冒険者ギルド
約半年ぶりの更新です…
いや本当にごめんなさいm(_ _)m
次の日、寝坊するということもなくイザベラさんを見送り、仕事も一通り終わったところで俺は昨日の家がどうなったのか確認するために家を出た。
その家があるところへ向かう途中、そこに近づくにつれて「近くで火事があった」「家族全員死んでたらしい」「放火だったとか?」「いやいや、火の不始末だったんだろ?」といったような噂話が耳に入ってきた。
気になったことを話している人や近くに住んでいるという人に話を聞いてみたが、あくまでも噂話にとどまるような憶測ばかりで、真実を見抜いているようなものがあってもそれを言っている人でさえ本当に信じているわけではないらしく、最後に「あくまでも噂だけどね」という一言を付け加えていた。
いろんな人と話していたため時間はかかったが例の家の近くに到着する。その家の周りには見張りだと思われる鎧姿の兵士が立っていて、すっかり燃え尽きてしまった家の中には何か調べているのか何人かの男が残骸の上で動いていた。
「君、危ないから近づいちゃいけないよ」
どうなっているのかと思い覗き込んでいると見張りの兵士が注意してくる。
「火事があったんですか?」
俺がそう尋ねると、
「そうなんだよ。火がついているのに気がつかなかったのか、それとも気づいた時には遅かったのか知らないけど一家全員亡くなったみたい…って、こういうこと教えちゃ駄目なんだっけ?」
その兵士は、話したら駄目だと言いながらも普通に説明してくれた。
今調べているのは、まだ見つかっていない死体があるかどうかということと、この火事が事故によるものなのかどうかということらしい。
そろそろ調査も終わる頃だが特に何も見つかっていないらしく、このまま事故として処理されるだろうとのことだ。
「教えてくれてありがとうございました」
「どういたしまして。でも、自分から聞いたっていうのは内緒にしてね?」
お礼を言うと、彼は口元に手を当ててそんなことを言いながらウインクをして来た。
「それでは失礼します」
そう言って立ち去るとすぐに後ろから怒鳴り声が聴こえて来た。
手遅れだよって言ったほうがよかったのかな?
◇
それから二日後の夜。夕食を終えて家に帰るとイザベラさんがこう言った。
「そういえば明日、私は依頼に行かないんだけど、お前は何かしたいことあるか?」
なんでも明日は週に一度の休みらしい。といってもただ単にイザベラさんが決めている休みと言うだけで、冒険者なのだからもし一週間丸々休んでいても問題はそこまでないらしいのだが。
「特にはないですけど…何か予定はないんですか?」
「いや、特にはないけどな…なあ、特に行くところがないならギルドにでも行くか?登録しておけばこの街を出ることになったときにも楽だろうしな」
そして次の日の朝、私とイザベラさんは冒険者ギルドに来ていた。朝といっても昼前ぐらいなのだが、ギルドの中には十人前後の人が集まっていた。これでも人が結構少ないほうらしい。
ギルドは、「基本的にいい依頼は朝早くから張り出されているから朝に人が多く、朝に受けた依頼を終わらせたやつらが返ってくる昼の少し前の時間帯が一番すいている」とのこと。そのほかの時間帯にいるのは朝の競争に負けた人か休むことにした人らしい。
というわけで受付に向かう。並んでいる人は全然いなかったのですんなりといけた。
窓口は十個以上あるが、朝に来るとこれだけじゃ足りないという。
「こんにちはイザベラさん。今日はお休み…ですよね?どうかされたんですか」
「いや、今日はこいつのギルドカードを作っとこうかと思ってね。こいつはクリューエルっていうんだ」
そう言いながら私のほうを指さしたので軽くお辞儀をする。
「クリューエルちゃんですね…。ギルド登録用の用紙は…っと。字は書けますか?」
「はい。書けます」
転生時のオプションで読み書きはできるのでそう答える。知らない言語を読んだり書いたりできるのはなんか気持ち悪いけどできないよりはいいと思っている。
そのまま指示に従い項目を埋めていった。埋めれないところは書かなくてもいいというのでいくつかの項目は埋めていない。出身地とか。
そして、最後まで書き終わった用紙を受け取るとお姉さんは机の横に置いてある装置にそれを入れた。
「これってなんですか?」
ゆっくりとカードを出す装置を見ながら尋ねる。
「ああ、これですね。これは百年ほど前に出現した悪魔、ええと…”発明の悪魔”が作った魔導具を使用者に害がないように作り替えたものなんですよ。向こうにある図書館に行くとそれについて詳しく書いてある本があるので気になったら読んでみるといいと思います」
◇
それから、
完成したカードを受け取った後、特にすることがないのでギルドを出て少し早い昼食をとり、そのあとも特に何かをするわけでもなくまったりと過ごして一日が終わった。
この世界は思っていたよりも“娯楽”がない。元の世界にあったようなゲームが無いのは勿論のこと、おおよそ遊びと呼べるものが少ない気がする。
本は沢山あるけど、どうしてか読む気にはなれなかった。
「楽しくないわけではないけどなぁ…」
“誰かを殺しているときが一番楽しかった”
「ああ、うん。そうだった」
そもそも人を殺すためにこの世界に来たんだった。
それなら、人を殺すことを一番楽しいと思えることは“正しい”ことだろう。
「それじゃあ明日から積極的に活動していこう」
そう決めて、まぶたを閉じた。
次の更新はいつだろう…
出来るだけ早く出来るよう頑張ります