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何でもする人は楽じゃナイ!  作者: 氷上 冷嗚
第01章:盗賊団
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022 - 決闘 王国騎士団三番隊 隊長


 僕達は今、村より少し離れた林にいる。 そう、アグネスさんと決闘をする為に……。



・数分前 -----------------------



「ま、待ってください! どうして僕じゃなく彼なんですか!?」


「彼に人を守る力があるか調べる為です!

 それに……貴女のような女性に、我が剣を振るうのは騎士の恥です」


 またこれか……と、流石に頭を抱えてしまった。

 まさか王国騎士団の人にまで言われるとは……きっと兜の下では すまし顔なんだろうなと思ってしまう。

 これにはクロードも苦笑い。


「あの……アグネスさん、色々と言いたい事はありますが取り敢えず……

 僕は男です」


 これを伝えた瞬間、アグネスさんが固まった。

 そんなに? そんなにショックだったの……? なんかここまで黙られると怖いのだけれど……。


 暫くすると、固まっていたアグネスさんはふるふると震えだし……


「す……す……」


「す?」


「すみませんでしたァァァァッッッ!!!」


 大声で謝ったと思った瞬間、物凄く綺麗なフォームで土下座を決め込むアグネスさん。

 なにその謝り方!? というかこの人、王国騎士団の隊長さんなんだよね!?


 しかも その声を聞きつけたのか、わらわらと他の騎士達が寄ってくる。

 そんな事はお構いなしにアグネスさんは謝罪を続ける。


「すみません! 悪気はないんです!

 まさか紳士だったとは! もう腹を斬る覚悟です!」


「や、やめてください! 他の騎士さん達も見てますよ!? 早く顔をあげて!」


「そういう訳にはいきません! 腹を斬らぬは隊長の恥!!

 市民に迷惑をかけてまで、これ以上 生きているわけにはァ!!」


 (かたく)なにして頭を上げようとしないアグネスさん。

 困っていると、とある騎士が声をかけてきた。


「あー、えぇーっと……ごめんなさいね。

 隊長、市民に迷惑をかけたら いつもああなってしまう人で……」


「そ、そうなんですか……。

 苦労されているのですね……」


「まぁ、多少は……。

 ほら隊長!! 正気に戻ってください!

 本来の目的をお忘れですか!!」


「ほ、本来の目的……そうだ、私は盗賊の情報を教えなくては……!」


 アグネスさんは急に頭をあげて元のテンションに戻ったようだ……ひとまず安心。


「失礼、私の悪い癖だ……どうか許してほしい。さて、盗賊の話だが……

 改めて、この王国騎士団三番隊 隊長の私を負かしたら

 盗賊について知っている限りの情報をお教えしよう!

 レディ……ではなかった。えーっと……」


「あっ、レインと云います」


「失礼、レイン殿か。

 貴殿が紳士なれば、その銀髪の者とタッグを組み二対一という形でも構わない!

 寧ろ、今までの戦闘で連携をして戦っているのであれば

 そのような形で頼みたい!

 ……よろしいか?」


「アグネスさんがよければ、僕はそれで構いません」


「同じく~。

 ……あと、名乗り遅れたけど ボクはジャギ=クロードって名前だヨ」


「ジャギ殿だな、承知した。

 では決闘の場へと移ろう……」



-----------------------



 という感じで今に至る。

 隊長というからには相当な手慣れ……気を引き締めてかからなければ。


「レイン殿! ジャギ殿!

 この私に(おく)することなく挑んでくれる事、嬉しく思います!

 そんな貴殿らと戦闘の前に、これを!

 ギガヒーリング!」


「「えっ!?」」


 そう言って上級回復呪文を僕達に唱えるアグネスさん。

 な、何故……?


「どうして回復呪文を、という顔をしていますね。

 少しでも傷ついている相手を決闘をするだなんて、私の騎士道に反するからです!」


 これは恐れ入った。

 あんな性格をしていても、流石は王国騎士団の隊長さん。

 抜かりがないというか何というか、あんな事を気持ちよく言い切るとは……隊長を任されているだけはある。


「……それに、これは私の修行にもなります。

 なので……レイン殿、クロード殿!

 改めて、戦闘開始といきましょう! どこからでも来てください!」


「そういうコトだったら、思い切り相手をさせてもらいますヨ!

 レイン!」


「うん! 早速いきますよアグネスさん!

 凍り付く錠前(フリーズ・ロック)!」


 手始めに、僕はアグネスさんの足元にフリーズロックを放つ。

 足の自由を奪えばそれだけで戦闘が有利になる……のだが、流石は騎士団。最小限の動きで避けられる。

 けれど、これは想定内! 本命は――


「氷呪文! 珍しい呪文を使いますねレイン殿!」

「はい!よそ見 厳禁ですヨ! 隊長サン!」


 アグネスさんの後ろに回り込んだクロードが突撃を仕掛ける。

 そう、これこそが本命。 僕の呪文は あくまで"相手の注意を引き付ける為の行動"であり、相手の隙をついてクロードが攻撃をするという常套(じょうとう)手段だ。

 が、アグネスさんはそれすらもひらりとかわす。


「なッ――

「よそ見をしても、気配で分かるものですよッ!!」


 クロードの攻撃を避けたアグネスさんは、流れるような動作で手に持った剣を鞘に入れたまま振るった。

 それが見事クロードに命中する。


「ごはッ!!」


「移動している間に気配遮断能力を使っているようですが、それでは足りません!

 もっと完全に消さなくは……このように!!」


 そういうとクロードの目の前からアグネスさんが消える。


「れ、レイン! 身構えろ! 来る!!」


「来ると言われても……!! くっ! なら!

 冷気爆破(コールド・バーン)!!」


 咄嗟にコールドバーンを唱え自分の周囲を爆破させる。

 運よく、爆破範囲にアグネスさんがいたらしく それよりも一歩引いた場所に彼は立っていた。


「これは……爆発系の呪文とはまた違うものですか!

 ですが、そんな弱い爆破では、傷一つ与えられませんよ!!」


 実際、彼の鎧にも傷一つ入っていないようだった。

 そりゃこんな呪文じゃ、王国騎士団の着ている鎧に傷なんかつけられる訳がない。

 でもこれでいい。あくまで僕は囮であって、本命は彼の攻撃なのだから。


「じゃぁ今度はちょっと強めなのいきます!

 凍り付く錠前(フリーズ・ロック)!」


「騎士に同じ手は通用しませんよ!」


「でしょうね! なので――

 氷の錠よ、相手を捕らえよ! 凍り付く錠前(フリーズ・ロック)!!!」


 通常のフリーズロックで威嚇をした後、彼の避ける間合いに再度 詠唱を含んだフリーズロックを唱える。


「何!? 続けて唱えるとは……意外と魔力量はあるようですね!」


「見くびってもらっちゃ困りますよ、アグネスさん!」


 詠唱を含んだフリーズロックは、見事 バックステップしたアグネスさんの足を捉える。

 これなら多少の足止めは出来る筈……!


「それはこちらの台詞です!」


 アグネスさんは少し力を入れると、自らの足を拘束していた氷を一瞬ではじき飛ばした。

 こんな事は初めてだ。 まさか詠唱を含んだ呪文を、こうもあっさりと無効化するなんて……。

 驚きのあまり、つい立ち尽くしてしまう。


「驚いてる場合じゃないよ、レイン!

 相手は騎士団の隊長なんだぜ!? 早く次の手を出すんだ!

 メガスリープ!」


 そういうと、いつの間にかアグネスさんの近くまで移動していたクロードは昏睡呪文を唱える。

 流石にこれは避け様がない……筈なのだが、何故かアグネスさんは何ともない。

 まさか魔力切れ!?


「生憎ですが、私はこの鎧の加護で状態異常系の魔術は効かない体となっています」


「なんてこった……」


 クロードが思わず呟く。


 いやはや本当になんてこった、まさかここまでとは正直思ってもいなかった。

 となると、クロードの昏睡魔術は当てに出来ないし……。

 かといって、僕の手もあれで出し尽くしてしまった。


 一体これ以上はどうすればいいの!?


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