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街へ向かおう

遅れてすいません…

エイプリルフールだったって事で許してください。

(じゃあスキルの取り方だね。スキルを取るには必要な分の魂のエネルギーを集める必要があるんだ)


 ハオスの説明によると人を殺して手に入る魂は経験値として使える部分とスキルを取るために使える部分があるらしく、スキルを取るためには後者の部分を集めなければいけないらしい。


(さっき殺した分で取れるスキルなんてほとんどないけどある程度はサービスしてあげる。どんなスキルが欲しい?)

(どんなスキルか…)


 自分にはどんなスキルが必要か考えてみる。この体だと警戒されるということがほとんどないらしい。それなら今必要なのは証拠を隠せるなにか。


(血を落とすスキルと痕跡を無くせるスキルはあるか?)

(あるね。さっき手に入れた魂の量じゃ足りないけどそれぐらいならいいよ。その二つのスキルでいい?)


 それでいいと言おうとしたところである事に気付いて尋ねる。


(いや、ちょっと待ってくれ。…鑑定みたいなスキルはあるのか?)

(それは一般人にってことかな?)

(ああ、もしあるならそれに対抗するスキルが必要になるだろ?)


 あるとしてもどのぐらいの効果かはわからないが、街に行ってすぐに危険人物として突き出される…なんてことは絶対にないようにしたい。


(ないよ。この世界の神はそんな細かいことは出来ないからね。だから気にせずにやっていいと思うよ)

(そうか。それじゃあスキルをつけてくれ)


 さっきのように体が光ったりするのかと思っていたが特に何も起こることがなく、ハオスの終わったよという声を聞き少し拍子抜けする。


(君につけたスキルは『生活魔法』と『偽装』だよ。使い方も刷り込まれてるからスキルの説明は省くね)


 ハオスの言った通り、確かにスキルの使い方がわかる。試しに使ってみようと思い『生活魔法』をかけてみる。


清浄(クリーン)


 すると服や体に着いた血が一瞬で消える。問題なく使える事が確認できた。


(それじゃあ街での注意点だけど…街に向かいながらにしようか)


 進行方向を教えてもらい、街へ向かいながらハオスの話を聞く。


(まず一番大事なのは、教会に近づかない事。運が良ければ大丈夫かもしれないけど高確率で向こうの神にばれる)

(ばれるとどうなるんだ?)

(世界中で似顔絵付きで指名手配される上にその街の教会に直接勇者が送り込まれる。しかも貰えたら一生遊んで暮らせるレベルの懸賞金が掛けられるから一躍人気者になるね)


 自分の心の中に教会は危険だと刻み込む。何が会っても絶対に近づかないようにしようと考えながら話を聞く。


(それは絶対に遠慮したいな)

(ちなみに勇者にだったら見られてもばれないよ。でももし食事でも一緒にどうとか誘われた場合は断る事をお勧めするよ。了承したら教会まで連れて行かれるから逃げても駄目だし付いて行ってもアウトだよ)

(気をつけるよ)


 数代前の悪魔…ハオスに送られた転生者の呼び名らしいが、その手口に掛かって逃げ出そうとしたところを斬られたらしい。

 ちょうどその話が終わったところで森を抜けた。遠くには高い壁が見える。恐らくあれが街だろう。


(あと十分ぐらいで街に着くよ。…そうそう言い忘れてた。街の中では僕は話せないしスキルもあげられないから必要な時は街から出てきてね)


 それからいくつかの事を聞いていると街はどんどん近くなり、遠目にだが門らしきものが見える。


(それじゃあ僕は失礼するよ。ちゃんと視界は通じて見てるから。楽しんでね)

(ああ、いろいろと教えてくれてあろがとな)


 その言葉を最後に静かになる。少し物寂しい感じがしたが何も言わずに門の方へ歩く。

 門の前に二人ほど警備が立っている事を確認した後、駆け足で門の方へ向かって行くことにした。



 門の前まで走って行くと、それに気付いた門番が声をかけてくる。


「君、そんなに走ってどうしたんだい」

「大丈夫か?」


 最初に声をかけてきた方の門番の方へ向かい、声をあげて泣く。

 すると門番は困った様子で、


「森の方から走ってきたみたいだけど、森で魔物に襲われて逃げてきたのかい?」

「ヒックッ…そうなの…グスッ…急に襲われて、死ぬかと思って…」


 泣きながら、出来るだけ幼く、弱く見えるように振る舞う。とりあえず街に入ることはもちろんだが、身につけているナイフはばれると面倒だ。持ち物の検査が必要ないと思わせる事を目標に行動する。


「そうかそうか…君の名前は?何か身分を証明出来るものは持っているかな?」

「ク、クリューエルです。ご、ごめんなさい…グスッ…荷物を全部入れたポーチが壊れて全部…」

「全部落としちゃったかな?」

「うん…」


 ちらりと顔色を伺ってみるが疑われている様子はない。


「そうか…保護者はいるかな?」

「…いないの…ううっ」

「ごめんごめん、嫌なことを聞いちゃったかな」


 ◇


 そのままいくつか質問をされたが特に問題もなく、街の中に入ることに成功する。


「大変だったな〜。魔物に襲われてお金とかも全部無くしたんだって?」

「はい、助けてくれてありがとうございます。イザベラさん」


 いや、実際には予想外の事があった。

 それは今私の少し前を歩く赤髪の女冒険者イザベラさんである。


「いや〜、でもお前は運がいいな!私に拾われたんだから」

「本当にありがとうございます。…でもこんな私を家政婦にしてよかったんですか?」

「いいんだいいんだ。家を買ったのはいいんだけど掃除する暇も無いしめんどくさくてな。誰かそれを任せる人を探してたんだよ」


 イザベラさんは、門番が俺の対応をどうするかで困っていたところに通りがかり、掃除をするならという条件で俺を拾ってくれたのだ。


「しっかし、お前も変な奴だな〜。そんなに孤児院が嫌だったのか?」


 門番が対応に困った理由の一つには俺が孤児院に行くのを拒否したというものがある。

 孤児院は教会が運営している。と言えば理由はわかるだろう。


「ま、何か事情があるんだろ?掃除をちゃんとしてくれるんだったら家は自由に使っていいぞ〜」

「ありがとうございます」

「うんうん、お礼を言えるのはいい事だぞ。…っと。ここが私の家だ。これからよろしくな!」


 到着したのは門から八分ほど歩いたところにある二階建の一軒家。


「はい!これからよろしくお願いします」



 家の中は結構広く、キッチンや風呂もあった。イザベラさんは掃除する暇もないと言っていたが、掃除はされているようでしっかりと片付けられていた。


「今日からここがお前の家だぞ〜。二階に上がってすぐのところは私の部屋だけど、それ以外なら好きな部屋があったら自由に使っていいぞ!」

「ありがとうございます。それなら…この部屋を使います」


 選んだのは二階の、窓から外が見える部屋。


「よし、それじゃあ何か食べに行くぞ!何か食べたいものはあるか?」

「食べたいもの…ですか。なんだろう…」

「特にないなら私のよく行く店にしよう。あそこは美味しいぞ!」


 そう言って歩き出したイザベラについて行く。その店はここから近いらしく、数分で着くと教えてくれた。


「着いたぞ!おーいやってるかー?」


 着いたのは『青の帽子亭』という店。イザベラさんはドアを開けて店に入って行く。

 店に入ると慣れた様子で空いている机の方へ向かい座り、自分もそれに続いた。

 席に座るとすぐに店員がやってくる。


「ご注文は何になさいますか?」

「そうだな…今日のおすすめは?」

「今日のおすすめはオーク肉の生姜焼き定食です」

「じゃあそれで。お前も同じのか?」

「そうします」


 この世界の食べ物は知らないものが多いのでとりあえずおすすめにしておく。

 注文してから数分で料理が出てきた。


「今日も美味そうだな〜。とりあえず食べるか!」

「はい。美味しそうです」


 出てきたのは豚の生姜焼きのようなもの。

 周りに『いただきます』と言っている人がいないようなので心の中でつぶやいて食べ始める。


(完全に豚肉だ…)


 味も食感もほとんど豚のものと同じ。ただ少しだけこちらの方が美味しいように感じた。

 そのまましばらく食べていると、先にイザベラさんが先に食べ終わり、少し遅れて自分も食べ終わる。

 会計を終え、家に戻る頃には外はもう暗くなっていた。

 家に着いたら明日についての話を始める。


「明日は私は朝から依頼に行くぞ。お金は渡すから昼は自分でなんとかしてくれ」

「わかりました。…朝ごはんは作った方がいいですか?」

「作れるのか?それじゃあお願いするぞ。私は7時に起きるからそれに合わせてくれると嬉しいな」


 この世界にも時計はある。時間の進み方も全て前の世界と同じなのでわかりやすい。


「それじゃあ少し早いけどもう寝るか。おやすみ〜」

「はい。おやすみなさい」


 そう言って部屋に行く。明日はイザベラさんを見送った後街を見て回ろう。そう決めてベッドに入ると疲れていたのかすぐに意識が薄れていった。




次の更新は一週間以内で頑張ります

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