017 - バンダナの盗賊
「お、おいィ!!
あいつら、何か追っかけてきてないか!?」
手負いの盗賊は"自分達でどうにか出来る相手ではない"と分かったのか、"頭"と呼んでいる人物の元へ急いでいた。
が、血路を開いたレイン達はそれを追う。
「確実に追っかけてきてるよなァ!
くそ! お前、囮になれよォ!」
「嫌だよ畜生ッ!」
盗賊は逃げる事に必死で、協力も連携もあったものじゃない。
元々、ならず者たちの集団なので そんなものはあった方がおかしいのだが。
だがこの状況、そんな事は言ってられないとばかりに片方の盗賊が ある事を提案する。
「まだ お頭のいる小屋の場所まで距離あるよな……。
こうなったら……
あそこで二手に分かれて、バンダナ兄貴達の所へ行くぞ!」
「そうするしかねェか!
じゃあ、俺は赤バンダナ兄貴、お前は青バンダナ兄貴の所だ!
ヘマして捕まるんじゃねぇぞ、お前!」
「こっちの台詞だ!
つーか、テメエ仕切るんじゃねェよ!!
じゃあ分散するぞ……せーのォッ!!」
言い争いながらも、合図で二手に分かれる盗賊。
これには流石にレインとクロードも困惑する。
「く、クロード! 敵が二手に分かれたけど、どうする!?」
「決まってる!
こっちも二手に分かれよう、レインは左のヤツ!
ボクは右のヤツだ! 行くよ!!」
そういうと、二人も分散し それぞれ盗賊の後を追う……。
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クロードに言われた通り、僕は左に逃げた盗賊を追っていた。
どちらかが頭領の元へ行き、どちらかは永遠と逃げて錯乱させるという作戦なんだろうか?
運悪く僕の方が頭領だったらどうしよう……そんな不安に駆られながら追っかけていると、やがて小屋につく。
民家だろうか……? 盗賊はその中に入るや否や、赤いバンダナをした人物が入れ替わりで出てきた。
あれが頭領……にしては、あまりにも貫禄がないというか、なんというか……。
「やいお前! お前か! 俺の可愛い子分を痛めつけたという奴は!
俺はバンダナ兄弟のバン! お頭の右足か左足辺りの地位にいる盗賊だ!!」
困惑していると、バンダナをつけた者が丁寧にも名乗ってきた。
成程、どうにも貫禄とかはないと思ったけれど やっぱり頭領ではなかった。
まぁ、こんな細身で あまり身長も高くないやつが頭領だったら、それはそれで何とも言えない気分にはなる……というか、右足とか左足とかってどの位の地位なんだろうか? 普通は右腕とか言わないかな?
名前といい名乗り方といい、ツッコミどころ満載な相手だけれど、取り敢えず村を襲った理由を聞いてみよう……。
「ご丁寧にどうも! 僕はレイン!
一つ聞きたいのだけど、何で君達は わざわざこの村を襲う!?」
「はっ! そんなん、お前に答える義理はない!!」
まぁ、普通はこういうよね。
わざわざ自分達の目的を相手に伝えても利点はないし、予想通り予想通り。
「……それもそうだね!
わざわざ訊いちゃって ごめんよ!」
「まったくだ!
お頭が鬱憤晴らしする為に村を襲っただなんて、わざわざお前に言う必要はない!
その上、王国の奴らがこっちに来るのに使用していたルーンを
小屋ごとダイナマイッ!したから いつ王国の兵士が来るかヒヤヒヤしててな!
ぶっちゃけ お前らの相手なんかしてないで早く盗るもの盗ってトンズラしたいんだよ!」
……なんかご丁寧に1から10まで教えてくれたような気がするんだけど、気のせいだろうか?
もしかして凄い頭の弱い人なんじゃなかろうか……何かこの盗賊団の頭領、凄い苦労してそうだ……。
「分かったら大人しく降伏して……俺の嫁になってください! 正直好みです!!
絶対幸せにします! というか一緒に盗賊やりましょう! やってくだせ!」
敵である筈の僕に理由を説明したかと思えば、今度は頭を下げて告白してくるバンダナの盗賊。
……なんだかもう、頭が痛くなってきた。
まさか理由を暴露されたと思った矢先、告白されるとは……これはどうしたら良いものか……。
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その頃、クロードの方は片割れの青バンダナ盗賊と戦闘をしていた。
が、思いの外 クロードは苦戦している。というのも、予想以上に盗賊がすばしっこく 彼の放つ攻撃が中々 命中しないのである。
「ったく、ちょろちょろと逃げ回って面倒だナ!」
「だって盗賊だし、素早さを活かさなきゃ」
「くそっ、こうなったら……メガスリープ!」
クロードは両手を前に突き出し、昏睡呪文を唱えた。
"流石に呪文は当たるだろう"と確信づいていた彼だった……が、予想と反し それすらも外れる。
「昏睡呪文! そんな事も出来るのか~!」
「くっそぉ! この呪文 避ける奴とか久々に見たよ!!
もう腹立ってきた! 遠慮しないよ!!」
いよいよ痺れを切らしたのか、片手を巨大な剣に変形するクロード。
魔力の消費なぞ知った事じゃない、そんな雰囲気である。
「今度は何をするのかな……まぁ何をしようが全部 避けきっちゃうけど!
……でもでも、このままやり合っても埒があきそうにないなぁ!」
盗賊はそう言うと、服のポケットから"何か"を取り出す。
「じゃあ、俺はこれでドロン!」
ポケットから取り出した物を地面に投げると、辺りは煙につつまれた。
その隙をつき盗賊は何処かへと消える。
「けむり玉か!? くそっ、前が見えない……
やつめ、どこへ……」
不意打ちに備え、その場で身構えながら煙が晴れるのを待つクロード。
そのまま待っていると何事もなく煙はなくなるが、バンダナ盗賊の姿はない。
どうして何もしてこないのだ?と困惑していた彼だったが、時期に悪い予感が頭をよぎる。
(レインが危ない!!)
直感でそんな事を思った瞬間、彼はすぐさまレインの元へと急いだ……。




