表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何でもする人は楽じゃナイ!  作者: 氷上 冷嗚
第01章:盗賊団
21/34

020 - 取引


「動くな! 動いたらコイツの命はない!」


 どこかでよく聞くような台詞を吐き捨て 脅す下っ端の盗賊。

 しかし、まさか香さんが連れ去られてしまうなんて……やっぱり、あの時 香さんを置いていかず僕かクロードがついていた方が良かったと、今更ながら後悔……。


「レインくん、クロードさん! ぼくに構わず

 この美しくない奴らをこらしめt――

「お前は黙ってろ!!

 ……あー、そこのお前ら。取引だ」


「取引……?」


 拉致した香さんを人質として見せたと思ったら、いきなり取引を持ち掛けてきた下っ端盗賊。

 盗賊なのに取引……しっかりと理にかなった取引が出来るか怪しい所である。


「取引というと、何と何を取引するんだい?」


 クロードが問う。


「それは――

『そこで寝てるバンダナ達をこっちに渡す代わりに!

 貴様等の安全を保証しようッ!』


 突然、下っ端盗賊の後ろから声が聞こえたと思った矢先、その後ろから1周り2周りも大きな男が姿を現した。

 身長2メートルはあるだろうか……かなりがっしりとした体格で、とても大きな斧を持っている。


「お前は……盗賊団の頭領か?」


「よく分かったな……といっても、こんな目立つ格好を見て

 分からねェ方がおかしいか!

 いかにも、俺は盗賊団の頭領、ガンズ様だァ!!」


 うわぁ……自分を"様"付けする人初めて見た……。

 これは何というか、絶対権力とかに酔ってるタイプだ……。

 一瞬で"何か面倒くさそうな頭領だな"とか思ってしまった。


「……で、その頭領様が わざわざ取引をしようって?」


「そうだ。そこで伸びてるバンダナ兄弟の様子を見た限り、お前達は腕がいい。

 ここで無駄に争うより、取引で穏便に片付けたいってわけよ。

 ……それか俺達の仲間になるっていうのもいいぞ」


「取引も仲間になるのも全部 断ると言ったら?」


「それなら、そこの人質の命はねェぞ。

 というか、はじめから おめェらに拒否権はない。

 ……まァ、100歩譲って仲間にならねェッてんなら、それは見逃してやるよ。

 演技で仲間になって、後で裏切られても迷惑なだけだしな」


 ……この口ぶりからすると、取引とか言っておいて はじめからこちらに拒否権はないといった所だろうか。

 やはり盗賊、嫌な真似をする……。


「さァ、どうする!?

 この取引を呑んで何もかもを助けるか!

 それとも大人しく仲間を捨て、俺様達に挑むか!?」


「くっ……分かった、その取引を呑もう……」


「クロード!」


「仕方ないんだ、レイン!

 下手な真似をすればアイツらは何の躊躇(ためら)いもなく、すぐさま香サンを殺す!

 盗賊っていうのはそういう奴らだ!

 今のボク達の力じゃ正直どうしようもない!

 だから……レイン……!」


 ギリギリと歯を食いしばりながら僕に説得をしていた……。

 くそっ! 何か、何か抵抗とか出来るような策はないのか!? 何か……。


「そこの銀髪は話が分かるようだなァ……?

 ……オイ下っ端ァ!!」


「は、はイィ!!」


「さっさとバンダナ兄弟をこっちに連れてこい!」


「かしこまりィ!」


 頭領は命令を下すと、下っ端はその通りにバンダナ兄弟を素早く回収する。


「よし! 取引は成立だ! 約束通りお前らの安全は保障してやろう!

 ……但し、この村 限定だがなッ!」


 そう言うと、頭領は玉のような物を勢いよく こちらに投げてきた。

 そして辺り一面に水色の煙が立ち込める、これは……睡眠玉!?

 驚きのあまり、もろに煙を吸ってしまった。 まずい、このままじゃ……

 僕は意識を保とうとしたが、その努力も虚しく 次第に意識が薄れていく……。

 やばい……このままじゃ――



「ぐはは……馬鹿な奴らだ……」

「こい…ら……連れて行きま…?」

「そうだ………。

 ……待てッ! 騎士団が……ずらかるぞ……!」


 次第に意識が薄れていく中、目の前にいた頭領と下っ端は何かを話しているようだった。

 そして遠くから、誰かがこっちに向かってきている……?

 状況を確認したいけれど駄目だ……もう、これ以上は……。


 そしてまもなくして、僕は完全に意識を失った――



-----------------------



 意識を失っていた僕は、布団の中で目が覚めた。

 ここは……どこかの室内だろうか?


「お目覚めですか? レディ」


 突然、すぐ横にいた人物から声を掛けられた。

 声がした方を見ていると、全身 白い鎧を身に纏った人物が そこに立っていた。


「あ、貴方は……? それに、ここは……?」


「申し遅れました。

 私は、オーグライア王国騎士団の者、名をアグネスといいます。

 そして、ここはリド村の民家です」


 王国騎士団の人?

 という事は、この人のおかげで僕は助かったという事かな?


「あの、貴方はどうしてここに……

 それよりも、盗賊はどうなりましたか!?」


「盗賊……!?

 ……成程、村のあの惨状は やはり奴らが……」


 アグネスさんは小声で何かを言っていた。

 あの盗賊に何か心当たりがあるのだろうか?


「……おっと、失礼。

 実は、この村の近くにあった とある "大切な物" の異常を感知したので

 偵察の為、我々 騎士団がここまで飛んできたのですが……

 どうやら盗賊絡みとなると、事はかなり深刻なようですね」


 そういうと、アグネスさんは部屋を見渡す。

 それにつられて僕も周囲を見渡したが、部屋のあちこちにベッドが並んでおり、そこには傷ついた人々や 相棒のクロードまでもが横たわっていた。

 どうやら、本当に事は深刻な状況らしい。村人らしき人達の負傷が それを物語っていた。


 それにしても、盗賊団と戦った あれから、一体どれ程の時が経ったろうか?

 あの後、盗賊は何処へ行ったのだろうか。

 それに香さんは……人質に取られていた香さんは……!?


「あの、アグネスさん……」


-----------------------


 あの後、僕はアグネスさんに細かい事情を教えてもらった。


 まず、この村へやってきた騎士団員が倒れている僕達や村人達を見つけ、民家まで運んでくれたらしい。

 その時はもう、周囲に盗賊のような人物は誰一人としていなかったらしく、村には負傷した村人と意識を失った僕達しかいなかったという。


 香さんの事も聞いてみたが、"それらしき人物は見つからなかった"と言われてしまった……その上、村の女子供さえも見つからなかった……とまで言われた。

 あの大量の盗賊がそんな一瞬の内に姿を消せるものなのだろうか?

 そして香さんやいなくなった村人達は……まさか、あの盗賊団に……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ