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第十六話 クラスメートに見つかる



 「はあ、中は涼しかね〜」


 「うん・・・」




 今日は、二人で近くのショッピングモールへとやってきた。


 これから、色々と買い物で必要なると思い。

案内がてら、ここまで自転車でやってきたのだ。


 ちょっとした物なら、自転車で五分ほどの所にある、コンビニで買えるけど。

こみ入った物なら、自転車で三十分かけて、ショッピングモールに行かないとイケナイ。


 そう言う訳で、昼過ぎの炎天下の中。

僕と悠ちゃんは、延々(えんえん)と自転車を()いて来た。


 着いた頃には、僕の方は汗ダラダラになっていたのだが。

(ゆう)ちゃんは(しゃべ)る元気が無いくらい、バテてしまっていた。




 「あっ、颯太(そうた)じゃんか」


 「偶然やん」




 二人で、モールの中央にあるホールに、ソファーで涼みがてら休憩していたら。

向こうの方から、声が聞こえた。




 「(げっ、しもうた〔しまった〕!)」




 僕の姿を確認すると、こちらに二人組の男がやって来た。




 「颯太、ここで何しようと〔何してるの〕?」


 「俺ら、ここさん〔へ〕涼みがてら、買い(もん)しに来たとたい」


 「僕も、似たような(もん)かな・・・」




 二人は、次々にそう言うと、僕も渋々(しぶしぶ)答える。




 「ん、(だん)ね、こん〔この〕可愛か娘は?」


 「ち、ちょっと、紹介してくれんね〜」




 目敏(めざと)く、隣の悠ちゃんを発見した二人が、僕に迫ってくる。


 隣の悠ちゃんは二人を見て、僕の袖を”ギュッ”と握りながら緊張していた。




 「ちょっと、怖がっとるけん〔怖がってるから〕待たんね〔待ってよ〕」


 「あ、ごめんね、怖がらせてしもうて〔しまって〕〜」


 「ごめんね〜」




 僕がそう言うと、二人は一旦僕から離れる。




 「こん〔この〕娘は悠ちゃん、僕ん〔の〕従姉に当たっとたい〔当たるんだ〕」


 「初めまして、大野悠です」


 「かあ〜、悠ちゃんね〜」


 「ほんなこつ〔本当に〕、可愛か〜」




 仕方がないので、悠ちゃんを紹介すると。

二人は、彼女を見て激しく(もだ)えた。




 「俺ら、颯太と同じクラスやけど〔だけど〕、悠ちゃんは学校どこね?」


 「ん〜、休みが開けてから、(そう)ちゃんと同じ学校に行く予定なの」


 「えっ! じゃあ、俺らと同じ学校になるとね!」




 二人は、悠ちゃんの話を聞き、喜び出す。




 「じゃあ、学年は何学年ね?」


 「颯ちゃんと同じ一年だよ」


 「そん〔それ〕じゃ、上手く行くと同じクラスになるかん〔かも〕知れんね」



 

 続く、悠ちゃんの話に、二人組は更に喜ぶ。


 本来なら、悠ちゃんは二年生だけど。

怪我をしたのと、そのリハビリもあるが。

結局はイジメのショックと、秘密がバレて学校に出られなくなった為に、単位が取れなくて。

それで留年になったのだ。


 こちらでは、そう言った内情を、正直に言う必要も無いので。

表向き”怪我で留年した”、と言う風に説明する事になっている。

まあ誇張はしているが、全くのデタラメでも無い。




 「悠ちゃん、言葉がキレイかばってん〔だけど〕、どっから来たとね〔来たの〕?」


 「東京の方から、最近コッチに来たの」


 「へえ、どうりでコッチで見ん〔見ない〕、可愛か()やと(おも)ぉとった〜〔思っていたよ〕」


 「こらこら、悠ちゃんは人見知りやけん、あんまり詰め寄るんじゃなか」




 左右から悠ちゃんに迫る二人に、彼女が笑顔を固まらせていたので。

僕が、そう言って、二人を引き離す。




 「なんで〜、いいやんか〔いいじゃないか〕、少しぐらい」


 「せっかくの可愛か子とお話できると〔の〕に〜」


 「で、二人は、バスの時間は大丈夫とね・・・」


 「ん・・・、ゲッ、もうすぐバスが出る」


 「急がんと〜」




 僕が止めるのに文句を言う二人に、僕はそう告げると。

壁に掛かった時計を見た途端、二人が慌て出す。


 ここから、自転車で何とか行ける僕達とは違い。

二人は、それよりも遠いから。

駅から出ている、モールへの周回バスを利用していた。


 余りにも二人がしつこかったので、そろそろ出発の時間であるのを思い出し。

カマを掛けたら、(あん)(じょう)だった。




 「じゃあね〜、悠ちゃん〜」


 「今度は、学校で会おうね〜」




 二人は、悠ちゃんにウインクをしながら去っていくが。

それを悠ちゃんは、引き()った笑顔のまま見送った。


 結局、アイツら、悠ちゃんと話をするのに夢中になって。

自己紹介してないな。


 まあ、学校に行けば嫌でも知ってしまうだろうけど。

しかしアイツら、学校で彼女に(まと)わり付く可能性があるから。

後で注意しないといけない。




 「・・・ねえ、颯ちゃん。

 学校って、あんな人ばっかりなの?」


 「うんにゃ〔いいや〕、あれは例外やけん〔だから〕、他には()らんよ。

 アイツらには、釘を刺しとくけん〔から〕、悠ちゃん心配せんでも良かよ」


 「はあ〜、疲れた〜」




 ただでさえ、ここまで炎天下で自転車を漕いで、疲れていたのに。

アイツらと話をして、更に疲れてしまった彼女が、カックリと顔を伏せてしまった。

 

 肉体的にも精神的にも疲れ切った悠ちゃんを、休ませるために。

僕は彼女と一緒に、ホールのソファーの長時間、休憩したのである。



出てきたクラスメートは。

この後、二学期初日に、少し話に出る程度なので。

名無しのゴンベのままでした(笑)


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この作品同様、TS娘と少年との恋物語の作品です。
・こんな僕でもいいの?
また、これらの作品も熊本を、舞台にした作品です。
・変わらない仲と変わった思い
・熊本のお姉ちゃん

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