第十七話 居眠りしていたら
今回は、イチャイチャ回です。
「ふぁ〜」
居間のソファーに座っていた僕は、大きなアクビが出た。
今日の補講は、午前中だけだったので。
昼過ぎに家に帰り、ユックリ涼んでいる。
父さんはモチロン仕事だが、母さんもパートに出ていて。
悠ちゃんは、二階で勉強していた。
悠ちゃんの学力だと、ウチの学校の授業内容に余裕で付いて行けるみたいだが。
真面目な彼女は、それでも”何か違う所があるかも”と言い。
この間、学校に手続きに行った時に貰った教科書で、勉強していた。
そんな真面目な悠ちゃんとは違い。
実は、僕は昨日夜遅くまでネットでアニメを見ていたので、少々寝不足気味だ。
基本、熊本は、独立系のアニメが殆ど流れないから。
そう言った物を見たい場合は、ネットで見るしか無い。
この辺りは、福岡の局が何とか見れるので、地方にしてはまだマシな方だが。
それでも全てでは無いし、また、最近は段々見れなくなってきているので。
そんな作品を見たい場合は、ネットで見るしかない。
まあ、そんな話はどうでも良い。
とにかく夜ふかしした上、昼食後、エアコンで涼んでいる所為で。
何だか、とても眠くなってきた。
「・・・ふぁ〜」
睡魔が襲ってくる中、次々と押し寄せる雑念に流されている内に。
僕の意識は、次第にブラックアウトしていった。
・・・
「(・・・ん?)」
しばらく眠っていたらしく。
微睡みながらも、少し目が覚めた所で何か違和感を感じた。
「(あれ? 太腿に何か乗っている・・・)」
その違和感とは、僕の太腿に何かが乗っている感覚である。
太腿に乗っている物は、決して重くは無く。
適度の質量があって、寧ろ心地良い位だ。
「すー・・・、すー・・・」
その僕の太腿に乗っている物から、微かに何か音が聞こえる。
「・・・うんっ」
次に聞こえる音は、寝言の様だが。
何だか可愛らしくて、女の子の寝言みたいだ・・・。
と言うか、これは多分、女の子の寝言で間違いないだろう。
このウチで、女の子と言えばただ一人・・・。
「(ハッ!)」
その事に気づいた僕は、完全に目が覚め。
下を向いて確認すると。
「ゆ、悠ちゃん! 何でここで寝よるとね〔寝ているの〕・・・」
思った通り、僕の太腿には悠ちゃんが寝ていた。
悠ちゃんは、僕の太腿を膝枕にして、気持ちよさそうに仰向けに寝ている。
大きく垂れた瞳は閉じ、桃色の唇も同じく閉じていて。
小さく形の良い鼻からは、微かに寝息が聞こえる。
また、大き過ぎない胸の膨らみが、寝息に合わせ定期的に上下していた。
そんな彼女を見ている内に、思わず手を伸びてしまい。
「(ツン・・・)」
「(あっ、柔らかいな)」
その、柔らかい頬を突付いてしまう。
悠ちゃんの可愛い寝顔を見ていたら、ついイタズラ心が出てしまったのだ。
「(ツン・・・、ツン・・・)」
「うんっ・・・、ん・・・」
思ったよりも柔らかいので、調子に乗って突付くと。
悠ちゃんが、顔を顰めて起きそうになった。
僕はそれを見て、慌てて突くの止める。
それから少し様子を見て、再び寝たのを確認したら。
次に、柔らかそうな髪を撫でてみた。
「(なで・・・)」
何度か、その髪を撫でた事はあるが。
それだけに集中して、撫でた事はなかった。
「(なで・・・、なで・・・)」
改めて感じる、その感触の良さに、何度も彼女の髪を撫でてしまう。
余りに感触の良さに、いつの間にか、ただ髪を撫でるだけでなく。
指に髪を通したり、あるいは髪を絡めたり。
または、指に巻き付ける様にして撫でていた。
「・・・颯ちゃん、気持ち良い・・・」
そうやって、悠ちゃんの髪を弄ぶのに夢中になっていたら。
イキナリ声が聞こえた。
見ると、彼女が瞳を開いて、僕の顔を見ている。
「えっ! 起きとったと〔起きてたの〕?」
「・・・うん、何だか頭が気持ち良くて、目が覚めたら。
颯ちゃんが、私の頭を撫でていたのが分かったの」
悠ちゃんが起きているのが分かり、慌てて手を引っ込めようとしたが。
「颯ちゃん、お願い止めないで・・・」
引っ込めようとした僕の手を、悠ちゃんの手が掴んだ。
ビックリした僕を、甘えるような瞳で見詰めながら。
彼女は、そう懇願する。
その瞳を見て、僕は引っ込めかけて手を元に戻し。
「(なで・・・、なで・・・)」
撫でるのを再開した。
「(コチョ、コチョ、コチョ)」
また、ただ髪だけ撫でるだけでなく。
頬を撫でたり、あるいは耳の後ろや、顎の下などを猫みたいに擽った。
「・・・もお、私、猫じゃないよぉ〜」
そう言って、文句を言うが。
それでも、僕の手を払い除けずに成すがままになっていた。
・・・
「・・・颯ちゃん、気持ち良いよぉ・・・」
この様に、色々と悠ちゃんを撫でている内に、ウットリした様な声で彼女がそう漏らした。
「(なで・・・、なで・・・)」
しかし僕は、この感触が惜しいので、今すぐ止めようとは思わない。
そうやって、僕の膝枕で寝ている、感触の良い悠ちゃんを。
しばらくの間、タップリ愛でたのであった。