015 - リドの村
精霊と別れた僕達は、ファーマーズカートを引きながら再び森の中を進んでいた。
重体だったクロードにカートを引かせるわけにもいかず、かといって女性に重たい物を引かせるわけにもいかないので、現在は僕がカートを引いている形である。
「そういえば、今はどこに向かってるの?」
歩きながら香さんは問いかけてきた。
そういえば、彼女に何処へ向かっているか何も伝えてなかった……。
「今はね、リドっていう村に向かってるんだ」
「リドの村……確かこの森の近くにあるっていう……」
「そう、その村。
僕達は元々、そこのカートに乗せてる
氷漬けの物を王国に届けようとしていてね。
その過程でリドの村に向かってたんだ」
「成程……。
因みに、その氷漬けの物って一体……」
香さんは指を指しながら質問をする。
「二日前くらいに襲い掛かってきた盗賊だヨ。
まったく、レインってばこんなのおきざりにして
香さんちに行っちゃうんだから……
おかげで、目を覚ました後 精霊にこっぴどく怒られたよ……」
「ご、ごめん……」
完全に荷物の存在を忘れてた、だなんて口が裂けても言えない……。
「えっ、ちょっとまって……盗賊……!?
盗賊って、あの凶悪で残忍で品がなくて愚かで臭くて汚くて
人の物を盗むっていう……あの!?」
「そう……なんだけど、かなりイメージ悪いね……
まさか香さんの家に盗賊が……?」
「いや、そんな感じだって森の精霊が」
「精霊さんの情報だったの!?」
森の精霊はかなり情報操作が凄いらしい。
いや大体あってるんだけど、それにしてもイメージが悪すぎるというか何というか……。
広い世界なんだし、綺麗な盗賊の一人や二人くらいはいるんじゃないかなぁと思う……いや、まぁ盗賊に綺麗さを求めてもどうかとは思うけども……。
そんな会話をしていると、目的のリドの村が見えてきた。
けど……何だか騒がしいような……?
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リドの村に着いたのだけれど、何かとても騒がしい……いや、これは何だかヤバい雰囲気がする。
クロードはその雰囲気に一早く気づいたのか、僕達を置いて先に村へと走っていった。
僕も引いていたカートを村の入り口に置き、急いで村に入ったのだが 村は想像以上にマズイ状況だった。
「こ、これは……」
村では人と人が争っており、軽い戦場となっていた……。
あちこちで人が倒れており、作物は荒らされている悲惨な状況だった。
近くで村人と思わしき人物が倒れてたので、急いで声をかける。
「すみません、大丈夫ですか!?
ここで一体 何が!?」
「お、おお……その姿は、旅の人ですか……。
盗賊が……盗賊の集団が村を……」
盗賊の集団? まさか、あの氷漬け盗賊の仲間……!?
でも、いくら野蛮な盗賊といえど、村を襲うだなんて……。
「い、いくら野蛮だといっても まさかこんなことまで……
これって、盗賊というより最早テロリストとかじゃ……!?」
完全にイメージ崩壊だと言わんばかりに香さんが訴える。
でも、流石に僕もこんな行為までするだなんて思っていなかった……。
「……状況は分かったヨ。
取り敢えず……レイン! いつもの様にはいかないかもだけど
出来る限り、全力でやるよ!!」
「う、うん!!」
「ぼ、ぼくも行くよ!!」
クロードが指示をすると同時に僕達は村の奥へと走る。
テロリスト……もとい、盗賊達との戦闘開始だ。




