんと、やる時はやるね。

 キミってやつは……」


「ふふっ、でしょ。

 ……ちなみにクロード、後どれくらい魔力 残ってる?」


「……さっき村で少し休んだから、ほんの少し回復したけど

 このままコイツと戦闘するのはマズイかもしれない……」


 柄にもなく、暗い顔をしてそう言ったクロード。


「成程……クロードがそう言うくらいなら……

 僕達に出来る事は ただ一つ……」


 そう、残された手段はただ一つ。

 戦わずして……


「「……逃げる!!!」」


「なっ、貴様らッ!!」


 今の魔力量では敵わない、そう思った僕達は全速力でその場を離れた。


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